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女神との待ち合わせよりも、自分の失言を何とかフォローすることに全力を注ぐ

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https://www.youtube.com/channel/UCBtyMAqubHYP66oxTwxVSsQ渋々ながらもプライドを投げ打ち土下座を披露した女神の頼みの為に、王都にある神殿へと足を運ぶ。
木々が生い茂る森の中をのんびりと歩くこと数分。

王都で行われている朝市の時間には到着。
ジェスターは王都では冒険者として活動しているため、今いる、王都正面通りや、その他裏道など勝手知ったる物だ。
地道に依頼をこなしていった甲斐もあり、ジェスターとすれ違うたびに気さくに話しかけてくる人も増えた。

朝市で賑わう大通りを暫く進み、小さな路地に入る。
太陽の日が差し込まず、濡れた空気がジメジメとしている。
「ったく、なんでこんな場所なんだよ」
湿気を多分に含んだ空気がどうにも苦手なようで、顔をしかめながら奥に進む。

目の前には数人が椅子に腰かけながら、朝食をとっているようで、ジェスターもその一団に加わる。

「ピエールさん、おはようございます」
ピエールと呼んだ男性の向かい合わせになるように、空いている席に着く。

「おや、珍しいこともある物ですな。ジェスター君の活動時間は昼からでしょうに」
空いている席に着いたジェスターを見るや否や、目を丸くする小太りの男性。
清潔感が感じられる白い服装に身を包んでおり、この薄汚いく暗い路地裏では違和感がある。
遠目から見ると、暗い中にふわりと真っ白い物体が浮かんでいるように見えることだろう。

「今日は、用事があるんすよ、なんで朝からこっちに来てるんす」
「成程、その口ぶりからすると冒険者としての用事ではなく、"あっち"案件ですかね?」
「うっす、なんでも神殿に行って聖女様と話しなきゃいけないそうで...」
その言葉ににんまりとした笑みを浮かべる小太りの男性。

「おやおや、ついに我らが勇者様が聖女と邂逅ですか...もしや新たな歴史の一ページを目撃するチャンスでは?」
その言葉にゲンナリとするジェスター。

「勘弁してくださいよ、ピエールさんも知ってるでしょう、俺がそういうの嫌いだって...」
「おっとそうでしたな、これは失礼を」
気を悪くしたジェスターにお詫びの意味も込めてか、手を上げオーダーをするピエール。
ジェスターに配膳された食事は、出来立てなのかモワモワと湯気が立ち上りとても暖かさそうだ。

「それはお詫びですので、食べてください。朝から食べる分厚い肉は一日の活力を授けてくれますよ」
「...ありがとうございます」
一礼し、目の前の分厚い肉にかぶり付く。
口の中に広がるスパイスの香りが、租借する動きを加速させる。
朝からは流石にと思っていたジェスターだが、あっという間に平らげてしまう。

「ごちそうさまでした」
「はい、お粗末様です」
ジェスターが食事を終えたタイミングを見計らい、ピエールの後ろの席からひょっこりと女性が顔を出す。
どうやら、向きを反対にして椅子に膝立ちで座っているようで、その様子は子供っぽい印象だ。
彼女の金色の髪がそうさせているのか、子供っぽい仕草がそうさせているのか分からないが、子供のようにワクワクとしている。

「ジェス君、ジェス君。これから神殿に行くんでしょ? 私も一緒に言っていいかな?」
「はい、全然いいですけど、アリスさんはなんか用事でもあるんすか?」
アリスと呼ばれた金髪の女性はよっしゃーと勢いよく立ち上がり、ジェスターの席まで早足で駆け寄る。

「私は、神殿にお呼ばれしてるの。ほら、私って凄腕の魔法使いじゃん?」
その場でくるりと回り、背中の杖を振り回しポーズを決める。

「おぉ! 流石はアリスさん。今日も決まっていますな!」
ピエールはアリスのポーズに満足したのか拍手を送っている。
それに釣られジェスターも拍手を戸惑いながら送る。
人間の機微に敏感なのかジェスターの戸惑いがアリスに伝わったようで、怪訝な顔をしている。

「ジェス君、私のポーズ...かっこよくなかった?」
ジェスターとキスが出来そうなほどに顔を近づけるアリス。
本来ならば、恋人のような、もしくは顔を赤らめて甘酸っぱい雰囲気が出ると思いきや、ジェスターの顔色は青ざめている。
冷や汗を浮かべるジェスターは顔をそらしつつ、ポツリポツリと言葉を零す。

「いやいや...かっこよかったですけど...流石に年齢を考えたら...キツイっす」
その言葉は極寒の冬に流れる肌を刺す風のように冷たかった。
ピエールは勿論のこと、この場にいる全員が食事の手を止め、息をひそめた。
それはこれ以上、彼女を刺激してはならないという意思の表れだ。
しかし、彼らは発端であるジェスターを攻めるようなことはしない。

「ジェスター君...地雷除去...のために...」
涙ぐむピエール。
彼も声を潜めていたが、ジェスターの心情を察し、思わず声を漏らす。

アリスは今年で32歳となる。
立派な大人であり、その職業も王宮お抱えの魔術師と言う真面目な物だ。
しかし、当の本人は自分を10代後半程度の年齢だと思っている節があり、その言動、仕草が子供っぽいのだ。
彼女を昔から知る人は語る。
昔はまだよかった。
可愛らしく、愛嬌があり同僚からも人気だった。
だが、時の流れは残酷であり、その流れに逆らえるものは神話の中にしかいない。
そう、アリスも時代の流れに逆らえなかった。
見る見るうちに、行動と年齢が乖離していき、20後半で病気を疑い、30になったときには病気ではないと悟った。
言い方は悪いが、病気ならばまだ直す手立てはあったかもしれない。
周りの人間は彼女を面白がり、哀れみ、そっとしておくという選択肢しか取れなかったが、そこに勇者が現れた。

