聖剣の光Ⅰ（完結）

全国大会

第45話

テレポートで移った先は、10畳ほどの部屋だった。

ベッドがある。ベッドの先には電話が付いている。外部とは連絡が取れないらしいから…内線か？横には椅子と机、机にはテレビがある。これで他の試合を観戦するのだろう。冷蔵庫も付いている。中には色々な飲み物が入っていた。扉があり、その先にはトイレ・洗面所・風呂があった。きちんと汗も流せるらしい。


後は今、移ってきた魔法陣。簡素ではあるが、綺麗な部屋だった。


じじい「そうか、思い出した。俺テレポート酔いするんだった…」


早速フラフラとベッドに倒れこむ。大会の開催までは多少の時間がありそうだ。ベッドに横になったまま、テレビの前に置いてある冊子を取った。大会の事や部屋の事が書いてあった。

部屋の備品は自由に使ってOK。電話でルームサービスが頼める。品物は魔法陣に現れる。返却時も魔法陣に空を置いて電話。電話は目覚まし機能もあるらしい。テレビは試合観戦はもちろん、普通の番組も見られる。流石にアルコールは提供されないらしい。

でも、夜には食事を摂りながらテレビを見れそうだ。ここで夜を迎えるには、最低一回は勝たないとな。


じじい「ヘンリーはシードだから今日はのんびり出来るんだな。羨ましいぞ。」


大会は今日は11：00開始。
残りの二日間は10：00開始。

自分の出番が近くなると、天井の隅に設置されているスピーカーで案内が入るらしい。その横には時計も掛かっている。



じじい「大会開始まであと30分か。俺は…13試合目か。結構長いな。」


小さ目の音でテレビをつけ、目覚ましをセットし少しだけ仮眠を取った。





～ヘンリーの部屋～



ヘンリー「始まったな。」


コーヒーを飲みながら試合の様子を見守る。第一試合の勝者がヘンリーの最初の相手になるのだ。


ヘンリー「こいつ…去年も見たな。戦うのは初めてだが。」


少しもたついた第一試合を見届ける。二週間前のミノタウロス襲撃を思い出す。駆けつける直前に奴に放っていた、じじいの奥義を思い出す。


ヘンリー「レイスのじいさんが決勝まで来れるかは分からないが…あの奥義だけは気を付けないとな。」


そうやって流れる試合をボツボツ呟きながら見て行った。




～中央観戦席～



ドーン「流石、地区大会に比べてレベルが高いですね。」


ドーンは本来自分が居るはずの、王様の近くに居た。通常時は王様を護衛する一人なのだ。もちろん、他にも沢山の衛兵達が居る。


王様「ドーン、お前の集めてくれたデータが観戦をする上で役に立ったな。各選手の情報が分かりやすい。」
ドーン「いえ、全員の情報を集める事は出来ていません。」

王様「これだけあれば充分だ。」



こうやって、ついに全国大会が始まったのだ。