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2章

60.

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週始め、とりあえずナターシャと教室に向かう。
彼女は三年生で元々一般クラスのCに在籍していたので貴族では無くなったが学園生活には大した影響はない。
恐らくリンダ一家の事が世間に広がれば多少は波に揉まれるかも知れないが今までは大人しい性格に見られている事もあり大事には至らないと思っている。

「ミーナさんは毎日授業があるの?」
「ん、ない時もあるかな。」
「授業がない時はどうされてるのですか」
「ナターシャ、喋り方。」
「あっ」
「気をつけてね。一応、火の午後から水丸一日授業がないから街にいったり、依頼をうけたり屋敷に帰ったり部屋でダラダラしたりかな」

「そうなんだ。毎回は無理だけど私も水が授業なしなの。たまには一緒に依頼に連れて行って貰っても良い?」
「構わないよ。ただ、ナターシャは魔法か何か戦う術はあるのかな?」
「一応、初級の魔法と鞭が使えるわ。ただ、学園に鞭は持って来なかったから今は無いのだけど」
「そっか、じゃあ今週一緒に街に買い物行こうよ。てか今日の放課後、部屋に来て。その時話しよ」
丁度教室への分かれ目に辿り着いたのでとりあえず話はそこまでにした。

午前と午後の授業を卒なくこなし、終業後さっさと部屋に帰って着替える。
ナターシャが訪ねてきたので部屋に招き入れた。
「ミーナ様、お待たせ致しました」
「いいよ、改まらなくて。で朝の話の続きなんだけど」
そこから私の考えを伝えた。
今は護衛候補にファストしかいない。私自体は正直護衛が必要な実力では無いが立場上、連れないわけにもいかない時がある。
ナターシャを護衛候補に入れたいと伝え、護衛の装備は私が揃えるのが筋だから買いに行こうと誘う。
「ミーナ様、私などでよろしいのでしょうか」
「うん、正直今学園にいるアズベリー出身の貴族階級で護衛をさせれる女子に思いあたる人が居なくてさ、流石に公式で動く事はあまり無いけど時々呼び出されたりするのよね。ファストではやっぱりまだ立ち振る舞い出来ないし流石にトイレまでついて来れないでしょ」
一応専属侍女ならある程度まで連れて行けるしマナー教育の終わっているナターシャなら都合が良い。
「わかりました。そのお話お受けします。」
「よろしくね」

水の日、朝からナターシャと街に出掛ける。
ゴンドラには昨日の内に報告した。
見習いのスケジュールは基本任せて居るので今週末から予定に入れて貰う。

先ずは武器屋に向かった。

ナターシャに使いやすいのを選ばせる。
その間に護身用のナイフを選んだ。
「ミーナさん、どちらにしようか迷ってるのですが、、、」
どうやら最後の二つで決めきれず迷って居る様だ。
2本の鞭を手に取り見比べる。
あまり使った事も無くイマイチ分からないので店員を呼んでみた。
「この2本の特徴を教えて欲しいの」
「どっちが使うんだい」
「私です」
「ふむ、嬢ちゃんの背丈ならこっちがよいかな。この2本のはそこまで性質に変わりはないよ。使ったときの遠心力の違いくらいだ。もう1本の方では少し短い様に思うからおすすめはこっちだな。」

「わかりました。ありがとうございます。」
おすすめを購入し、次は防御屋に向かった。
そこでは最初から店員を呼び鞭使いに合いそうな物を選んでもらった。
ブーツと胸当て、肘まであるグローブを購入。
ついでにウエストポーチタイプのマジックバックを購入した。
一つのベルトにバックと鞭ケースを着ける。ついでにスライム巾着もつけた。
ナターシャは今までお小遣いすら貰ってなく財布も持っていなかった為、雑貨屋に行って財布を購入した。

次は仕立て屋に向かい護衛の正装のための採寸を行う。

ついでに侍女としての制服と薬師ローブも私とお揃いの物で注文する。
今回は店頭にアリゾナさんがいたのでスムーズだ。

「見習い関係はこんなもんかな。ナターシャ、後はクリの調合道具買いに行こう。」
プルエラさんのお店にいきクリに道具を選ばす。
「こんにちは、また来ました」
「いらっしゃい。ゆっくり見ていきな」
クリが嬉しそうに道具を選んでいる。
ナターシャもその様子を見ながら道具を見ている様だ。
『主、これがクリのでこれがなたのだって。』
スカイが2つの道具を教えてくれた。
ナターシャに説明すると流石に嬉しそうにお礼を言う。
「私の分までありがとうございます」
「後はこれに付与魔法かけてもらいに行ったら終わりだよ」
ヴェルトのところに向かい前回と同じ様に付与魔法をかけて貰う。

最近、ウララが調合を手伝ってくれるから楽しいと嬉しそうに話を聞かせてくれた。

買い物も終わり、休憩と昼食がてらカフェに行った。

「ミーナさん、ありがとうございます。鞭も久しぶりなので練習しておきます。来週一度一緒に依頼に行きませんか」
「良いよ。今のところ何にもないし。ナターシャのレベル上げもしつつお小遣い稼ぎに行こうね」

「はい、後お願いがあるのですが素材を自分で準備しますのでスライムブレスを作って貰いたいのです。いつも一緒に居るのが羨ましくて。」
「良いよ。頑張ってね」
その後、ぶらぶらしながら学園に戻ったのだった。
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