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「ティア、ああティア!大丈夫かい?おいっ!ティアが痛がっているじゃないかっ!何とかならないのか!?」

「公爵、少し静かにして下さい!奥様は陣痛に耐えているのです。これはお子様が出てくる為には仕方の無い事なのですよ。おとなしく出来ないので有れば部屋から出て行って下さい。産まれましたらお呼び致します」

「もう産まれるのかっ!?」

「いえ、まだ時間が掛かるかと…」

「ならば、まだティアの側に居る!」

もう子供ではないのだから、あまり駄々を捏ねないで大人しくしていて欲しい。定期的に来る痛みにアーノルドを構う余裕はないのだ。

ああ陣痛がこんなにも痛いものだなんて知らなかった。
お姉様達は、こんな痛みに耐えて2人の子を産んだのね。
お母様なんて3人も…凄いわ。

それから3時間苦しんで、やっと産まれました。

「おめでとうございます!男の子ですよ」

産まれた我が子を見ると涙が溢れ出た。

「私達の元に産まれて来てくれて、ありがとう」

産湯で綺麗にして貰い、アーノルドが呼ばれる。

「ティア、ティア!ありがとう!!」

アーノルドの眼にも涙が光っている。

無事に産まれてきた子に、アーノルドは、ルノワールと名を付けた。

ルノワールは、髪色はアーノルドに、瞳は私と同じ色。
顔立ちは、アーノルドに似ていてホッとした。

「ルノワールは、ティアに似ているね。将来は格好良くなりそうだ!」

「えっ!?どこがです?私よりアーノルドに似ているわよ?私に似たのは瞳の色くらいで…」

寝ているルノワールの横で、どちら似か話していると、マリナに「声が大きくなって来ておりますよ。ルノワール様が起きてしまいます」と注意されてしまった。

「ルノワール様は、お二人にとても似ておりますよ!」

グレンにそう言われて私達は顔を見合わせ笑った。

2人の子なんだもの。
お互いに似ていて当たり前よね。

健康で健やかに育ってくれればと思いながらも、出来ればアーノルドに似てくれる様に思ってしまうティアナだった。
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