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2章 終末を呼ぶ狼
280話 デイバーの町に到着
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デイバーまでの旅の最終日、今日の天気は雲は多いが空が見えた。
馬車に揺られながらまっすぐな街道をゆっくり進む。
景色は一面黄色い麦畑だ。
もう収穫には適していて徐々に収穫が始まるのだという。
俺が普段食べているパンも元はここで作られた小麦なのかもしれない。
ランダバウト辺境伯領の西側はずっと平野が広がっていて農業が盛んな地域なのだそうだ。
これだけ広く人の管理している土地が続いているので魔物もそんなに出ない。
その代わり野党は時折でるそうだが、狙われるのは沢山の積荷を乗せた商人の馬車で、こんな数人しかいない乗合馬車は安全だ。
ガグが起きている間は街道のどういったところに野党が潜むのかを教えてくれたりしながら馬車は進み、夕方はに5日間の旅の目的地のデイバーにたどり着いた。
これまでの宿場町と違い、街の外周には壁が作られてちゃんと門から街に入らないといけない。
乗合馬車からは街の手前で降ろされて歩いて門に行きギルドカードを見せて、通行料の税金30ロングを払い街に入った。
同じ領とはいえ他の街なら入るためには金がかかるらしい。
俺の住むギルダナの場合は100ロングかかるらしいから、デイバーは良心的っぽい。
デイバーの街は海に面した港町だと聞くがまだ海というものは見えない。
内陸側から入ったから反対側まで行かないと海には出ない。
街の広さではギルダナよりも少し狭いそうだから、端っこまで歩くとしたら3時間ぐらいだろうか。走ればすぐだ。
すぐにでも見に行きたい気持ちがあるが、もう夕暮れ。走って行っても日が暮れる。
夜の海は真っ暗で何も見えないらしい。
だから海を見にいくのは明日。
この後はカンザキ商会に行き到着の報告と宿探しだ。
街をキョロキョロ見渡しながら歩く。
建物の様子は昨日いたリゾォーの町と似て石造りが多い。
門から入った大きな通りにはぎっしりと店が並び、凄く人通りも多い。
これまで通ってきた町と違いめちゃくちゃ活気に溢れている。
港町ということもあり見たことないものでいっぱいだ。
「おおおーすげー!」
感動で思わず声も出てしまう。
「ははは!圧倒されるよな。ギルダナ以上に栄えてるからな」
ここへくる前にガグに教わったのだが、この街に面している海はめちゃくちゃ広いが内海というもので、この国の他には陸伝いに魔王領とグラスマルク聖法国に面しているらしい。
デイバーにくる船は殆どグラスマルクからの船らしいが、海峡をこえて他国の船も来ているそうだ。
西のグラスマルク方面から東の隣国ガドス帝国へ向かうにはデイバーが1番近い港であり、ランダバウト辺境伯領を横切れば、陸路だけでいくよりも半分の日数で移動できるのだという。
そういった理由で交易の要所でもあり凄く栄えている。
色々と興味を惹かれる光景に目を奪われるが、見過ぎているといつまで経ってもカンザキ商会に辿り着けなくなってしまうので、我慢しながら目的地をめざした。
カンザキ商会はかなり大きな商会のようでガグも場所を知っていて1時間ほどで迷わずたどり着いた。
営業時間内にたどり着くために結構急いだ。
カンザキ商会は凄く大きくて白い壁に青を基調としたタイルで装飾された立派な建物だった。
貴族のお屋敷みたいだ。
貿易商であるカンザキ商会の建物の中は外観が物語っていた通りに豪華な内装になっていて、普通の店とは違い商品はなく、受付のカウンターの他は高そうな机とソファが並べられていた。
旅の間の宿などのやり取りはガグに任せっぱなしだったので今回は俺から受付と話す。
「いらっしゃいませ、ご用件お伺いいたします」
場違いな格好の2人が入ってきたこともあり受付の女性は少し緊張しているようだ。
俺も緊張してる。
「ギルダナギルドのワーカーのエドガーとガグだ。こちらの商会に呼ばれてやってきたんだけど」
俺のギルドカードを見せながら簡単に説明する。
「そうですか、確認してまいりますので、あちらに座ってお待ちください」
そういって受付の女性は引っ込んでいった。
言われた通りに座って待とう。
俺とガグ横並びで大きなソファに腰掛ける。
めちゃくちゃ柔らかくて座り心地にびっくりした。
「すげえこれ!」
「こんな椅子座るだけで緊張するな!」
「やばいなー眠くなりそうだ」
「俺が気が気じゃないから頑張ってくれ」
ガグは場違い感からかなり緊張してるようだ。
気持ちはわかる。
どう考えても庶民とは無縁な場所だ。
Bランクでもまだこんな上流階級な世界とは無縁なようだ。
ソファの心地よさに耐えながらしばらく待っていると、綺麗な格好だが使用人風の男がやってきた。
「わざわざご足労いただきありがとうございました。お宿のほうはもうお決まりですか?」
「いや、まだだけど」
「そうですか、それでしたらこちらで提供できますがどうされますか?」
「それはありがたいけどいいのか?」
「ええ、もちろんです。馬車を呼びますのでもう少しお待ちくださいね」
「ここに呼ばれた理由は聞けないのか?」
「あなた様のご友人の方がこの商会を通してあなたをお呼びになったのですよ。これからお連れする先でお会いできます」
「友人?」
首を傾げつつガグにも視線を向けるがガグも首を傾げている。
デイバーの街に知り合い?
配達屋の頃に知り合った誰かだろうか?
