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世界大会
第73話
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受付「はい、レイスさんですね。こちらにサインを…」
じじい「サイン?俺のファンか?」
受付「…はい?」
被せ作戦は効果が無かったようだ。
ヘンリー「なに、毎回その件やってんの?」
ドーン「そう言えば前回も毎回やってますね。」
じじい「放っておいてくれ。」
くじの結果は4番。何となく不吉な番号だ。日本であるなら。
ニャン太「さて、後はケーオってのが何番になるかだな。」
ドーンとヘンリーの間に入って、ニャン太が喋ってもだれが喋っているか分からないだろう作戦だ。
ヘンリー「もうすぐ組み合わせの結果が出そうですね。」
兵士が大きな紙を持ってきた。あれに組み合わせが書いてあるのだろう。前の壁に貼られていく。
じじい「一回戦は…刺華か。何て読むんだこれ?」
ヘンリー「ああ、ありゃシカだな。去年も出てた。」
じじい「刺華でシカって読むの?動物?」
ニャン太「鹿じゃねえよ!」
ドーン「ケーオは14番です。決勝まで当たりませんね。」
じじい「うむむ…お約束な展開だな。」
ニャン太「メタんじゃねえよ!」
ポーン「皆さん、おはようございます。」
ヘリ―「おっ、ポーンじゃん。」
じじい「おはよう、準決勝で当たれるな。」
ポーン「そうですね。それまでに負けない様に頑張らないと。」
ふいに一人の男と目が合った。
冷たい目をしている。一瞬ケーオかもと思ったが、違うだろう。クスリに依存しているヤツにしては、目がしっかりしている。
ドーン「ケーオ、ですね。」
じじい「ケーオなんかい。」
あれがケーオか…佇まいからして強敵だと分かる。あれにクスリやら魔王やらの上乗せがあると考えると…
じじい「結構やばいかもな。」
ヘンリー「じいさん、あれが刺華だぜ。」
ヘンリーの視線の先には侍みたいな奴がいた。目つきが悪く、嫌な感じだ。人を殺すのに躊躇もなさそうだな。
兵士「それではまもなく大会を始めます。選手と付き添いの方のみ奥へお進み下さい。観客の方は両脇の扉から観客席へお進み下さい。」
じじい「え、付き添いも一緒に入れんの?」
ヘンリー「そうだぜ。まあ付き添いを連れて来るヤツなんて、ほんの一握りだろうけどな。」
確かに、付き添いがあるのは数える位だった。傍から見たらじじいの介護の方、って見えるかもしれない。
奥の控室は広めの廊下に部屋がいくつも付いている感じだった。更に奥へ行くと闘技場への階段がある。扉にはドアに番号が振られていた。くじの番号だろう。
部屋はまあまあな広さで、机や椅子が置いてあった。段の上がった畳のスペースは昼寝用なんだろうか?盗難防止用の金庫もあるし、衣装を整える為の鏡も用意されていた。
じじい「HP回復薬とMP回復薬が両方瓶ごと置いてあるぜ。」
ヘンリー「これは支給品だから、全部使っても持って帰ってもOKだ。」
ニャン太「すげえな…幾らするんだ。」
ドーン「大怪我は無理ですけど、ちょっとした怪我なんかは問題なく治せますね。」
コンコン
兵士「まもなくセレモニーが始まります。レイス選手はこちらへどうぞ。」
じじい「分かった。」
セレモニー?今まで無かったのに…流石は世界大会。200年前の時にも無かったけど。
観客席は埋め尽くされ、凄まじい歓声が聞こえる。
兵士「それでは選手達に登場して頂きます。」
一人一人の紹介に合わせ順番に闘技場へ出て行く。毎回、歓声や拍手が聞こえる。
兵士「続きまして…4番、レイス選手!」
じじいは若干緊張しながら前へ出た。歓声と拍手は続いている。良かった、急に静かになるなんて事もなさそうだ。
兵士「聖剣流という剣術の使い手です。見た目とは裏腹に豪快な戦いっぷりで今までの大会を制してきました。本選大会の時には、選手に擬態した魔物をも打ち倒しております。」
どうやら各大会での事が紹介されるらしい。
