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3、孤児院に王子がやって来ました
しおりを挟む王家でのパーティーが終わってから数日後。
私は孤児院の視察を致しました。
「レイズ様がいらっしゃったぞ!」
孤児院長のエイドリアンが出迎えてくれました。
その瞬間、院の中に張り詰めた空気が満たされます。
「ごきげんよう、皆様」
「こんにちは、レイズ様」
今、この施設には5人の孤児が養育されています。
名前は、アレク、アン、ユイ、クリス、ビリー。
年齢は皆10才前後です。クリスを除いて。
「皆、仕事は順調ですか?」
「はい!」
「それは何よりです」
エイドリアンが私に言って来ました。
「今は、字を教えておりますが本がもう少し欲しいと考えております」
「そうですか。善処致しましょう」
本は高価なものですが、私は教育にお金をかけることは大事だと考えております。
エイドリアンの提案に、一番喜んだのはアンでした。
アンは花売りをしていますが、本が大好きなのです。
「ありがとうございます、レイズ様」
「汚い手で触らないで頂けます?」
「えっと、ごめんなさい」
私が孤児院を出ようとすると、ドアが開き、誰か入ってきました。
「ライム家が運営している孤児院はここですか?」
その声は、パーティーで話していたロイ王子のものでした。
私は、緊張しながら返事を致します。
「はい。なにかご用でしょうか?」
「ここに、身売りをしている少女がいるという報告があり現状を把握しにきたのです」
「王子自らですか?」
「ええ、レイズ様がそのようなことを許すはずはないと思いまして」
私は扇子を広げ、顔を隠しながら答えました。
「承知しております。クリスは、今は体以外に売るものがないのですから」
ロイ王子はそれを聞くと、悲しそうな表情を浮かべ言いました。
「でしたら、王宮の下働きの仕事を与えましょう」
「え!? いいの!?」
クリスは嬉しそうに言いました。
「はい」
ロイ王子は笑顔で頷いたのです。
「ロイ様は何故、温情をかけるのですか?」
私が聞くと、ロイ王子は真面目な顔で答えました。
「本来、孤児の世話は王家の仕事だと僕は考えているからです」
「……そうですか」
私は扇子を閉じ、ロイ王子を見つめました。
「やはり、貴方は美しいですね」
ロイ王子の不意な言葉に、思わず赤面してしまいました。
「誰にでも、そのようなことを言っていると勘違いされてしまいますわよ」
私は後ろを向きました。
顔から汗が出そうだったからです。
「僕は貴方に興味があるんですよ、レイズ様」
「私の噂を聞いているのでしょう? ロイ様」
「ええ、賢くてやり手の貴族だと聞いています」
ロイ様はそう言って、私の前に回り込みました。
「今度、貴方の館にお邪魔してもよろしいですか?」
「構いませんわ。おもてなしは出来ないと思いますけれど」
私は冷静さを保つために、また扇子で顔を隠しました。
私は孤児院の視察を致しました。
「レイズ様がいらっしゃったぞ!」
孤児院長のエイドリアンが出迎えてくれました。
その瞬間、院の中に張り詰めた空気が満たされます。
「ごきげんよう、皆様」
「こんにちは、レイズ様」
今、この施設には5人の孤児が養育されています。
名前は、アレク、アン、ユイ、クリス、ビリー。
年齢は皆10才前後です。クリスを除いて。
「皆、仕事は順調ですか?」
「はい!」
「それは何よりです」
エイドリアンが私に言って来ました。
「今は、字を教えておりますが本がもう少し欲しいと考えております」
「そうですか。善処致しましょう」
本は高価なものですが、私は教育にお金をかけることは大事だと考えております。
エイドリアンの提案に、一番喜んだのはアンでした。
アンは花売りをしていますが、本が大好きなのです。
「ありがとうございます、レイズ様」
「汚い手で触らないで頂けます?」
「えっと、ごめんなさい」
私が孤児院を出ようとすると、ドアが開き、誰か入ってきました。
「ライム家が運営している孤児院はここですか?」
その声は、パーティーで話していたロイ王子のものでした。
私は、緊張しながら返事を致します。
「はい。なにかご用でしょうか?」
「ここに、身売りをしている少女がいるという報告があり現状を把握しにきたのです」
「王子自らですか?」
「ええ、レイズ様がそのようなことを許すはずはないと思いまして」
私は扇子を広げ、顔を隠しながら答えました。
「承知しております。クリスは、今は体以外に売るものがないのですから」
ロイ王子はそれを聞くと、悲しそうな表情を浮かべ言いました。
「でしたら、王宮の下働きの仕事を与えましょう」
「え!? いいの!?」
クリスは嬉しそうに言いました。
「はい」
ロイ王子は笑顔で頷いたのです。
「ロイ様は何故、温情をかけるのですか?」
私が聞くと、ロイ王子は真面目な顔で答えました。
「本来、孤児の世話は王家の仕事だと僕は考えているからです」
「……そうですか」
私は扇子を閉じ、ロイ王子を見つめました。
「やはり、貴方は美しいですね」
ロイ王子の不意な言葉に、思わず赤面してしまいました。
「誰にでも、そのようなことを言っていると勘違いされてしまいますわよ」
私は後ろを向きました。
顔から汗が出そうだったからです。
「僕は貴方に興味があるんですよ、レイズ様」
「私の噂を聞いているのでしょう? ロイ様」
「ええ、賢くてやり手の貴族だと聞いています」
ロイ様はそう言って、私の前に回り込みました。
「今度、貴方の館にお邪魔してもよろしいですか?」
「構いませんわ。おもてなしは出来ないと思いますけれど」
私は冷静さを保つために、また扇子で顔を隠しました。
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