Red Assassin(完結)

まさきち

文字の大きさ
上 下
44 / 76
5章 時間の終

44話 アサシン本部での決戦①

しおりを挟む
ブルーは腰に差してあったダガーを抜いてこちらへゆっくり歩いてきた。


レシア「何か依頼があったんじゃ無かったのか?」
ブルー「バダグがね、レッドが来るからって言ってこっちを優先させたの。全く、依頼の途中で戻されたんだから。」
レシア「そりゃ、大変だったな。」


レシアがアサシンを辞めていなければ、ごく普通の会話だっただろう。でも今は殺し合う敵同士になっているのだ。


ブルー「アンタならこの秘密通路を通って来るって思っていたわ。」
レシア「そうだろうな。俺もブルーの立場だったらそう思うよ。」
ブルー「これ以上、アンタに邪魔をされる訳にはいかないの。」
レシア「邪魔だって?お前達が殺したがっていたシヴァは死んだ。これ以上何の邪魔をするっていうんだ?」

ブルー「ダーク・アサシンを調べているんでしょ?それはちょっと戴けないわね。」
レシア「何だって?」
ブルー「バダグはダーク・アサシンを調べる者を抹殺しなければならないの。」
レシア「それは…バダグが何者かから依頼を受けているって事なのか?」
ブルー「これ以上、話す事は出来ないわ。」

レシア「ダーク・アサシンはブラックの縁者か何かなんじゃないか?今までの情報やブラックの様子を鑑みるに…家族とかなんじゃ。」
ブルー「答える義務は無いわ。私はアンタを殺す為に居るのよ。」
ナーダ「ブルーさん。ダーク・アサシンを調べるのをやめたら襲って来ないの?」
ブルー「どうかしら。やめる気は無いんでしょ?それにアンタ達は色々と知り過ぎているみたいだし。」

ナーダ「そう…ですか。」
ブルー「それに別口の依頼で、私はナーダのロックも受けているのよ。忘れていない?」
ナーダ「…忘れていました。」
ブルー「…はぁ。」


ブルー「どちらにしろ、私を倒さなきゃこの先には進めないわ。」
レシア「この前も言ったかもしれんが、最終通告はとうに過ぎている。今度こそ覚悟しろ。」
ブルー「流石、自信満々ね?でも私だって日々強くなっているのよ。」
レシア「それは俺も同じ事。故にお前は俺には勝てない。」



ブルーはアイスを放った。レシアは氷の魔法を剣で切り払うが、次の瞬間にはブルーは目の前まで迫って来ていた。そのままブルーはダガーを振るって来る。


レシア「おっと、危ない。思ったより早くなっているじゃないか。」
ブルー「かわされるとは思わなかったわ。流石はレッドね。」
レシア「お前の攻撃は分かっている。あの程度の奇襲で勝てるとは思わない事だな。」
ブルー「私の魔法…アイスにしてもウィンドカッターにしても、当たりさえすればいくらアンタでもただでは済まないわ。」


至近距離でウィンドカッターを放つ。


レシア「それは分かっている。だからこそ油断はしない!失敗は繰り返さない!」
ブルー「失敗…?」


レシアはウィンドカッターを切り払った。そのままシャドウを撃ち出す。ブルーはシャドウをダガーで受け止め、後ろへ下がらされる。


ブルー「くっ、いくらレッドの魔法でも効くわね。」
レシア「ブルー、お前の攻撃も魔法も俺には通用しない。さっさと終わらせてやろう。」


言われ放題だが、事実なのでどうしようもない。だが、1つだけ見せていない攻撃があった。


ブルー「良い気になるのもここまでよ。アンタを倒す為に会得したとっておきがあるわ。氷結破砕斬!」


ブルーから一際大きいアイスが放たれた。とは言え、この程度であれば剣で斬り壊せる。レシアは剣を持つ手に力を入れた。


刹那、既視感を感じる。



レシア「…」


レシアは後ろへ下がり、ルーンソードの気弾をアイスに撃ち込んだ。その瞬間、その場に大きな氷柱が立ち上がった。


レシア「危な…剣で斬り付けてたらあの氷柱に巻き込まれてしまっていたぞ。」
ブルー「ちょっ、何で今回に限って遠くから迎撃するのよ。いつもみたいに斬り掛かって、氷付けにしてから斬り掛かる技なのに。」
レシア「解説どうも。いや…たまたまとは言え本当に運が良い。あれは読めなかったぜ。」
ブルー「アンタっていつも上手い事持ってくわよね。」
レシア「良くは分からないけど嫌な予感がしてさ。」


喋りながらレシアはブルーに斬り付けた。ダガーでガードするも、弾かれて利き腕を斬られてしまった。


ブルー「う…どうやら勝負ありね。」
レシア「確かに強くはなっていたな。でも、俺の方がより強かった。それだけだ。」
ブルー「そうみたいね。」
レシア「答えろ。ダーク・アサシンの正体は誰なんだ?」

ブルー「…それはバダグに聞いたら?もっともバダグとバダグのモンスター隊に勝てたらの話だけど。」
レシア「モンスター隊?何だそれは?」
ブルー「バダグが異世界から召喚している魔物よ。」
レシア「異世界?魔物?そんなの聞いた事も無いぞ。」

ブルー「そりゃそうね。私だって最近まで知らなかったわ。バダグがティアマットの力を借りてモンスターを召喚しているなんてね。」
ナーダ「ティアマット?」
レシア「あれだな…女神ティアマトを参考にし造られた邪竜の事だな。」
ブルー「よく知っているわね。」

レシア「しかしそんなん、架空の魔物だと思っていたが…」
ブルー「私も信じられなかったわ。」
レシア「と言うか、そんなんどう考えても危なすぎる。何でモンスター何か召喚しなければいけないんだ。」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」  リーリエは喜んだ。 「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」  もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ
ファンタジー
目の前に、女神を名乗る女性が立っていた。 麗しい彼女の願いは「自分の代わりに世界を見て欲しい」それだけ。 使命も何もなく、ただ、その世界で楽しく生きていくだけでいいらしい。 厳しい異世界で生き抜く為のスキルも色々と貰い、食いしん坊だけど優しくて可愛い従魔も一緒! 忙しくて自由のない女神の代わりに、異世界を楽しんでこよう♪ 13話目くらいから話が動きますので、気長にお付き合いください! 最初はとっつきにくいかもしれませんが、どうか続きを読んでみてくださいね^^ ※お気に入り登録や感想がとても励みになっています。 ありがとうございます!  (なかなかお返事書けなくてごめんなさい) ※小説家になろう様にも投稿しています

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...