聖剣の光Ⅰ(完結)

まさきち

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魔王復活

第64話

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魔王「勇者も歳を取ったものだ。昔のお前なら、さっきの攻撃でダメージを与えていただろう。」
じじい「黙れ。」
魔王「年老いたお前の攻撃ではかすり傷程度にしかならんわ。」
じじい「黙れっ!」


じじいは再度ライト斬りを放つ。魔王はそれをかわす事も避ける事もせず、ただ受けた。


じじい「!?」


魔王「とは言え、復活して最初の相手がお前とは。運命すら感じるぞ。ふはははは!」



全く効いた様子も無い。これでは奥義を放ったとしても…しかし魔王を倒す為だけにここまで生きてきた。ここはやるしかない。


じじい「この戦いが運命っていうなら、お前が再び封印されるのも運命。行くぞ魔王!これが俺の人生最後の決戦だ!」

魔王「良いだろう。復活しかばかりで力は戻り切っていない。だがお前の相手ならこれで充分だ。」



魔王は爪を振るう。先読みでそれをかわし、剣撃を叩き込む。


ギィン!


直撃するも、やはりダメージが通らない。まるでドラゴンの様な強靭な皮膚である。


じじい「普通に攻撃してもまるで効かない…」


いきなりで申し訳ないが、奥義で攻撃するしかない。じじいは気を溜め始めた。


魔王「ほう、必殺技を出すのか。」
じじい「普通の攻撃が通らない以上、やるしか無い。」
魔王「面白い、受けてやろうじゃないか。」


魔王は爪を長く伸ばす。本当に受け止めるつもりだろうか。


じじい「いくぞ、奥義・光の一撃!」


じじいは魔王に駆け寄り、全力で奥義を放った。聖剣が光り輝き、魔王を襲う。魔王は爪で襲い掛かる聖剣を受け止める。



ギイィン!



光が収まっていく。

渾身の奥義は爪で受け止められてしまった。



じじい「ま、まさか…」
魔王「今まででは一番良かったぞ。」


魔王は聖剣を受け止めたまま爪を振りぬいた。じじいは勢いよく吹き飛ばされ、壁に打ち付けられる。


魔王「ほう、私の爪に傷をつけた様だな。流石は勇者という訳だ。」


ニャン太「じじい!しっかりしろ!」
じじい「ぐ…ハイヒール。」


回復魔王で立ち上がる。しかしどうすれば良いのかが分からない。



光の一撃を直撃させる事が出来れば、ダメージ位はあるかもしれない。それでも倒せるレベルでは無いだろう。奥義自体がそう何回も打てる物でも無い。MP消費が激しすぎるのだ。今ならあと2~3回は打てるかもしれない。それでは魔王は倒せない。

若い頃の、全盛期の力があれば…修行不足か…いくら何でもこんなに早く魔王が復活するなんて…


じじい「こんなのが運命、だとでも言うのか?」
魔王「ふっふっふ。どうやら運命の女神は私の味方だったようだな。」

じじい「取り敢えず、足掻くしかない。勝てなくても全力で戦い続けるしかない。」

魔王「その心意気は素晴らしい。お前は人間の中で唯一、尊敬に値するだろうな。」


魔王は魔力を高めている。


魔王「その褒美だ。前回は見せられなかった、私の魔法を見せてやろう。」
じじい「魔法だと。」
魔王「これを冥途の土産に食らって、この世から消滅するが良い。」


ニャン太「させるか!」


ニャン太が魔王に飛び掛かるが、一撃で吹き飛ばされる。



魔王「ただの精霊如きが。」
じじい「ニャン太!」


魔王は魔力を開放し手を空に挙げた。魔力が空に吸い込まれる。



じじい「どんな魔法を撃って来るんだ?」


少し後、巨大な魔力の塊が天井を破り空から降ってきた。


じじい「う、うわぁっ!」


あまりに早すぎて、避ける事すら出来ない。


魔王「これが私の必殺魔法、魔王ビームだ。」
じじい「相変わらず…ネーミングセンスの無い作品だぜ…」


ドゴオォォォン!


直撃後、爆発した魔法でじじいはまた吹っ飛んだ。聖剣は遠くに飛んでしまう。

じじいは右足と右腕が消滅する。


じじい「う…これは…ダメかな。」


いくら不死とはいえ、消滅して肉体はどうなるのだろうか。大会の賢者なら復活できたっけ?


そう考えながらも、目の前がぼやけてくる。
視界が段々と闇に染まっていき、その中心から光が一気に広がった。
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