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20、ウォーウルフ

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「レーンさん、大丈夫ですか? アリスです」
「アリスさん? どうしたのですか? ここは危ないですよ?」
 部屋の奥で寝ていたレーンが立ち上がろうとした。
「あ、そのまま寝ていて下さい、レーンさん」
 アリスはレーンのそばに駆け寄ると、カバンからポーションを取り出した。

「レーンさん、これをどうぞ」
「ポーション? ……ありがとう、アリスさん」
 レーンがポーションを飲むと、体の傷が回復した。
「レーンさん、今日はウォーウルフを倒すため、騎士のブルーノ様と一緒に来たんです」

「ブルーノ? 聞いたことがある名前だ……」
 アリスはブルーノを呼んだ。
「ブルーノ様、こちらがレーンさんです」
「初めまして、騎士のブルーノと申します」
「私はエルフのレーンと言います」

 アリスは二人の挨拶が終わると、レーンに尋ねた。
「ウォーウルフは何処にいるんですか?」
「エルフの谷の西にある、洞窟に群れをなしている」
 レーンは立ち上がると、弓と帷子を装備した。

「私が案内します。アリスさん、ブルーノさん、ついてきて下さい」
「はい」
「分かりました」
 レーンを先頭にして、アリス達はウォーウルフの巣に向かって歩き出した。
 村を出て少し歩くと、狼の遠吠えが聞こえてきた。
「そろそろ、ウォーウルフの巣が近いです。気をつけて下さい」
「分かった」
 ブルーノは剣を構えて、注意深く歩いていく。
 アリスはその後について行った。

「あ! あの奥にいる大きな狼がウォーウルフのボスです!!」
 レーンの言葉にアリスとブルーノは頷いた。
 ブルーノが剣を携えて、ウォーウルフに駆け寄った。
 すると、隠れていたウォーウルフの集団がブルーノに襲いかかる。
「ブルーノ様、避けて下さい!!」
 アリスはブルーノが避けた瞬間、炎の実を投げた。
「ウオオオッ!!」

 ウォーウルフの大群は炎に包まれた。
 ウォーウルフのボスを、レーンは弓矢で射貫いた。
「ブルーノさん、とどめを!!」
「分かった!!」
 ブルーノの大きな剣が、ウォーウルフのボスの首を切り裂いた。

「アリスさん、炎の実を投げて下さい!!」
「はい!!」
 アリスは倒れかかるウォーウルフのボスに炎の実を投げた。
 炎の中で、大きな影と小さな影がバチバチと燃えている。

「……これで、倒せた?」
 レーンは呟くように言った。
「ウォーウルフたちが逃げていくぞ!!」
 ブルーノは村の方向に逃げていくウォーウルフをなぎ倒していった。
 ウォーウルフはエルフの谷から去って行った。 

 村に戻ると、レーンが言った。
「ウォーウルフの群れは、私たちが倒した。もうおびえなくても良いぞ!」
「なんだって!?」
「もう、隠れなくてもいいのか!?」
 エルフの村人たちは口々に安堵の声を上げていた。

「アリスさんとブルーノさんの力が大きかった」
 レーンはアリスとブルーノに礼をしてから言った。
「礼を言う。ありがとう、アリスさん、ブルーノさん」
「いいえ」
「礼には及びません」

 アリスとブルーノはエルフ達から簡単な宴を催され、ご馳走を振る舞われた。
「アリスさん、ブルーノさん、何かあったら私たちに言って下さい。お役に立てるかもしれません」
「ありがとうございます、レーンさん」

 アリスとブルーノは日が落ちる前に、エルバの街に向けて帰ることにした。
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