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壊れた時計
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『壊れた時計』
「うっ・・・女王様には、会って謝るよ。」
「ふぅん。」
「うさぎも女王様のところにいるかもしれないし! 」
「わわわ、そんな、危ないですよ! 危なくないかもしれないけど、危ないですよ?! 」
「三日月うさぎ? 」
可愛いうさぎが目を白黒させて良く分からないことを喚き始める。
「あのね~、チバくんはパニックになると言いたいことが反対になっちゃうんだよ。」
「うわわ、そんなことないです! そうなんです! 」
「・・・なんか厄介だな。可哀想に。」
「平気、平気~。すぐに元に戻るからさ。」
三日月うさぎは耳をパタパタさせている。
彼に友達が少ない理由がこの厄介な癖だということは、アリスにもよく分かった。
「なぁ、女王様ってどこにいるんだ? どんな人? 」
「ふふ、女王様っていったらお城にいるに決まってるじゃん。」
「そう・・・だよな。」
ジェイドが「ほら」と、指さすがそこには何もない。ただのバラの生垣だ。
適当な性格なのだろう。
「あのね、女王様はすご~く綺麗な人だよ。ハートの女王様って呼ばれてる。」
「へぇ! 綺麗な人なのか。」
「でも、・・・すごく、怖い人だよ。」
「怖いって」
「わわわっ怖くなんてないですよ! とっても危ないだけ! 」
「分かったから、チバくんお茶でも飲んでなよ~。」
「ううううっ」
帽子屋にカップを押しつけられて三日月うさぎが深呼吸を繰り返している。
「三日月うさぎは、なにかトラウマでもあるのか? 」
「気にしないで。チバはこういう子なんだから。それに、怒られたのは俺の方。」
「え? 」
帽子屋は、胸のポケットから銀の懐中時計を取りだした。
緑色の鳥が描かれた美しい時計だ。
文字盤もうっすら緑がかっている。
だが、
「あれ・・・? 」
「そう。止まってる。」
針は、きっかり12と3で止まってしまっている。
「あまりにも仕事しないからね~、女王様が怒ってさ。俺の時計、壊されちゃったんだ。『ずっと、お茶会してなさい! 』ってね。」
「それで3時なのか。」
「夜の3時か昼の3時か、それすら分からない。だからね、俺には明日が来ないのさ。」
帽子屋は空を指さす。
そういえばこの場所にきてからずっと昼なのか夜なのか分からない。
明るいけれど太陽が見えない。月もない。
「ずっと呪われ続けてる。終わりのないお茶会をしながら救いのない一日を永遠に繰り返すんだ。」
「ヒドイことするんだな・・・。」
「でも大丈夫。チバくんが時間を教えてくれるからね。」
「は、・・・はい。僕は、時計を持っていますから。」
落ちついたらしい三日月うさぎが頬を赤らめて頷く。
同じうさぎたちとは暮らさずになぜか彼は、帽子屋のお茶会に訪れ続けているらしい。
「やっぱり俺、女王様に会いにいってくるよ。
ついでに、ジェイドの時計も直してくれるように頼んでみる。」
「それは・・・無理だと思うけど。アリスは、不思議だね。ここでは、みんな役を持ってる。女王様もね。けど、アリスだけは違う。」
「俺だけ? 」
「アリスは特別です! 」
「そうだよ、アリスは特別。だから気をつけてね。」
「良く分からないけど、ありがとう! また戻ってくるよ。」
「行ってらっしゃい~」
アリスは、勢いよく立ちあがる。
お茶会を続けるらしい二人に別れを告げて、また生垣の中に足を踏み入れた。
「ねえ、チバくん? アリスもお茶会していた方が幸せだよね? 」
「ええ、そうですね。」
「また戻ってくるといいね~。」
「はい。」
何杯目かのお茶を注ぎながら、ジェイドが口ずさむ。
ーーー【アリス】は、特別。
to be continued....?
