黄昏一番星

更科二八

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2章 終末を呼ぶ狼

276話 デュナの町

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デュナという宿場町は山間の集落だった。
建物の様子は昨日訪れたバスコレと似ているが町の規模は小さい。
町の周辺には畑が広がり色んな野菜が育っていた。

「正に田舎って感じだろ」
「田舎がどんなもんか知らないぞ」
「初めて町を出たならそうか」
「ガグの故郷もこんな感じなのか?」
「俺が生まれたところは開拓村だからなーもっと何もないぞ。でも街道沿いの町以外だとあまり栄える事はないから俺の故郷みたいなところばっかりだな」
「そいえばギルダナって開拓村出身者多いよな」
「北の山脈付近で開墾政策してるからなー」
「開墾政策?」
「土地を切り拓いて畑や村を作っていいんだよ。それをするために申請したら支度金を借りられるんだと。村が増えると人も増えるし領地にとってはいい事だからな。でも貧しい村の奴らは他の仕事をする為に街に来るからギルダナはそんなやつらばかりになってるな。仕事見つからない奴らは兵士団に入隊するように推奨してたりもするぞ」
「へーなんかよく出来てるな」

辺境伯領だから兵士団に力を入れているとは聞いた事がある。
ギルダナにもいっぱいいるし、国境沿いには砦もたくさんあるらしい。
だから食べ物を沢山作ったり人を増やしたり、兵士を増やす政策をしてるのか。
自分の住んでいる領地のことなのに知らなかった。

「さて、今日は早いうちに着けたし宿探そうか」
「そうだなーなんか雨降りそうな感じだよな」
「雨の中の野営は最悪だからな」
「想像しただけでも嫌だな、早く探し行こう!」

朝のうちは天気は良かったのだがどんどんと雲が増えて夕方前の今では分厚い雲が覆っているし少し風も出てきている。
今年は雨が少ないと思っていたが本格的に降りそうな感じだ。
急いで宿探しをして手頃な宿を見つけることができた。
ガグと相部屋なのはいつもと変わらないがベッドがひとつで体の大きい俺たち2人寝るとぎゅうぎゅうなサイズだ。

「ガグが使っていいぞ、俺床で寝るの慣れてるから」
「コインで決めよう。俺が表、エドガーが裏」

俺の意見無視でガグが投げたコインは床に落ちて表を向いた。
結局ガグがベッドを使うことになった。

「ひっついて寝れば2人いけるぞ」
「それは俺が何となく落ち着かない」
「そうかー寝れなかったら変わるからな」

タイガには寝てる間に抱き枕にされていたが起きてる間にされたら絶対寝れなかったと思う。
ガグだってひっついて寝たらちょっとドキドキしてしまう。

部屋に荷物を置いたら宿屋の食堂で飯を食べにきた。
ここの宿は夕食と朝食付きだ。
そして夕食を食ってる最中に他の客の会話で気になることが聞こえた。

「風呂あるの?」
「獣人は耳ざといなー。この宿場町には共同浴場があるぞ。小さいけどな」
「えー行きたい!行こうぜ!」
「夜は混んでるぞ」
「それはそれで」
「気持ちはわかるけどな、朝にしないか?その方が落ち着ける」
「んーまあ入れるならそれでもいいや」

明日の朝の期待がぶち上がった。
解体場以外の風呂ってどんな感じだろう。
楽しみ!

その日は夕食後は部屋でガグと一緒にシコってタオルを念入りに洗って就寝。
夜更け前から降り出した雨はどんどん強くなり夜中には雨音がうるさかった。
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