上 下
3 / 3

3 グリード&ナリーシャその後

しおりを挟む
グリードは、後悔していた。

なぜ父上に出ていけ!と言われて逆らう事もせずに侯爵家を出てしまったのだろう。

なぜナリーシャとなら平民でも愛が有れば幸せになれると思ったんだろう。

そもそもナリーシャの気持ちも確かめずに突っ走ってしまった…。

ナリーシャは、俺の気持ちを受け入れ身体まで許してくれたのに廃嫡されたと聞くと激怒し家を追い出した。

「ただの平民に私が嫁ぐと思うの!?爵位とお金が無い男なんて只のクズよ!!」

ナリーシャが、あんな女だとは知らなかった。

親友のギルスなら俺を助けてくれると思い屋敷を訪ねて行った。
彼は会ってはくれたものの罵られ2度と会いに来るなと言う。
親友だと思っていたのは俺だけだったのか?

驚いた事にギルスは、俺の婚約者だったシルビアと婚約していた。

彼女は俺の物だったのに…。

どこを間違えたのだろう?
何がいけなかったのだろう?

働き口も見付からず、俺は浮浪者となってしまった…。

今の俺を見て侯爵家の子息だったと思う奴は誰も居ないだろう。

あぁあの頃に戻りたい…。

俺は自分で幸せを手放してしまったのだ…。


◈◈◈


お父様の脱税、横領がバレてしまった。

お父様は処罰され伯爵家は取り潰し、私とお母様と弟は爵位剥奪され平民になってしまった。

冗談じゃない!これでは髪を綺麗に結って綺麗なドレスを着て宝石類で飾り、お茶会やパーティーに参加して私の美貌をひけらかせないじゃない。

ギルスとの婚約も破棄されてしまった。

仕方ない。前に私を好色の目で見ていた女好きの高位貴族の殿方の中から愛人にしてくれそうな人に連絡してみるか…愛人になれば今までと同じ生活が出来るだろう。

そんな時だった。

グリードが市井の私の家を訪ねて来たのだ。

彼が婚約者のシルビアでなく、私を見ている事は気が付いていた。

彼は侯爵家の嫡男。
これは優良物件だ。

「ナリーシャ。僕は君が、ずっと好きだった」

「あぁ私もグリードが好きだったの…でもギルスと婚約していたから言えなくて…」

逃してなるものかと直ぐに身体の関係を持った。
グリードは気が付かなかった様だけれど、私は今までにも、お金の為なら嫌な男でも寝てきた。

朝を迎えた時、グリードから侯爵家を追い出されたから此処に住んでも良いかと聞かれて驚いた。

爵位もお金も無い男なんて要らない。

私はグリードを家から追い出した。


高位貴族の殿方達に手紙を送ったが誰1人として返事がない。
お金が無いので働かなければならない。
伯爵令嬢だった私が安い賃金で働くなんて冗談じゃない。

父の仕事仲間だった子爵が訪ねて来た。
愛人になれば、生活の面倒を見てくれると言う。

他の子爵や男爵と身体の関係を持っても少しばかりのお金はくれるけれど愛人にはしてくれなかった。

子爵の方から申し入れてくれたんだもの贅沢させてくれるに違いない。
私は彼の愛人になる事を受け入れた。

お母様は、そんな私を見て泣いていた。

愛人になって1年が過ぎた頃に子爵の事業が失敗してしまう。

これは愛人契約も切られるわね。次の愛人を探すかぁ?と思っていたら、子爵が借金返済の為に私を勝手に娼館に売ってしまった。

それから私は地獄の日々を送っている…。

あぁ誰か私を助けて…。

貴族じゃなくても良いから、普通の生活が出来れば良いから…誰かお願い…。



END

*****

最後まで読んで頂き ありがとうございます。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

婚約者が高貴なご令嬢と愛し合ってるようなので、私は身を引きます。…どうして困っているんですか?

越智屋ノマ@甘トカ【書籍】大人気御礼!
恋愛
大切な婚約者に、浮気されてしまった……。 男爵家の私なんかより、伯爵家のピア様の方がきっとお似合いだから。そう思って、素直に身を引いたのだけど。 なんかいろいろ、ゴタゴタしているらしいです。

私には婚約者がいた

れもんぴーる
恋愛
私には優秀な魔法使いの婚約者がいる。彼の仕事が忙しくて会えない時間が多くなり、その間私は花の世話をして過ごす。ある日、彼の恋人を名乗る女性から婚約を解消してと手紙が・・・。私は大切な花の世話を忘れるほど嘆き悲しむ。すると彼は・・・? *かなりショートストーリーです。長編にするつもりで書き始めたのに、なぜか主人公の一人語り風になり、書き直そうにもこれでしか納まりませんでした。不思議な力が(#^^#) *なろうにも投稿しています

殿下が望まれた婚約破棄を受け入れたというのに、どうしてそのように驚かれるのですか?

Mayoi
恋愛
公爵令嬢フィオナは婚約者のダレイオス王子から手紙で呼び出された。 指定された場所で待っていたのは交友のあるノーマンだった。 どうして二人が同じタイミングで同じ場所に呼び出されたのか、すぐに明らかになった。 「こんなところで密会していたとはな!」 ダレイオス王子の登場により断罪が始まった。 しかし、穴だらけの追及はノーマンの反論を許し、逆に追い詰められたのはダレイオス王子のほうだった。

婚約者に親しい幼なじみがいるので、私は身を引かせてもらいます

Hibah
恋愛
クレアは同級生のオーウェンと家の都合で婚約した。オーウェンには幼なじみのイブリンがいて、学園ではいつも一緒にいる。イブリンがクレアに言う「わたしとオーウェンはラブラブなの。クレアのこと恨んでる。謝るくらいなら婚約を破棄してよ」クレアは二人のために身を引こうとするが……?

初めまして婚約者様

まる
恋愛
「まあ!貴方が私の婚約者でしたのね!」 緊迫する場での明るいのんびりとした声。 その言葉を聞いてある一点に非難の視線が集中する。 ○○○○○○○○○○ ※物語の背景はふんわりしています。スルッと読んでいただければ幸いです。 目を止めて読んで下さった方、お気に入り、しおりの登録ありがとう御座いました!少しでも楽しんで読んでいただけたなら幸いです(^人^)

最愛の人は別の女性を愛しています

杉本凪咲
恋愛
王子の正妃に選ばれた私。 しかし王子は別の女性に惚れたようで……

わたしの婚約者の好きな人

風見ゆうみ
恋愛
わたし、アザレア・ミノン伯爵令嬢には、2つ年上のビトイ・ノーマン伯爵令息という婚約者がいる。 彼は、昔からわたしのお姉様が好きだった。 お姉様が既婚者になった今でも…。 そんなある日、仕事の出張先で義兄が事故にあい、その地で入院する為、邸にしばらく帰れなくなってしまった。 その間、実家に帰ってきたお姉様を目当てに、ビトイはやって来た。 拒んでいるふりをしながらも、まんざらでもない、お姉様。 そして、わたしは見たくもないものを見てしまう―― ※史実とは関係なく、設定もゆるく、ご都合主義です。ご了承ください。

処理中です...