全く訳がわからないまましばらく待って馬車が到着したので移動した。
到着した場所は少し大きなお屋敷。
中へ通されると見知った顔が現れた。
馬車に揺られながらまっすぐな街道をゆっくり進む。
景色は一面黄色い麦畑だ。
もう収穫には適していて徐々に収穫が始まるのだという。
俺が普段食べているパンも元はここで作られた小麦なのかもしれない。
ランダバウト辺境伯領の西側はずっと平野が広がっていて農業が盛んな地域なのだそうだ。
これだけ広く人の管理している土地が続いているので魔物もそんなに出ない。
その代わり野党は時折でるそうだが、狙われるのは沢山の積荷を乗せた商人の馬車で、こんな数人しかいない乗合馬車は安全だ。
ガグが起きている間は街道のどういったところに野党が潜むのかを教えてくれたりしながら馬車は進み、夕方はに5日間の旅の目的地のデイバーにたどり着いた。
これまでの宿場町と違い、街の外周には壁が作られてちゃんと門から街に入らないといけない。
乗合馬車からは街の手前で降ろされて歩いて門に行きギルドカードを見せて、通行料の税金30ロングを払い街に入った。
同じ領とはいえ他の街なら入るためには金がかかるらしい。
俺の住むギルダナの場合は100ロングかかるらしいから、デイバーは良心的っぽい。
デイバーの街は海に面した港町だと聞くがまだ海というものは見えない。
内陸側から入ったから反対側まで行かないと海には出ない。
街の広さではギルダナよりも少し狭いそうだから、端っこまで歩くとしたら3時間ぐらいだろうか。走ればすぐだ。
すぐにでも見に行きたい気持ちがあるが、もう夕暮れ。走って行っても日が暮れる。
夜の海は真っ暗で何も見えないらしい。
だから海を見にいくのは明日。
この後はカンザキ商会に行き到着の報告と宿探しだ。
街をキョロキョロ見渡しながら歩く。
建物の様子は昨日いたリゾォーの町と似て石造りが多い。
門から入った大きな通りにはぎっしりと店が並び、凄く人通りも多い。
これまで通ってきた町と違いめちゃくちゃ活気に溢れている。
港町ということもあり見たことないものでいっぱいだ。
「おおおーすげー!」
感動で思わず声も出てしまう。
「ははは!圧倒されるよな。ギルダナ以上に栄えてるからな」
ここへくる前にガグに教わったのだが、この街に面している海はめちゃくちゃ広いが内海というもので、この国の他には陸伝いに魔王領とグラスマルク聖法国に面しているらしい。
デイバーにくる船は殆どグラスマルクからの船らしいが、海峡をこえて他国の船も来ているそうだ。
西のグラスマルク方面から東の隣国ガドス帝国へ向かうにはデイバーが1番近い港であり、ランダバウト辺境伯領を横切れば、陸路だけでいくよりも半分の日数で移動できるのだという。
そういった理由で交易の要所でもあり凄く栄えている。
色々と興味を惹かれる光景に目を奪われるが、見過ぎているといつまで経ってもカンザキ商会に辿り着けなくなってしまうので、我慢しながら目的地をめざした。
カンザキ商会はかなり大きな商会のようでガグも場所を知っていて1時間ほどで迷わずたどり着いた。
営業時間内にたどり着くために結構急いだ。
カンザキ商会は凄く大きくて白い壁に青を基調としたタイルで装飾された立派な建物だった。
貴族のお屋敷みたいだ。
貿易商であるカンザキ商会の建物の中は外観が物語っていた通りに豪華な内装になっていて、普通の店とは違い商品はなく、受付のカウンターの他は高そうな机とソファが並べられていた。
旅の間の宿などのやり取りはガグに任せっぱなしだったので今回は俺から受付と話す。
「いらっしゃいませ、ご用件お伺いいたします」
場違いな格好の2人が入ってきたこともあり受付の女性は少し緊張しているようだ。
俺も緊張してる。
「ギルダナギルドのワーカーのエドガーとガグだ。こちらの商会に呼ばれてやってきたんだけど」
俺のギルドカードを見せながら簡単に説明する。
「そうですか、確認してまいりますので、あちらに座ってお待ちください」
そういって受付の女性は引っ込んでいった。
言われた通りに座って待とう。
俺とガグ横並びで大きなソファに腰掛ける。
めちゃくちゃ柔らかくて座り心地にびっくりした。
「すげえこれ!」
「こんな椅子座るだけで緊張するな!」
「やばいなー眠くなりそうだ」
「俺が気が気じゃないから頑張ってくれ」
ガグは場違い感からかなり緊張してるようだ。
気持ちはわかる。
どう考えても庶民とは無縁な場所だ。
Bランクでもまだこんな上流階級な世界とは無縁なようだ。
ソファの心地よさに耐えながらしばらく待っていると、綺麗な格好だが使用人風の男がやってきた。
「わざわざご足労いただきありがとうございました。お宿のほうはもうお決まりですか?」
「いや、まだだけど」
「そうですか、それでしたらこちらで提供できますがどうされますか?」
「それはありがたいけどいいのか?」
「ええ、もちろんです。馬車を呼びますのでもう少しお待ちくださいね」
「ここに呼ばれた理由は聞けないのか?」
「あなた様のご友人の方がこの商会を通してあなたをお呼びになったのですよ。これからお連れする先でお会いできます」
「友人?」
首を傾げつつガグにも視線を向けるがガグも首を傾げている。
デイバーの街に知り合い?
配達屋の頃に知り合った誰かだろうか?
全く訳がわからないまましばらく待って馬車が到着したので移動した。
到着した場所は少し大きなお屋敷。
中へ通されると見知った顔が現れた。
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