上 下
42 / 202
到着

42.

しおりを挟む
「改めておれはサブマスのマイクだ」
「黒銀のアイザックだ」
「ククルです」
「さっきはウチの若いのがすまんかったな。」
「いえ、こちらこそありがとうございます」
「でだ、さっきのアイザックが話てた二人組はこの街の冒険者ではない。面倒だったからこの部屋に案内したんだが良かったか」
どうやらサブマスは意味が分かってこの部屋に案内したわけでは無かった様だ。
「こっちも助かった。今更他の奴と組む気もないしあいつら前に一度だけ臨時で組んだ事があるが自分本意で面倒なんだ。臨時でも勘弁してほしい奴らだ」
「成る程な、でククルの要件はなんだった?受付のが良かったか」
「いえ、多分受付に言ってもこの部屋になると思うので。ポーションの買取をお願いしたいです」
言いながらカードとポーションをとりあえず5本テーブルに出した。
「さっきカードを見せてくれた時シルバーだったからDランクなら新人はないとは思ったがCだったのか。それも登録調合師とはな、なかなかやるな。一度カードを確認するから借りるぞ」
カードを受け取ったマイクは部屋から出て行った。
「ククル、さっきは悪かったな離れて。大丈夫だったか」
「大丈夫だよ。相手が手を出したらやり返すつもりで待ってたから」
アイザックはなんとも言えない顔つきをしているが気にしない。
のほほんとお茶を飲みながら待っているともの凄い勢いで扉が開いた。
「ククル、お前これ、マジか」
後から小柄な男性も部屋に入ってきた。
「マイク、うるさい。君がククルさんかな、はじめましてマスターのトイックです」
「はじめまして、黒銀のククルです。」
「黒銀のアイザックだ」
「ウチのギルドは僕が鑑定するのでポーションをみせてもらうね」
テーブルの上にあるポーションを鑑定している。
「間違いなくククル作ですね。こちらはBランクになりますから買取は一本250Gで如何ですか。実はポーション不足でもしまだ持ってるなら買取をお願いしたいのですが」
他より少し高く買取してくれるみたいだ。従魔作も一緒に80本テーブルにだした。
「こっちのが従魔作です」
一応パヨのを分ける。ギルマスは次々に鑑定していく。
「お待たせしました。沢山ありがとうございます」
提示された金額はやはり少し高い目だ。
「ありがとうございます」
「こちらこそ助かりました。もし可能なら初級のCランク作れないか?新人が競って持つのだが数が揃ってなくてな。」
「素材が平なら出来ると思いますが私の持ってる素材は全て優なんです。」
「わかった。平の素材だな。ちょっと待っててくれ」
部屋から退出していった。
暫く待っていると素材を持って戻ってくる。
「これで調合してもらえるか。買取出来なかった状態の悪い奴だ。」
私は素材を受け取り鑑定してみた。平もあるが悪も混ざっている。
「悪も混ざってるのでやってみないと出来るかわかりませんよ。」
「構わんさ、どうせ捨てる素材だったから出来なくても気にしなくてよいよ。ポーションになったら買い取るからお願いしても良いか」
「わかりました。期日はありますか。なければおわり次第持ち込みします」
「君のタイミングで良いのでなるべく早い目にお願いします」
私への指名依頼にしてくれて出来ても出来なくても報酬はもらえる事になった。
依頼書を受け取り内容を確認してサインする。
「じゃあククル帰るか。」
「はーい。ではまた来ます」
部屋を出てギルドを後にしようと入口に向かう。すると行く手を阻む人影が見えた。
「お前、講習出てないだろ」
まただ。さっきの子がしつこく食いかかって来た。
「はぁ、また。貴方には関係ないでしょ。ほっといてよ」
「うるさい。規則を守らないお前が悪いんだ。こっちに来い。俺が叩き直してやる」
腕を取られそうになったが咄嗟にアイザックが抱き上げてくれた。
「君、いい加減にしないか」
「お前なんだよ、関係ないだろう」
「いやいや、君こそ何者だ。この子は俺とパーティを組んでる冒険者だ。お前が言う講習の必要は全くないぞ。勝手な思い込みで好き勝手言うな。」
「嘘だ、そう言ってお前こそ小さい子供売り飛ばすんだ。そうだろ。後めたいから逃げるんだ」
訳の分からない事を喚いているこの人、本当に鬱陶しい。
「ねぇ、アイザック、鍛練場借りてきて。いい加減に腹が立つ。ね、お願い」
「はいはい、ちょっと待ってろ。おい、マイク聞こえてんだろ。今使えるか」
「あー本当にすまん。今なら直ぐでも使えるぞ。そこのアホは俺が引きずってくわ」
とりあえず鍛練場に移動する。野次馬が少々ついてくるがこの際気にしない。
「この喧しい奴はサンダナだ。ククル悪いが相手してやってくれ」
「わかった。私はククル、旅の冒険者。貴方の甚しい勘違いにいい加減うんざりなの。さっさと終わらすよ。ルールは場外ありの一回限り。後は審判に任せます。貴方魔法は使えるの?」
「はっ、何言ってんだ。お前と勝負する意味がわからん。サブマス、なんとか言ってくださいよ」
「サンダナ、お前が悪い。やればわかるだろ。で魔法はどうする」
「無しでいいよ。俺の制御失敗して怪我でもさせたら大変だから」
「だそうだ。ククル構わないか。」
「構いませんよ。サブマス、審判お願いしますね」
「わかった。俺の指示には従う事。武器は模造剣でククルは、それで良いのか。サンダナさっさと準備しろ」
私はいつも通り短剣を持って位置につく。サンダナが前で構えた。
「では両者始め」
サンダナが「手加減するか」と呟いたのが聞こえたので真っ直ぐ突っ込んで跳躍し、背後を取った。そのまま首元に短剣を押さえる。
「止め、そこまで。勝者ククル」
「「「おおっー」」」
予想通りの結果だ。いきなり背中を取られたサンダナは未だに状況が飲み込めてない。
「お前、卑怯だぞ」
此方が剣を下ろすと同時に襲いかかってきたので腕を掴んで投げてやった。
壁にぶつかったサンダナはそのまま地面に叩きつけられる。
そこを周りの野次馬が押さえた。
「勝負が付いてるのに襲い掛かるとはどう言う事だ」
「あんなもん、勝負じゃない。ちょっと油断しただけだ。」
「馬鹿じゃない。真剣ならあんた死んでるよ」
「サンダナ、カッコ悪いぞ。負けを認めろ」
周りの大人から怒られてる。
私は彼のところに歩いて行った。
「そんなんだからランクが上がらないんです。人を見かけだけで判断してるから強く慣れないのです。もっと勉強して下さい。」
言うだけ言ってアイザックの元に戻りギルドを後にした。
しおりを挟む
感想 125

