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第2部 守るべき者の為に振るえる物

第十七話 悪魔の降臨

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ルーク「.............」

ルーク達は裏路地に行き、中央広場の様子を伺う

マイ「どうやら、顔や服装などは知られていないようだね」

中央に立っているのは王国兵だろうか?
立派な武装をしており、右手に紙を持ちながら演説している
しかし名前だけなら同じ人だっているはずだし、名前を偽名すれば良い

ユキ「僕達の名前だけならまだ対処法はあるけど...........」

シャイン「あの屑の事だ名前だけ言えば見つかるとでも思っているのだろう。」

それでも指名手配犯になっている事は事実だ.........事実だが

ルーク「彼奴........俺の名前を覚えていないのか...........」

聞いてる限りだと
マイ、ユキ、シャインの名前は出てくるがそれは誘拐された被害者としてであり、主犯格の男の名前は言われていない

ルーク「俺は誘拐もしてないし、主犯格でもないが、この状況を見ると、やっぱり俺だな」

ここまで雑な方法で見つかる事はない、しかし

マイ「あの屑........本当に諦めていなかった」

1年以上も経っているのだ、諦めてくれても良かったのだが...........そうはいかなかったようだ

ユキ「これからどうする?」

ルーク「取り敢えず、旅は続ける、でも...........」ジャラ........

ルークはギルドカードを見る

そこにははっきりと自分の名前が書いてある

シャイン「このカードには俺達の名前がある、しかも3人も、そして男1人、だいぶ怪しまれるな」

可能性は低いが、少しでもあるのなら何かしら対処したほうが良いだろう

ルーク(国をも動かす程の権力を彼奴は持っている、そうなると..........)

そうなると、国の魔導士や魔術師などが、勇者の記憶などを使って..........

ルーク(いや、それな既にやっていて彼奴を更生させるはずだ、噂で聞いたことがあったが、やはり嘘か)

色々な事を考えているが、どれも決定権が欠けている

ルーク「考えても仕方ない、勇者は国を動かしている、ならその領土外に出て行くしかない」

マイ「だね」

ユキ「うん」

シャイン「ああ」

そうすれば、いくら勇者でも探しようがないはず

ルーク「そうと決まれば、早速行動に移そう」

マイ「そうだね、うだうだしていると本当に彼奴が来ちゃうからね」

ユキ「まずはこの町から出ないと、少しでも怪しまれたらお終いだ」

シャイン「それに今は職業の事を言われてないけど、いずれそれも広まれば..........」

皆の考えがまとまり、裏路地から出る
中央を見るとまだ王国兵が話している

ルーク「行くなら、今がチャンス!」

そう言って4人は、町の外に向かう
今人は自分達を見ていないが、心臓はバクバクだ

マイ「大丈夫奴はいない」

ユキ「こんな広い世界のこんな町に偶々出くわすなんてありえない」

シャイン「大丈夫だ、問題ない」

そう自分に言い聞かせて、なんとか平常心を保つ

.................しかし

???「おいおい、まさかこんな所で出会うなんて、俺様運が良いなぁ」

4人「「「「!?」」」」

???「なんだあ?俺様に会えてそんなに嬉しいのかぁ?」

ルーク(嘘だありえない、こんな事が本当にあり得るのか!?)

こんなにも不運な事が本当に起きるのか未だに信じられないでいる

マイ(嫌だ......もう嫌だ....助けて......助けて.....)

体の震えが止まらない、汗が噴き出て止めどなく溢れてくる

ユキ(神よ何故貴方はこのような事をするのですか!?)

呼吸が乱れ、上手く息が吸えない

シャイン(体が動かない、まるで金縛りにあったみたいだ)

逃げなきゃいけないのに、体が言う事を聞かず、ただ足が震えるだけだ

???「なんとか言えよ?おい」

その男はルーク達の前に現れた不敵な笑みを浮かべながらこちらに来る............