「うっ・・・女王様には、会って謝るよ。」
「ふぅん。」
「うさぎも女王様のところにいるかもしれないし! 」
「わわわ、そんな、危ないですよ! 危なくないかもしれないけど、危ないですよ?! 」
「三日月うさぎ? 」
可愛いうさぎが目を白黒させて良く分からないことを喚き始める。
「あのね~、チバくんはパニックになると言いたいことが反対になっちゃうんだよ。」
「うわわ、そんなことないです! そうなんです! 」
「・・・なんか厄介だな。可哀想に。」
「平気、平気~。すぐに元に戻るからさ。」
三日月うさぎは耳をパタパタさせている。
彼に友達が少ない理由がこの厄介な癖だということは、アリスにもよく分かった。
「なぁ、女王様ってどこにいるんだ? どんな人? 」
「ふふ、女王様っていったらお城にいるに決まってるじゃん。」
「そう・・・だよな。」
ジェイドが「ほら」と、指さすがそこには何もない。ただのバラの生垣だ。
適当な性格なのだろう。
「あのね、女王様はすご~く綺麗な人だよ。ハートの女王様って呼ばれてる。」
「へぇ! 綺麗な人なのか。」
「でも、・・・すごく、怖い人だよ。」
「怖いって」
「わわわっ怖くなんてないですよ! とっても危ないだけ! 」
「分かったから、チバくんお茶でも飲んでなよ~。」
「ううううっ」
帽子屋にカップを押しつけられて三日月うさぎが深呼吸を繰り返している。
「三日月うさぎは、なにかトラウマでもあるのか? 」
「気にしないで。チバはこういう子なんだから。それに、怒られたのは俺の方。」
「え? 」
帽子屋は、胸のポケットから銀の懐中時計を取りだした。
緑色の鳥が描かれた美しい時計だ。
文字盤もうっすら緑がかっている。
だが、
「あれ・・・? 」
「そう。止まってる。」
針は、きっかり12と3で止まってしまっている。
「あまりにも仕事しないからね~、女王様が怒ってさ。俺の時計、壊されちゃったんだ。『ずっと、お茶会してなさい! 』ってね。」
「それで3時なのか。」
「夜の3時か昼の3時か、それすら分からない。だからね、俺には明日が来ないのさ。」
帽子屋は空を指さす。
そういえばこの場所にきてからずっと昼なのか夜なのか分からない。
明るいけれど太陽が見えない。月もない。
「ずっと呪われ続けてる。終わりのないお茶会をしながら救いのない一日を永遠に繰り返すんだ。」
「ヒドイことするんだな・・・。」
「でも大丈夫。チバくんが時間を教えてくれるからね。」
「は、・・・はい。僕は、時計を持っていますから。」
落ちついたらしい三日月うさぎが頬を赤らめて頷く。
同じうさぎたちとは暮らさずになぜか彼は、帽子屋のお茶会に訪れ続けているらしい。
「やっぱり俺、女王様に会いにいってくるよ。
ついでに、ジェイドの時計も直してくれるように頼んでみる。」
「それは・・・無理だと思うけど。アリスは、不思議だね。ここでは、みんな役を持ってる。女王様もね。けど、アリスだけは違う。」
「俺だけ? 」
「アリスは特別です! 」
「そうだよ、アリスは特別。だから気をつけてね。」
「良く分からないけど、ありがとう! また戻ってくるよ。」
「行ってらっしゃい~」
アリスは、勢いよく立ちあがる。
お茶会を続けるらしい二人に別れを告げて、また生垣の中に足を踏み入れた。
「ねえ、チバくん? アリスもお茶会していた方が幸せだよね? 」
「ええ、そうですね。」
「また戻ってくるといいね~。」
「はい。」
何杯目かのお茶を注ぎながら、ジェイドが口ずさむ。
ーーー【アリス】は、特別。
to be continued....?
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