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ネクネクへ

29.

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身体がダルい。目覚めの感想はこんな感じだ。起き上がらず目も開けずジーッとしている。
恐らくまだ、明け方だろう。
昨日の事を思い出すと憂鬱だ。アイザックに心配をかけて居るのは分かったが自分自身の心の問題だから話すにもなんと説明したら良いか分からない。
ただ一つ言える事は急に誰かがいなくなったら恐らく私の心は二度と立ち直れない。今はそれを口に出すのが怖くて言えない。アイザックに相談しても多分呆れるだろう。
孤独感に悶々と悩んでいると隣のアイザックが動いた。
「ん、起こしたか」
「大丈夫、ちょっと前に起きていたから」
モゾモゾ起き出した。
「おはようククル。昨日夕食も食べずに寝たからお腹すいたろ。近くにパンケーキの美味しい店があるから朝食はそこに行こうか」
「うん、そうする」
それから日が上がるまでゆっくり出かける準備をしてパンケーキの店に向かった。
私はベリージャムとホイップの甘いのを注文。アイザックはベーコンと野菜の物を注文した。
「「いただきます」」
一口食べたら甘くて美味しい。おばあちゃんのジャムの味ににている。半分くらいまで頑張って食べたがあまり食欲もなく、それ以上進まない。
「無理に食べなくても良いが体調が優れないかい」
「ううん、やっぱり疲れが取れてないみたい。今日は宿でゆっくりしててもいい?」
「構わないぞ。俺はちょっと武器屋に解体用のナイフを見に行きたいから留守番してるか」
「そうするよ」
その後、アイザックが宿の部屋まで送ってくれた。
「じゃあ行ってくるからゆっくり休んでるんだぞ。ガルよろしくな」
「ガウ」
「わかった。いってらっしゃい」
アイザックが出て行ったので鍵を閉めてソファに腰掛けた。
靴を脱いで上がりボーっとする。
なんだろう。もやもやした気持ちがなかなか晴れない。こんなんじゃ余計にアイザックに心配を掛けるだけだし気分転換に本でも読もうと収納から取り出さした。
薬の調合のレシピ集で中級のところを読み進める。
暫く本に集中出来たがふと静か過ぎる部屋が気になった。
「ガル」
#どうしたの。なんだかとっても寂しそう。僕がいるよ#
膝の上に乗って甘えてくれる。
手触りのよい毛並みを堪能するがもしこの子がいなくなったらどうしようと急に考えてしまった。
撫でてる手が止まる。
下からガルが覗き込んでいるが私の視界には入らない。
もし、このままアイザックが帰って来なかったらどうしよう。そんな事があるわけないのだが急に不安になった。
「アイザック、何処の武器屋に行ったのかな」
ソワソワしながら部屋を彷徨くが落ち着かないのでちょっと街に出てみる事にした。
「女将さん、何か知ってるかな」
鍵を預けがてら聞いてみると街の東に行くと武器、防具屋が立ち並ぶと伝えたからそっちだと思うよと言ってくれた。
もし入れ違いになっても大変なので女将さんに昼過ぎには帰ると伝えて宿から出発した。

街の東に到着すると確かに武器や防具屋が多い。
「こんなの何処の店か分かんないや」
宿から出た事を少し後悔しながら暫く街を歩く。
「やっぱり宿に帰ろっと」
探せる訳無いわと気がついたので宿に戻ろうとした。元きた道を歩いて行く。

おかしい。こんなところを通った記憶は無い。何処で道を間違えたみたいだ。
暫く歩きまわったが訳がわからなくなって来たので通りすがりの人にきいてみた。
「ごめんね私も今さっきこの街に着いたところでわからないわ」
「そうですか。すいません」
何人か聞いてみたが子供なせいかマトモに相手をしてくれない人も多くなかなか道が聞けない。
歩いているうちに広場に出たのでベンチに腰掛けた。
「ゔー、どうしよう」
結構時間が経って居る。戻るといったお昼もとおの前にすぎ、今は3時頃だ。
「アイザック絶対心配してるな。これは」
心細くなってきて半ベソを描きながら疲れたのもあってか座り込んだままなかなか腰があがらない。
「ククル」
呼ばれた声がして顔をそちらに向けるとアイザックが探しにきてくれた。
「ゔー、ごめんなさい」
「はぁ、やっと見つかった。」
ひょいと抱き上げられて顔をむけられる。
「とりあえず、良かった。女将さんも随分心配してたぞ。さあ、宿に帰ろうか」
アイザックの首にしがみついて頷く。
そのまま抱っこで連れて帰ってくれた。
「すいません、お騒がせしました。無事見つかりました」
アイザックが女将さんに謝罪する。
「ごめんなさい」
下ろして貰って私も謝る。
「いいのよ。よかったわね。」
ほっとした声で返してくれた。

部屋に戻りソファに座らされる。
「ククル、一旦どうした。お前らしく無いぞ。何かあったのかい」
なんて答えたら良いのかわからない。
チラッとアイザックの方をみると困った顔をしている。
上手く説明できない。声を出そうとしては呑み込んでを繰り返して居るとアイザックの声がした。
「ククル、もういいよ。話さなくても」
突き放す様に言われて更に不安が煽られた。
「ヤダヨォ」
そこからワンワン泣き出したものだからもはやアイザックの声が耳に入らない。


どうも朝からククルの様子が見るからにおかしい。甘い物でも食わしてやろうと連れ出してみたがいつもの半分の量も食べれてない。
少し1人にしてやる方が良いのかと思い留守番させて武器屋に行く事にした。
念の為、女将さんに行き先を伝える。
街の東にある昔馴染みの武器屋に寄った。オヤジさんとも久しぶりで話に花がさく。ついつい話し込んでいる事に気がついて慌てて宿に戻った。
「あら、おかえりなさい。1人と言う事は入れ違ったかな」
女将さんに事情を聞くとククルが俺の行き先を訪ねて出掛けていったとか。
まぁ、ガルが一緒だろうから安全面には問題ないが如何も行動が気にかかる。
昼頃には戻ると言っていたと聞いたので時間まで待つ事にした。
、、、おかしい。既に3時前だ。いくらなんでもおそすぎる。女将さんも気になって仕事が手付かずになり出した。
「ちょっと探してきます」
再度東に行くが結構な広さの街で探すのは困難だ。
とりあえず広場に一度行ってみよう。
入口から中を見渡すとベンチに座るククルが目に入った。
暗い顔をして俯いているので少し離れて居るが声をかけることにした。
ものすごい勢いで顔を上げると半ベソだ。
とりあえず抱っこして宿に連れて帰り女将さんに謝罪した。ククルも俯いたままだが謝罪している。
部屋に連れて帰り何かあったのか聞いてみるかものすごく話し辛い様子が手に取る様にわかった。
このまま聞き出すのも躊躇われるので一旦話を打ち切ろうと思って声をかける。
「ククル、もういいよ。話さなくても」
途端に大泣きし出して手がつけれなくなった。
コレは本気で困った。こんな風に泣かすつもりは無かったのに凄く不安がって泣いている。
オロオロしているとノックの音がした。
あまりの泣き声に女将さんが心配になってきてくれたのだ。
「あらあら、どうしちゃったの」
「すいません。騒がしくて。俺にも何が何だか」
「とりあえずこのまま泣いていては引きつけ起こしちゃうわ。ちょっとククルちゃん預かるわね」
女将さんが抱っこして連れて行ってくれたのだった。
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