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聖剣使い現る!! 勇者の監禁ENDがまた一つ近づいた
しおりを挟む―― 王都と魔界の境界線に位置する平原
見渡す限り続く、綺麗な花達が有名な観光名所の一つ。
普段ならば、親子連れ達で賑わっている此処だが、現在はその様子はない。
太陽は身を隠し、鉛色の雲が空を覆い隠した。
魔物が出現した兆候だ。
鉛色の空の訪れを察知し、民家に逃げ込む市民たち。
魔物の進行に震えながらも、どこか安堵している。
それは彼らの不安を塗りつぶす程の眩い輝きを知っているからだ。
勇者。
それは、民草の希望の象徴。
聖剣。
それは、この世に生きる善なる願いが形作ったもの。
平和な明日への道を切り開く聖なる光。
眩い輝きを携えて、勇者は魔物の群生の前に降り立つ。
見渡す限り、視界いっぱいに広がる狼型の魔物。
紫色の汚れた魔力をその身に纏う邪悪なる存在だ。
抜き身の聖剣が金色に輝き辺りを照らす。
聖剣の輝きは邪悪な存在を天へと返す。
生半可な魔物ならばこれだけで消え去るだろう。
「はぁっ!」
気合の声と共に、太陽が三日月に変わる。
視界いっぱいに広がった三日月形の斬撃は、辺りに広がる魔物の存在を切り裂きながら天へと昇る。
平原に太陽の日差しが訪れ、魔物の居ない優しい時間へと戻っていく。
これが勇者。
我らが希望。
民衆の心には、いつも勇者が居るのだ。
―― 勇者の家
魔方陣を使って、勇者の活躍を見ていた女神とパンイチの勇者。
「ジェスター。これって貴方が持ってるはずの聖剣ですよね?」
「えぇ、間違いないかと。ほら、柄の部分に名前が書いてありますから」
魔方陣を拡大してみると、確かに聖剣の柄の部分にジェスターと書かれていた。
「聖剣に名前を書かないで下さいっ! ってそんなことはいいんです! 貴方の聖剣を扱える"あの勇者"は何者なんですか!?」
「そうっすねぇ...多分、嫁っすね! ほら、俺にはない胸があるでしょう?」
「確かに、骨格もどことなく女性っぽいですね...」
女神はさらに頭を悩ます。
「貴方の奥様って何者なの?」
「さぁ?」
神も勇者も嫁の正体は分からない。
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