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6.騎士団見学
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ブラッド様は夜遅くに帰ってくると、開口一番私に言った。
「ローラ、騎士団の訓練の見学許可が下りた。明後日の午前中だ。前に見学したいと言っていただろう?」
「え! 本当ですか!? ありがとうございます!」
顔をほころばせた私に、ブラッド様は優しく微笑み返す。
「とは言っても、私は仕事があるからローラにかまうことはできないし、訓練は地味で見ていて楽しいものではないと思う」
心配するような表情でブラッド様は言った。
「でも、働いているブラッド様を見られるのは……とても楽しみです」
「そういうものか? 私にはよくわからないが。今もそばにいるだろう?」
ブラッド様は私に顔を近づけて、じっと目を見つめた。
騎士団の制服を着て、馬を操る兵士たちを想像しただけでドキドキする。
今でもやっぱり、騎士たちへのあこがれは在るのだ。
「当日は副団長のトリスタンが案内する」
「分かりました」
私はブラッド様に抱き着いて、にっこり微笑んだ。
「なんだ? そんなに嬉しいのか?」
ブラッド様は私の頭を撫で、微笑み返してくれた。
「だって、たくさんの騎士様が訓練されているんでしょう? 子どものころに見たことがあるけど、とても格好いいでしょうね」
ブラッド様の眉間にしわが寄る。
「……君は、私だけを見ていればいい」
「え?」
「なんでもない」
急に不機嫌になったブラッド様に、私は戸惑った。
***
騎士団の訓練見学の日になった。天気が良く、風が心地よい。
私はブラッド様への差し入れを持ち、馬で王宮に向かった。
王宮の門兵に、騎士団長ブラッドの妻だと告げると、少し待つように言われた。
私は馬から降り、しばらく待っていると馬に乗った騎士が現れた。
茶色の髪に薄い茶色の目。教会の天井に描かれたフレスコ画の天使のような可愛らしい顔立ち。綺麗な人だな、と私が見とれていると、騎士は不機嫌そうな声で言った。
「ブラッド騎士団長の妻のローラ様ですか?」
「はい」
「私は副団長のトリスタン・ディスキンです。本日、訓練の見学に付き添うようブラッド騎士団長から指示がありました。……訓練場にご案内いたします」
トリスタン様は、私の頭のてっぺんからつま先までジロリと見た後、ため息をついた。
「あの方が……惑わされるとは……こんなつまらない女性に……」
「え?」
「見学が終わったら、すぐにお帰り下さい。王宮は遊び場所ではありませんから」
トリスタン様の視線は、私を貫くように鋭かった。
「分かりました」
私、そんなに悪いことをしたのかしら? と不安になりながら、馬に乗りトリスタン様の後に続いた。
「ローラ、騎士団の訓練の見学許可が下りた。明後日の午前中だ。前に見学したいと言っていただろう?」
「え! 本当ですか!? ありがとうございます!」
顔をほころばせた私に、ブラッド様は優しく微笑み返す。
「とは言っても、私は仕事があるからローラにかまうことはできないし、訓練は地味で見ていて楽しいものではないと思う」
心配するような表情でブラッド様は言った。
「でも、働いているブラッド様を見られるのは……とても楽しみです」
「そういうものか? 私にはよくわからないが。今もそばにいるだろう?」
ブラッド様は私に顔を近づけて、じっと目を見つめた。
騎士団の制服を着て、馬を操る兵士たちを想像しただけでドキドキする。
今でもやっぱり、騎士たちへのあこがれは在るのだ。
「当日は副団長のトリスタンが案内する」
「分かりました」
私はブラッド様に抱き着いて、にっこり微笑んだ。
「なんだ? そんなに嬉しいのか?」
ブラッド様は私の頭を撫で、微笑み返してくれた。
「だって、たくさんの騎士様が訓練されているんでしょう? 子どものころに見たことがあるけど、とても格好いいでしょうね」
ブラッド様の眉間にしわが寄る。
「……君は、私だけを見ていればいい」
「え?」
「なんでもない」
急に不機嫌になったブラッド様に、私は戸惑った。
***
騎士団の訓練見学の日になった。天気が良く、風が心地よい。
私はブラッド様への差し入れを持ち、馬で王宮に向かった。
王宮の門兵に、騎士団長ブラッドの妻だと告げると、少し待つように言われた。
私は馬から降り、しばらく待っていると馬に乗った騎士が現れた。
茶色の髪に薄い茶色の目。教会の天井に描かれたフレスコ画の天使のような可愛らしい顔立ち。綺麗な人だな、と私が見とれていると、騎士は不機嫌そうな声で言った。
「ブラッド騎士団長の妻のローラ様ですか?」
「はい」
「私は副団長のトリスタン・ディスキンです。本日、訓練の見学に付き添うようブラッド騎士団長から指示がありました。……訓練場にご案内いたします」
トリスタン様は、私の頭のてっぺんからつま先までジロリと見た後、ため息をついた。
「あの方が……惑わされるとは……こんなつまらない女性に……」
「え?」
「見学が終わったら、すぐにお帰り下さい。王宮は遊び場所ではありませんから」
トリスタン様の視線は、私を貫くように鋭かった。
「分かりました」
私、そんなに悪いことをしたのかしら? と不安になりながら、馬に乗りトリスタン様の後に続いた。
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