シン「助けに来たよ皆んな」

勇者シン、最も会いたくない相手だった

——————————————————————
中央で演説していた王国兵達が背後からやってくる、これにより完全に包囲された

シン「久しぶりだなぁ、マイ、ユキ、シャイン」

シンは上機嫌になりながら彼女達に話しかけてくる

マイ「べ.....別に私は.......」

ユキ「僕だって.......君なんか......」

シャイン「俺は........会いたくなかった」

そう言って後ずさる、今の3人の頭の中は昔のトラウマが蘇っているだろう、上手く言葉を使えないでいる

シン「なんだよぉ折角助けに来たのに?」

そう言ってニヤニヤと笑う

ルーク「...........」

この屑はルークの事に気付いておらず
ルークがずっと睨みつけていると

シン「あ?」

目と目があった

シン「テメーは俺の女を拐った屑野郎!」

ルーク(屑野郎?屑はお前じゃないか.........!)

その言葉を聞いてルークは反論した
その言葉はいつもの優しい言葉ではなく、マイ達を拒絶した時と同じように

ルーク「うるせぇ!テメーのせいで俺達の人生はぶっこわされたんだぞ!?」

ルークも我慢の限界だった、自分勝手言い続ける奴に、そいつのせいで苦しんでいる愛する人達の姿を見るのに

シン「はあ!?お前みたいな塵がどうなろうが、知ったことか!俺の女に手を出しやがって!」

ルークはその言葉で完全にキレた
人の女.......ふざけるなよ

ルーク「マイ達は俺の恋人だ!お前の道具じゃない!」

ルーク「お前のせいで崩れてしまった関係を!思い出を!やっとここまで取り戻せたんだ!それをテメーなんかに渡すわけねぇだろ!」

ルークだって信じきれなかった自分に罪悪感がある、だからこそルークは今度こそ彼女達を信じようと決めたのだ

それは彼女達も同じだ

マイ「ルーク.........」

ユキ「ルーク」

シャイン「お前....」

震えていた彼女達の震えが止まる

シン「チッ.....なに良い雰囲気になってんだよ!」バキッ

ルーク「ゴハァッ」バキッボギッベキッ

ルーク達の幸せな姿に怒りを覚えシンは一瞬にしてルークの前まで行き腹を殴る
その時に骨が砕ける音が聞こえた

マイ「ルーク!!!!!」

シャイン「ユキ!回復!!!!」

ユキ「わかってる!!!」

後ろに吹き飛んだルークを3人は追おうとしたが

シン「君達はしばらくおとなしくしてろ!」

マイ「ガ!?」

ユキ「ウグッ」

シャイン「ガハァ」

手刀で3人は意識が朦朧としながら倒れる

最後に目にしたのは勇者と王国兵にリンチされている愛す人の姿だった

マイ(ルーク........ごめんなさい)

ユキ(やめて.....ルーク.....助けて)

シャイン(ルーク......今......助け....)

——————————————————————
シン「おいどうした?もっと楽しませろよ!」グチュッ

ルーク「ガァぉぁぁダァダァああ!!!??」

腕を足で踏み潰される、その痛みが体全体を駆け巡り、悶絶する
その叫び声を聞いて喜びながらシンは痛めつける

シン「おいテメーらも、もっとやれ!」

そう言ってシンは周りにいた王国兵に命令する

王国兵1「はい!」ニコニコ

王国兵2「いやー良いサンドバッグだなぁ!」ボギッ

王国兵3「ほんとほんと、最近ストレスが溜まってなぁ!!」ガンッ

王国兵は助けようとも止めようともせず、逆に勇者と共にルークを痛ぶっていた
それも嫌々ではなく心底楽しそうに

ルーク(...................)

意識が朦朧とする中で、ルークはマイ達の事を考えていた

ルーク(マイ.............)

いつも元気で、それでいて辛い時にもその笑みで笑わせてくれた初恋の人

ルーク(ユキ............)

内気だけど、本当は誰よりも仲間想いで、ずっと俺の幸せを願っていた優しい恋人

ルーク(シャイン..............)

ここまで気が楽に話せた事がない程話すのが楽しかったマイやユキとは違う安らぎを感じられた愛する人

体の感覚がなくなってきた、視界が赤く染まり、彼女達の姿が見えなくなっていく

ルーク(ごめん..........皆んな.........俺はお前達を...........)

救えなかった

——————————————————————

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