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アンジェリカお義姉様は、難産の末、ザイザル侯爵家の後継ぎとなる男の子を無事に産んだ。

「アンジェリカありがとう!」

泣いて喜ぶお兄様につられる様に私も涙が止まらない。

最近、妊娠のせいでホルモンバランスが崩れているのか喜怒哀楽が激しいのだ。

アーノルドは、ハンカチを差し出しながら私を抱き締めてくれる。

「ティア、嬉しいのは分かるけれど、あんまり泣きすぎると目が腫れてしまうよ。深呼吸して少し落ち着こうね!お腹の子も驚いてしまうよ」

「ア…アーノルド…ご…めんなさい…目が…顔が…腫れたら…余計に…不細工になるのに…皆の前でみっともないわね…」

「!?何を言っているのかな?私の愛する可愛い奥さんを卑下する発言をするなんて、いくらティアでも許さないよ」

今度、アーノルドの視力を計って貰った方が良いわね…眼鏡が必要かも知れない。

私の顔を見ながら「因みに私は視力は良いからね!」とアーノルドに言われて驚いた。

そんなに顔に出ていたかしら?

アーノルドは可愛いと言ってくれるけれど、それでも私の顔の事は私が一番よく知っている。
生まれてから、ずっと見てきたんだもの。

「おいっ!惚気るのは家に帰ってからにしてくれ。それより見てくれ、何てうちの子は可愛いんだ!お前達も、そう思うだろう?ああグラマス、生まれてきてくれて、ありがとう!」

そう言うとお兄様は、また泣き出してしまった。

ベッドの上でお義姉様も呆れている顔をしているが、目には薄らと涙が浮かんでいる。

私は、自分のお腹にそっと手を当てる。

あなたも皆に祝福されて産まれてくるのよ。
私の言葉に答える様に、ポコッと蹴られた。

お腹を擦りながら、微笑むとアーノルドがムッとしている。

「その顔、私にもあまり見せない顔してる。おーい!ティアは、私の物だぞ。いくら我が子でもティアは渡さないからね」

お腹の子供にヤキモチを焼かないで下さい。

最近のアーノルドは…最近ではないのかな?
私が気が付かなかっただけで、前から甘々だったのかな?
実はずっと前から溺愛されていたとか!?

ハッ!とした私を見て、お兄様達は、やっと自覚したのか?という目で私を見ていた。
何だか急に恥ずかしくなり、私はアーノルドに言って今日はお暇する事にした。
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