あなたにおすすめの小説

裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~

あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい? とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。 犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

転生幼女が魔法無双で素材を集めて物作り&ほのぼの天気予報ライフ 「あたし『お天気キャスター』になるの! 願ったのは『大魔術師』じゃないの!」

なつきコイン
ファンタジー
転生者の幼女レイニィは、女神から現代知識を異世界に広めることの引き換えに、なりたかった『お天気キャスター』になるため、加護と仮職(プレジョブ)を授かった。 授かった加護は、前世の記憶(異世界)、魔力無限、自己再生 そして、仮職(プレジョブ)は『大魔術師(仮)』 仮職が『お天気キャスター』でなかったことにショックを受けるが、まだ仮職だ。『お天気キャスター』の職を得るため、努力を重ねることにした。 魔術の勉強や試練の達成、同時に気象観測もしようとしたが、この世界、肝心の観測器具が温度計すらなかった。なければどうする。作るしかないでしょう。 常識外れの魔法を駆使し、蟻の化け物やスライムを狩り、素材を集めて観測器具を作っていく。 ほのぼの家族と周りのみんなに助けられ、レイニィは『お天気キャスター』目指して、今日も頑張る。時々は頑張り過ぎちゃうけど、それはご愛敬だ。 カクヨム、小説家になろう、ノベルアップ+、Novelism、ノベルバ、アルファポリス、に公開中 タイトルを 「転生したって、あたし『お天気キャスター』になるの! そう女神様にお願いしたのに、なぜ『大魔術師(仮)』?!」 から変更しました。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

秘密多め令嬢の自由でデンジャラスな生活〜魔力0、超虚弱体質、たまに白い獣で大冒険して、溺愛されてる話

嵐華子
ファンタジー
【旧題】秘密の多い魔力0令嬢の自由ライフ。 【あらすじ】 イケメン魔術師一家の超虚弱体質養女は史上3人目の魔力0人間。 しかし本人はもちろん、通称、魔王と悪魔兄弟(義理家族達)は気にしない。 ついでに魔王と悪魔兄弟は王子達への雷撃も、国王と宰相の頭を燃やしても、凍らせても気にしない。 そんな一家はむしろ互いに愛情過多。 あてられた周りだけ食傷気味。 「でも魔力0だから魔法が使えないって誰が決めたの?」 なんて養女は言う。 今の所、魔法を使った事ないんですけどね。 ただし時々白い獣になって何かしらやらかしている模様。 僕呼びも含めて養女には色々秘密があるけど、令嬢の成長と共に少しずつ明らかになっていく。 一家の望みは表舞台に出る事なく家族でスローライフ……無理じゃないだろうか。 生活にも困らず、むしろ養女はやりたい事をやりたいように、自由に生きているだけで懐が潤いまくり、慰謝料も魔王達がガッポリ回収しては手渡すからか、懐は潤っている。 でもスローなライフは無理っぽい。 __そんなお話。 ※お気に入り登録、コメント、その他色々ありがとうございます。 ※他サイトでも掲載中。 ※1話1600〜2000文字くらいの、下スクロールでサクサク読めるように句読点改行しています。 ※主人公は溺愛されまくりですが、一部を除いて恋愛要素は今のところ無い模様。 ※サブも含めてタイトルのセンスは壊滅的にありません(自分的にしっくりくるまでちょくちょく変更すると思います)。

処理中です...