兵士「続きまして…5番…………」
そうやってセレモニーは無事に進んだ。
じじい「サイン?俺のファンか?」
受付「…はい?」
被せ作戦は効果が無かったようだ。
ヘンリー「なに、毎回その件やってんの?」
ドーン「そう言えば前回も毎回やってますね。」
じじい「放っておいてくれ。」
くじの結果は4番。何となく不吉な番号だ。日本であるなら。
ニャン太「さて、後はケーオってのが何番になるかだな。」
ドーンとヘンリーの間に入って、ニャン太が喋ってもだれが喋っているか分からないだろう作戦だ。
ヘンリー「もうすぐ組み合わせの結果が出そうですね。」
兵士が大きな紙を持ってきた。あれに組み合わせが書いてあるのだろう。前の壁に貼られていく。
じじい「一回戦は…刺華か。何て読むんだこれ?」
ヘンリー「ああ、ありゃシカだな。去年も出てた。」
じじい「刺華でシカって読むの?動物?」
ニャン太「鹿じゃねえよ!」
ドーン「ケーオは14番です。決勝まで当たりませんね。」
じじい「うむむ…お約束な展開だな。」
ニャン太「メタんじゃねえよ!」
ポーン「皆さん、おはようございます。」
ヘリ―「おっ、ポーンじゃん。」
じじい「おはよう、準決勝で当たれるな。」
ポーン「そうですね。それまでに負けない様に頑張らないと。」
ふいに一人の男と目が合った。
冷たい目をしている。一瞬ケーオかもと思ったが、違うだろう。クスリに依存しているヤツにしては、目がしっかりしている。
ドーン「ケーオ、ですね。」
じじい「ケーオなんかい。」
あれがケーオか…佇まいからして強敵だと分かる。あれにクスリやら魔王やらの上乗せがあると考えると…
じじい「結構やばいかもな。」
ヘンリー「じいさん、あれが刺華だぜ。」
ヘンリーの視線の先には侍みたいな奴がいた。目つきが悪く、嫌な感じだ。人を殺すのに躊躇もなさそうだな。
兵士「それではまもなく大会を始めます。選手と付き添いの方のみ奥へお進み下さい。観客の方は両脇の扉から観客席へお進み下さい。」
じじい「え、付き添いも一緒に入れんの?」
ヘンリー「そうだぜ。まあ付き添いを連れて来るヤツなんて、ほんの一握りだろうけどな。」
確かに、付き添いがあるのは数える位だった。傍から見たらじじいの介護の方、って見えるかもしれない。
奥の控室は広めの廊下に部屋がいくつも付いている感じだった。更に奥へ行くと闘技場への階段がある。扉にはドアに番号が振られていた。くじの番号だろう。
部屋はまあまあな広さで、机や椅子が置いてあった。段の上がった畳のスペースは昼寝用なんだろうか?盗難防止用の金庫もあるし、衣装を整える為の鏡も用意されていた。
じじい「HP回復薬とMP回復薬が両方瓶ごと置いてあるぜ。」
ヘンリー「これは支給品だから、全部使っても持って帰ってもOKだ。」
ニャン太「すげえな…幾らするんだ。」
ドーン「大怪我は無理ですけど、ちょっとした怪我なんかは問題なく治せますね。」
コンコン
兵士「まもなくセレモニーが始まります。レイス選手はこちらへどうぞ。」
じじい「分かった。」
セレモニー?今まで無かったのに…流石は世界大会。200年前の時にも無かったけど。
観客席は埋め尽くされ、凄まじい歓声が聞こえる。
兵士「それでは選手達に登場して頂きます。」
一人一人の紹介に合わせ順番に闘技場へ出て行く。毎回、歓声や拍手が聞こえる。
兵士「続きまして…4番、レイス選手!」
じじいは若干緊張しながら前へ出た。歓声と拍手は続いている。良かった、急に静かになるなんて事もなさそうだ。
兵士「聖剣流という剣術の使い手です。見た目とは裏腹に豪快な戦いっぷりで今までの大会を制してきました。本選大会の時には、選手に擬態した魔物をも打ち倒しております。」
どうやら各大会での事が紹介されるらしい。
兵士「続きまして…5番…………」
そうやってセレモニーは無事に進んだ。
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