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1章 呪いの女
204話 奴隷達の処遇
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(エドガー視点)
「エドガー最近どうっすか?」
魔法兵団の詰め所へ向かう道すがらトレイに尋ねられる。
「最近かー」
最近というと昨夜のことが思い浮かぶ。
ついにやってしまったなと、昨日の夜から今までずっと思い続けているのだが、あれはタイガが悪いと思う。
タイガが咥えてきたりしたから俺もそうせざるを得ないというか歯止めが効かなくなってしまった。
それにタイガも許してくれていたし。
タイガの本心は知らないが、なんとなく遊びの延長上の出来事のように思う。
でも俺はするからには全力だった。
カイルと同じようにしてしまったらタイガは少し気まずそうだったがしっかり俺を感じてくれていた。
それがタイガの優しさだし男らしさだと思う。
されるのもするのもこの上なく幸せだった。
とりあえずこれは心のうちにとどめておこう。
「まあまず卒業させてくれただろ。俺もまさか男とするとは思ってもなかったけどな」
「それはさっきも聞いたっすね、やっぱエドガーだなって感じっすね」
「何だそりゃ、初めて傭兵仕事もしたな、弓を習った。後はタイガの昔話聞いたりしたな」
「えへー、どんな感じだったっすか?やっぱ昔から強かったんすか?」
「筆舌に尽くし難いやばさだったな、負けん気だけで相当努力してきたんだと思う」
タイガはなんともない感じで話していたけれど、子供に起こってはいけないような暴力に塗れた内容だったのでドン引きしてしまった。
「それは、あまり聞いてよさそうな話じゃないっすね」
「聞くなら相当覚悟がいるぞ、俺はドン引きしまくってたからな。後はまあ普通に解体の仕事こなしてコツコツとやってるだけだな。解体Eランクになったぜ!」
「へぇー、こないだ登録したばっかっすのに早いっすね」
「タイガなんて1回の仕事でEランクなったって言ってたからな。タイガの方がすげえよ」
「それはもう今更っすよ」
何がどうなればコボルトをモノの数分でバラせるのか理解が及ばないが、見ていてとても清々しいモノだった。血飛沫びしゃびしゃ浴びてるのはどうかと思うが。
あれが出来たら気持ちいいだろうなとは思う。
「ああ、そうだ、昨日タイガ死にかけてたな」
「何しでかしたんすか」
「なんか氣の実験とかで、急に10分ぐらい気をうしなってて俺まじで生きた心地しなかった。対策してなかったら本当に死んでたらしいし」
「タイガって結構無茶苦茶なことするんすね」
「本当になー」
突然死ぬような実験を平気でするのは本当にやめてほしい。
あとなかなか酒癖悪いのも。
俺も深酒しすぎるのもあれだけど、無抵抗の俺をひたすら撫でくりまわして抱き枕代わりにしやがって。
なんかタイガのやつは最近スキンシップ過剰気味な気がする。
いや、いいんだが、内心嬉しいまであるが気が休まらない。
「トレイたちはここ数日はどうだった?まあ忙しかったんだろうけど」
「そりゃもう朝から晩までいろんなところ行ったり来たり、そうじゃない時はひたすら資料整理っすよ」
「やっぱそうかー。切り裂き魔の仲間とかどうなるんだ?」
切り裂き魔はなんか司法取引ってやつだと聞いた覚えがあるが後のやつがどうなのか知らない。
「あまり大きな声では言えないっすけど、教皇の手駒の3人わかるっすか?」
「ああ、タイガから軽く聞いてるぞ」
切り裂き魔となんか牢屋で捕まったやつと竜人族って言ってたな。
竜人族のやつはデカかったって聞いたな。
「あの3人はなんでも20年以上も前に攫われたり奴隷落ちさせられた上で教会から奴隷印を押されて暗殺の訓練を受けさせられたという事っす。完全に自由はなく教皇や教会幹部には完全服従で逆らえば死ぬ契約とあって、個人の意思で犯罪してた訳ではないから、流石に死罪とは行かず、切り裂き魔ともう1人の暗殺スキル持ちの男は魔王領追放。竜人族の男は護衛専門らしく殺人歴がなかったからそのうち釈放になるっぽいっすよ。
可哀想なのが3人ともそれぞれ体に欠損があって、聖女様の巡礼の旅が終われば治してもらえると言われてそれを希望にしてたらしいっす。流石に聖女様とは合わせられないから希望叶わずっすね」
「命があるだけマシなのか、ここで捕まった事はある意味幸せだったのかもな」
「そうすっねー。
教皇はもう叩けば埃が出るわ出るわ。
教会ぐるみでかなりの犯罪に加担してたようで、他の領地でも兵士団がバタバタ大忙しみたいっすよ」
「やっぱり碌でもないやつだなー」
「聖女様がしっかりと教会を立て直してくれると良いんすけどね。
兵士団やギルドも手を入れて改革中っすよ」
その聖女が1番危険なやつっぽいんだよなー
流石にタイガもスズナさんもそこは暈してたからトレイには言えない。
そう言えば聖女の噂を街で耳にするようになったのは10年と少し前ぐらいだろうか。
それ以前はわからないし覚えてないな。
「聖女っていつから教会にいるんだ?」
「15年前らしいっすよ。教会で祈りを捧げていた少女が突然神からの奇跡を授かったとか。噂っすけど」
「へーえ」
奇跡なあ、凄い呪いらしいけどなー。
突然呪われたんかな。
それより教皇は聖女が現れる以前から暗殺者あつめたりしてたんだな。
それを聖女が利用してたのかな。
やっぱり教皇も聖女も碌なもんじゃないな。
「エドガー最近どうっすか?」
魔法兵団の詰め所へ向かう道すがらトレイに尋ねられる。
「最近かー」
最近というと昨夜のことが思い浮かぶ。
ついにやってしまったなと、昨日の夜から今までずっと思い続けているのだが、あれはタイガが悪いと思う。
タイガが咥えてきたりしたから俺もそうせざるを得ないというか歯止めが効かなくなってしまった。
それにタイガも許してくれていたし。
タイガの本心は知らないが、なんとなく遊びの延長上の出来事のように思う。
でも俺はするからには全力だった。
カイルと同じようにしてしまったらタイガは少し気まずそうだったがしっかり俺を感じてくれていた。
それがタイガの優しさだし男らしさだと思う。
されるのもするのもこの上なく幸せだった。
とりあえずこれは心のうちにとどめておこう。
「まあまず卒業させてくれただろ。俺もまさか男とするとは思ってもなかったけどな」
「それはさっきも聞いたっすね、やっぱエドガーだなって感じっすね」
「何だそりゃ、初めて傭兵仕事もしたな、弓を習った。後はタイガの昔話聞いたりしたな」
「えへー、どんな感じだったっすか?やっぱ昔から強かったんすか?」
「筆舌に尽くし難いやばさだったな、負けん気だけで相当努力してきたんだと思う」
タイガはなんともない感じで話していたけれど、子供に起こってはいけないような暴力に塗れた内容だったのでドン引きしてしまった。
「それは、あまり聞いてよさそうな話じゃないっすね」
「聞くなら相当覚悟がいるぞ、俺はドン引きしまくってたからな。後はまあ普通に解体の仕事こなしてコツコツとやってるだけだな。解体Eランクになったぜ!」
「へぇー、こないだ登録したばっかっすのに早いっすね」
「タイガなんて1回の仕事でEランクなったって言ってたからな。タイガの方がすげえよ」
「それはもう今更っすよ」
何がどうなればコボルトをモノの数分でバラせるのか理解が及ばないが、見ていてとても清々しいモノだった。血飛沫びしゃびしゃ浴びてるのはどうかと思うが。
あれが出来たら気持ちいいだろうなとは思う。
「ああ、そうだ、昨日タイガ死にかけてたな」
「何しでかしたんすか」
「なんか氣の実験とかで、急に10分ぐらい気をうしなってて俺まじで生きた心地しなかった。対策してなかったら本当に死んでたらしいし」
「タイガって結構無茶苦茶なことするんすね」
「本当になー」
突然死ぬような実験を平気でするのは本当にやめてほしい。
あとなかなか酒癖悪いのも。
俺も深酒しすぎるのもあれだけど、無抵抗の俺をひたすら撫でくりまわして抱き枕代わりにしやがって。
なんかタイガのやつは最近スキンシップ過剰気味な気がする。
いや、いいんだが、内心嬉しいまであるが気が休まらない。
「トレイたちはここ数日はどうだった?まあ忙しかったんだろうけど」
「そりゃもう朝から晩までいろんなところ行ったり来たり、そうじゃない時はひたすら資料整理っすよ」
「やっぱそうかー。切り裂き魔の仲間とかどうなるんだ?」
切り裂き魔はなんか司法取引ってやつだと聞いた覚えがあるが後のやつがどうなのか知らない。
「あまり大きな声では言えないっすけど、教皇の手駒の3人わかるっすか?」
「ああ、タイガから軽く聞いてるぞ」
切り裂き魔となんか牢屋で捕まったやつと竜人族って言ってたな。
竜人族のやつはデカかったって聞いたな。
「あの3人はなんでも20年以上も前に攫われたり奴隷落ちさせられた上で教会から奴隷印を押されて暗殺の訓練を受けさせられたという事っす。完全に自由はなく教皇や教会幹部には完全服従で逆らえば死ぬ契約とあって、個人の意思で犯罪してた訳ではないから、流石に死罪とは行かず、切り裂き魔ともう1人の暗殺スキル持ちの男は魔王領追放。竜人族の男は護衛専門らしく殺人歴がなかったからそのうち釈放になるっぽいっすよ。
可哀想なのが3人ともそれぞれ体に欠損があって、聖女様の巡礼の旅が終われば治してもらえると言われてそれを希望にしてたらしいっす。流石に聖女様とは合わせられないから希望叶わずっすね」
「命があるだけマシなのか、ここで捕まった事はある意味幸せだったのかもな」
「そうすっねー。
教皇はもう叩けば埃が出るわ出るわ。
教会ぐるみでかなりの犯罪に加担してたようで、他の領地でも兵士団がバタバタ大忙しみたいっすよ」
「やっぱり碌でもないやつだなー」
「聖女様がしっかりと教会を立て直してくれると良いんすけどね。
兵士団やギルドも手を入れて改革中っすよ」
その聖女が1番危険なやつっぽいんだよなー
流石にタイガもスズナさんもそこは暈してたからトレイには言えない。
そう言えば聖女の噂を街で耳にするようになったのは10年と少し前ぐらいだろうか。
それ以前はわからないし覚えてないな。
「聖女っていつから教会にいるんだ?」
「15年前らしいっすよ。教会で祈りを捧げていた少女が突然神からの奇跡を授かったとか。噂っすけど」
「へーえ」
奇跡なあ、凄い呪いらしいけどなー。
突然呪われたんかな。
それより教皇は聖女が現れる以前から暗殺者あつめたりしてたんだな。
それを聖女が利用してたのかな。
やっぱり教皇も聖女も碌なもんじゃないな。
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