年齢と行動がそぐわない彼女に対して、正論と言う名の剣を突き付けたのだ。
その蛮行とも取れる行動を止める物はいなかった。
彼らが心の底から思っているのは、彼女にその意味を突き付けること。
彼女が、年齢にそぐわない行動をとっているという事を理解しながらも、まだ続けるのなら何も言うまい。
しかし、彼女が世間的に言う"イタイ大人"という物にカテゴライズされてしまっているということを知らなかったら?
彼女の本意ではなかったら?
本来ならば、周りの人間が言うべきだ。
しかし、言えなかった。

30代には見えない幼さが残る外見から放たれる無邪気な笑顔が、彼らの喉元から放つ予定の言葉を飲み込ませた。
彼らは正しく、歴史の一ページを目撃した。
両者、何も言葉を発することはない。

「で、でも、アリスさんってメチャクチャ美人で可愛いから...そのポーズも...似合っていますよ」
流石の勇者も沈黙には耐えられなかったようで、すぐさまフォローに回る。
当のアリスは茫然自失と言った様子であり、だらりと下げられた両の手には力がない。
右手の杖もカラリと落ちる。

その音を合図に、朝食そっちのけでこの場にいる数名がアリスの周りを取り囲む。
勇者が先陣を切ったのだ、その後に続かなくてどうする! といった気概が感じられる勢いだ。

「ジェスターの言う通り、アリスってすごい可愛いからポーズも似合ってるし、今日のローブも可愛いよ! 同じ女だから分かるよ、そのローブのこだわり!」
黒髪の女性はアリスのローブをべた褒めする。

その言葉に瞳の色が戻っていく。

「そうだぜ、俺の同僚もアリスの事が気になってるって言ってたぜ? 知ってるか、アリスってかなり人気なんだぜ? もしかしたら例の聖女様以上かもな?」
筋肉隆々の男性がアリスの人気ぶりを称える。

その言葉はアリスの両手に力を宿す。

ここぞとばかりにアリスコールが路地裏に木霊する。
それに呼応するかのようにアリスの状態が回復する。

歓声が上がるころには、正常に起動。
しかし、アリスの心の中には自分がイタイ大人だと言う認識が残る。
それだけならばいいが、その認識が足を引っ張り調子を崩すだけでなく、何もかもが変わってしまうかもしれない。
それを恐れ、アリスに言い出せなかった。
都合のいい願いだと言うのはこの場にいる全員が願っている。
が、願わずにはいられない。

その願いを叶えるのは、女神でも聖女でもなく、この場にいる勇者だ。
後に彼らは言う、勇者の一言は、無垢で穢れのないイタイ大人の心を救ったと。

「アリスさん...」
「っ!」
アリスは正常な思考は出来ていない。
今までの自分を振り返り、その所業が他社にどう映っていたのか理解したからだ。
そうなったら最後、今まで培った何もかもをかなぐり捨てたいと思ってしまう。

「な...なにかな? ごめんね...今まで気づかなかったよ...私って...もう...32歳なんだよね。それなのに、カッコいいポーズとか...気持ち悪いよね。...よね」
顔は青ざめ、目には涙。
ワナワナと震える口からこぼれる言葉には、今までの彼女からは想像できない程の悲しみが感じられる。

「アリスさんっ!!」
その言葉はアリスを支配する悲しみの壁に僅かな風穴を開けた。

次の瞬間、先ほどアリスが見せたポーズにさらに改良を加えた、勇者っぽいポーズをする。
その様子に呆気にとれらる一同。

しかし、ジェスターの真意が分かったのか、アリス以外の全員が各々が思うカッコいいポーズをしていく。
アリスを囲むようにして行われるカッコいいポーズ。

その様子は常人ならば頭に疑問符が浮かぶ光景だ。
だが、囲まれたアリスは嬉しそうに顔を綻ばす。

「みんなぁ...」
アリスは思った、自分が受け入れらたのだと。
今までの自分でいいのだと。
アリスはここぞとばかりに、カッコいいポーズ新バージョンを披露。

それを皮切りに沸く一同。
そのボルテージは最高潮に達した時に、誰が言い出したのか宴会だ! の一声。

各々、路地に面した店の席を移動させ、宴会の体制に。
朝から、酒を飲み、つまみを食べての大宴会が開かれた。

その一角には、ジェスターとピエールが居た。
「ジェスター君っ! 今回は上手くいったけど、正直危なかったよ...」
「うっす、本当にすみません」
平謝りするジェスター。

「今度、可愛い女の子を紹介してよね? 勿論、僕の好みの子...出来るよね? 出来なくてもするよね?」
「...うっす。自分、頑張らせていただきます。今回は、皆さんに迷惑おかけしました...」
二人の視線の先には、上機嫌にはしゃぐアリス。

「まぁ、アリスが元気そうでよかったよ...行きましょうか」
「はいっす、自分、一生ついてきます」
今回ばかりは、ジェスターも非を認めたのか下手に出て配膳や、注文する役割を担う。

王都 神殿
太陽も沈み、夜の喧騒も静まったころ。
ステンドグラス差し込む月の光が照らす部屋。

そこには、白い衣装に身を包む女性がポツンと佇んでいた。
何かを待っていたのか、ひたすらに部屋の入り口を凝視している。
が、それにも画面の限界が来たのかワナワナと拳を振るわせ、額に青筋を浮かべる。

「おっそいっ! 何してんだよ勇者わっ!!!!!」
女神の指示通り、勇者を待っていた聖女の怒りの咆哮は、イタイ大人たちの宴会の喧騒にかき消された。
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