3 / 4
3、森での再会
しおりを挟む
ある日、ブライズは天気が良かったので森に散歩に行くことにした。ブライズはパンとチーズの入ったバスケットと、スケッチブックを持っていくことにした。
森の中は鳥たちの声で思っていたよりも賑やかだった。
「気持ちよい風ですわ」
ブライズはお気に入りの場所に着くと、木々や花々のスケッチを始めた。
しばらくすると、人の気配がするのに気がついた。
「きゃあ!? デリック様!?」
「失礼致しました、ブライズ様。あまりに集中されていたので声をかけるタイミングを逸してしまって」
デリックは頭をポリポリとかいて、気まずそうに微笑んだ。
「素敵な絵ですね」
「たいしたことありませんわ」
ブライズは慌ててスケッチブックを隠した。
「兄とアシュリー様の肖像画も、応接室に飾らせて頂きました」
「まあ、恐れ多いですわ」
「いいえ、素敵な絵だと良くお客様にも言われていますよ」
ブライズは照れながらも、嬉しそうに微笑んだ。
「あの、ブライズ様はもう心に決めた方はいらっしゃらないのですか?」
「おりませんが、何故ですか?」
デリックはホッとした表情で話した。
「私などが話しかけてもご迷惑でないか、心配で」
「デリック様とのお話は楽しいですわ」
「立ち話も何ですから、座りませんか?」
「ドレスが汚れてしまいますよ」
「かまいませんわ」
デリックは森の話や木々、花の話をした。デリックの博学さにブライズは感心した。
「デリック様は物知りなのですね」
「本が好きで、幼少から図書室の本を片っ端から読んでおりましたから」
「それで」
デリックとブライズはしばらく黙って、風景を眺めていた。
「こんな風に黙ってしまうと、退屈ではありませんか?」
「いいえ、私は落ち着いた時間を過ごすことが楽しいのです。デリック様は?」
「私もです。……ブレイズ様とお会いできて良かったです」
デリックは俯いて言った。
「舞踏会でお会いするお嬢様方は賑やかすぎてついていけません」
「私も舞踏会や華やかな場所は苦手ですの」
「また、お会いできますか?」
「ええ、喜んで」
デリックはブライズに手を差し伸べた。ブライズはその手を取って、握手をした。
二人は見つめ合って、微笑んだ。
森の中は鳥たちの声で思っていたよりも賑やかだった。
「気持ちよい風ですわ」
ブライズはお気に入りの場所に着くと、木々や花々のスケッチを始めた。
しばらくすると、人の気配がするのに気がついた。
「きゃあ!? デリック様!?」
「失礼致しました、ブライズ様。あまりに集中されていたので声をかけるタイミングを逸してしまって」
デリックは頭をポリポリとかいて、気まずそうに微笑んだ。
「素敵な絵ですね」
「たいしたことありませんわ」
ブライズは慌ててスケッチブックを隠した。
「兄とアシュリー様の肖像画も、応接室に飾らせて頂きました」
「まあ、恐れ多いですわ」
「いいえ、素敵な絵だと良くお客様にも言われていますよ」
ブライズは照れながらも、嬉しそうに微笑んだ。
「あの、ブライズ様はもう心に決めた方はいらっしゃらないのですか?」
「おりませんが、何故ですか?」
デリックはホッとした表情で話した。
「私などが話しかけてもご迷惑でないか、心配で」
「デリック様とのお話は楽しいですわ」
「立ち話も何ですから、座りませんか?」
「ドレスが汚れてしまいますよ」
「かまいませんわ」
デリックは森の話や木々、花の話をした。デリックの博学さにブライズは感心した。
「デリック様は物知りなのですね」
「本が好きで、幼少から図書室の本を片っ端から読んでおりましたから」
「それで」
デリックとブライズはしばらく黙って、風景を眺めていた。
「こんな風に黙ってしまうと、退屈ではありませんか?」
「いいえ、私は落ち着いた時間を過ごすことが楽しいのです。デリック様は?」
「私もです。……ブレイズ様とお会いできて良かったです」
デリックは俯いて言った。
「舞踏会でお会いするお嬢様方は賑やかすぎてついていけません」
「私も舞踏会や華やかな場所は苦手ですの」
「また、お会いできますか?」
「ええ、喜んで」
デリックはブライズに手を差し伸べた。ブライズはその手を取って、握手をした。
二人は見つめ合って、微笑んだ。
10
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
【完結】私の婚約者を奪おうとした妹は、家が貰えると思っていたようです
しきど
恋愛
妹が私の婚約者と一夜を共にしました。
もちろん純愛ではありません。
妹は私がお父様から継いだ財産を独り占めするため、婚約者はこの屋敷を乗っ取るために私より妹の方が組みやすしと考えたため。つまり、お互いの利害のための情事にすぎなかったのです。
問い詰めると妹は案外あっさり浮気の事実を認め、その代わりとんでもない事を言い出しました。
「アズライ様の事は諦めますが、その代わり慰謝料としてこの屋敷の所有権を頂きます!」
……慰謝料の意味、分かってます?
戦術家として名を馳せた騎士の娘、男爵家の姉妹のお話。
悪役令嬢は、初恋の人が忘れられなかったのです。
imu
恋愛
「レイラ・アマドール。君との婚約を破棄する!」
その日、16歳になったばかりの私と、この国の第一王子であるカルロ様との婚約発表のパーティーの場で、私は彼に婚約破棄を言い渡された。
この世界は、私が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界だ。
私は、その乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。
もちろん、今の彼の隣にはヒロインの子がいる。
それに、婚約を破棄されたのには、私がこの世界の初恋の人を忘れられなかったのもある。
10年以上も前に、迷子になった私を助けてくれた男の子。
多分、カルロ様はそれに気付いていた。
仕方がないと思った。
でも、だからって、家まで追い出される必要はないと思うの!
_____________
※
第一王子とヒロインは全く出て来ません。
婚約破棄されてから2年後の物語です。
悪役令嬢感は全くありません。
転生感も全くない気がします…。
短いお話です。もう一度言います。短いお話です。
そして、サッと読めるはず!
なので、読んでいただけると嬉しいです!
1人の視点が終わったら、別視点からまた始まる予定です!
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・
青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。
「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」
私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる