黄昏一番星

更科二八

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2章 終末を呼ぶ狼

288話 貴族屋敷での朝

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「エドガー!起きるっすよー」

どんどんと部屋の扉が叩かれる音とトレイの声が聞こえて目が覚めた。

「おーう!起きたー!」
と気合を振り絞ってトレイに聞こえるように返事をする。

「ガグも起こしてきて欲しいっすー朝飯っすよー!」
「わかったー!」

返事をしたらトレイの気配は去って行った。
最近人がいるとわかっていれば気配がなんとなく追える。

トレイ達が匿われている貴族の貸し屋敷に泊めてもらっているが。やっぱりレベルが違う。
ベッドの寝心地が良すぎてトレイに呼ばれなければ絶対寝坊していただろう。

昨夜は結局空っぽになるまで抜いちゃった。
仲の良い友人の勃起した姿は凄く刺激が強く、思い出すたびにムラムラしちゃって治らなかったし、久々に全力でやりたい気分になってしまった。
部屋は汚さないようにタオルに受け止めさせてたが、タオル数枚がドロドロだから後でしっかり洗濯しておかないといけない。
夜のうちはめんどくさくなったのと、匂いが凄いのでタオルは皮の袋にいれてマジックバッグに突っ込んでおいた。
空間魔法のおかげで匂い漏れはない。

全裸で寝てたので朝勃ちを鎮めつつ、服を着て身支度をしてから部屋を出て、隣の部屋に行きドアノブを捻ると鍵は開いていた。
ガグは遠くから呼んだところで絶対起きない。
俺以上の寝坊助だ。

ガグの部屋に入ると雄の匂いが鼻につく。
ガグも昨日の夜はしっかり抜いたんだろうな。精液の匂いが凄くする。
雄臭いのは興奮するので好みだ。
旅人の輪の効果で酷い体臭などはないが、人はそれぞれ匂いはあり、ガグもなんというか雄を感じられる匂いがして俺は好きだ。

だけどタイガの場合は全然匂いがしない。
流石に精液の匂いとかはあるが、綺麗さっぱり跡形もなく掃除して、その時は空気まで綺麗になってしまうから、長い間タイガの雄の匂いに浸れない。
気配もデカい割にあまり存在感を感じないのがタイガの特徴だ。

ベッドまで行くと裸のまま寝転んでいた。
立派に朝勃ちもして脈打っている。
ギルダナで2人部屋借りてた時もだいたいガグは裸で寝てたからいつも通りだ。
寝てるガグは不用意に刺激するとイッてしまうのでちんこは触らず体を揺すって起こす。

「ガグー朝だ!おきろー!」

力を込めて激しく体を揺すれば大体起きる。
もうガグの扱いはわかっている。

「んーエドガーか。おはよう」
「朝飯できてるって。準備できたら降りてこいよ」
「ん、わかった」

要件済ませたのでガグの部屋からは退散して俺は先に食堂にいく。
昨日しっかり抜いたというのに、ガグの部屋の匂いやデカいちんこ見てたらまたムラつきそうだった。
昨日の夜の興奮の余韻がまだ残っている気がした。

トレイとモーガンとガルシアさんはすでに食事を始めていた。

「おはよー」
「おはよっす!」
「おはよー」
「おーおはようさん、適当に食っていいぞ」

食堂の卓には薄焼きのパンと鍋には野菜の入ったスープ。
それとローストした鶏肉が切り分けられて盛られていた。鴨肉かな?
それを自分で取り分けてから食べ始める。

「うまー!今日もガルシアさんが作ったのか?」
「おーそうだそ。飯作れるやつ俺しかいねえからな。任せると酷いことになっちまう」
「ライアンに作ってもらってた時は酷かったねー」
「しっかり教えとくんだったぜ・・」

モーガンとガルシアさんは蘇生されてしばらく動けない間はライアンに世話を受けてたはずだ。
文句は言えないだろうが、飯がまずいのは辛そうだな。

「そいやータイガは料理上手かったっすよ。旅の間は本当助かったっす。俺も覚えようかな」
「やっぱそうなんだなー俺もタイガの料理は食ってみたいな」
「普段食べないような料理だから面白かったっすよ」
「国によって食文化は全然変わるからな。東の方の国なんだろ。俺も知らないから興味あるな」

食の違いといえば、この町は内陸のギルダナでは手に入らない海の魚が食べられる。
今日の予定もないことだし海もみたいからあとで町を散策してみよう。

料理トークをしながら飯を食ってると遅れてガグもやってきた。
挨拶を交わしてガグも食事の輪に加わる。

「みんなっていつまでここに居るの?」
「逮捕状取り下げられるまでだねー」
「シモンさんが王様と話つけて聖女討伐をちゃんと功績にしてくれるそうなんで、そうなれば俺らの疑いは晴れて自由になれる予定っす。タイガを守る手回しとかもしてくれてるっすからもう何日かかかるんじゃないっすかね」
「凄い人に協力してもらってるよなー」
「シモンさんも命懸けでやるつもりらしかったっすからね、呪いの獣を倒すことは悲願だったみたいでタイガには感謝してたっすよ」

タイガは伝説の冒険者にまで恩をつくったのか。
ここに居るガグ以外のみんなも恩があるし本当凄いや。

「ライさんっていつ帰ってくるんだ?俺はそれまではこの町にいないといけないよな」
「そっすねー多分今日か明日っすかね?」
「ライさんはここのギルドの要請でハンドレッドアイズシーホースって魔物倒しにいってるよー」
「どんな魔物なんだ?」

なんか詳しそうなガグに尋ねてみる。

「目玉が沢山ついた海に住む竜種の魔物だなSランクの災害級の魔物だ。そんなのがこの辺りにいたんだな」
「この町にいたSランクの傭兵の人が定期的に追い払ってたらしいけど、大規模討伐の時にその人大怪我負って、追い払うのができなくなって困ってたらしいよー。ライさんがここに来たことをどうやってかギルドが嗅ぎつけて泣きついてた」
「危険生物なんだろ、大丈夫なのか?」
「エンシェントドラゴンや魔王とも戦ったって冒険者っすからね。それに途方もないぐらい生きてる人なんで大丈夫っすよ」
「そんな長生きなのか」
「冒険者ライの伝説の自体が3、400年前のものだぞ」
「俺たち今の人族が生まれるよりも以前の文明から生きてるって言ってたっす」
「とんでもねえな!」

人族が生まれる前に文明ってどういうことなんだ?
訳がわからないしスケールがデカい話になってきた。

「あ、そいやあ、タイガってライさんの子孫っぽいっすよ」
「ええ!まじで!」
「あいつ情報多すぎないか?」
「情報と言えば、タイガって何故か鑑定スキルで鑑定できないとか言われてたな」
「まだなんかありそうだねー」

亡国の貴族の生まれであり、鬼の血が濃く生まれたために魔物にならないように育てられ、氣の力も強いし、賢者になれる程の魔法の才能もあるし、伝説の蘇生魔法もできる。
魔族や人を滅ぼすような強力な呪いの化け物を斃せるだけの実力があって、伝説の冒険者の子孫。
そしてとんでもない巨根。

思い返してみると本当タイガはすごい情報てんこ盛りだ。
俺すごい人を好きになっちゃったな。

「まあ、とりあえず、ライさんそのうち帰ってはくるんだな。俺さ、この町初めてだし色々見てみたいから出かけてきてもいいか?」
「いいっすよーてきとうにしてていいっす」
「エドガー、出かける前に久しぶりに手合わせしようよー」
「おう、やるやる!」
「モーガン、兵長に転がされてるからエドガーで憂さ晴らししようとしてないっすか」
「覚悟しろよエドガー」

モーガンが獲物を見る目で俺をみてくる。
ガグとはあまり剣の稽古してないからな、やばいかもしれない。
気を引き締めないと。
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