黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

141話 弓の練習

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「長話しててもしょうがねえし今は弓の練習しようぜ」
俺はすっかり逸れてしまった話題を戻す。

「まだその村の話とか気になるけどな」
「んー・・そんじゃ帰りにでもな。エドガーの初体験前に俺の体験談でも語ってやるよ」
「え、その村のでってことか?」
「全然期待するような話じゃないだろうけどな」
まあつまりそう言う事なのである。
男しか居ない鬼の村で俺はたくさん可愛がられていた。
その話はまた後で。
今は狩の練習が優先だ。

俺はエドガーが先ほど飛ばした矢を回収しにいく。
エドガーも新しい矢を番えてジャイアントフォレストラットの死体を的に練習をはじめた。
まあ初めてなんで全然当たらないし矢の速度もない。
俺も弓は独学で感覚的にしか使っていないので上手くは教えられない。
エドガーにも沢山撃たせてコツを掴んで貰うしかない。

的の後ろで飛んできた矢を受け止めながら様子を見守る。
渡した30本が無くなる頃には変な方向に飛んでいく矢は減り的近くを通り抜けて行くようになった。
矢のブレも気持ち小さくなっている。

「だいぶ良くなってきたんじゃないか。やっぱり覚えがいいな」
「へへへ、考えながらやれって言われてるからな。試したことが上手くいくと気持ちいいな。まだ全然当たってないけど」
「いい調子だしまだ腕が大丈夫ならもう少し続けるか?」
「大丈夫、やるぜ!」

まだまだ元気いっぱいのエドガーに回収した矢を渡したら同じように的の後ろに立って様子を見守った。
矢が半分ほど減った時にようやく的になっているジャイアントフォレストラットの背中に矢が刺さった。
俺は片腕を突き出してエドガーを見るとエドガーも両手をあげて満面の笑みを浮かべた。

「やったな!」
「すげー気持ちよかった!へへへ!癖になるな!」
「この調子でもうちょっとやってみようぜ。」
「おう!」

また回収していた矢を渡して練習再開。
まだまだ当たることは少ないがそれでも的スレスレを矢が飛んでいくことが多い。
数回に1回は命中もする。
ほんと上達がすごい。
渡した矢の最後の1発は見事命中させてみせた。

「今日はこんなものかな。あとは実践でやってみようか」
「おう、めっちゃ楽しかったぜ」
ジャイアントフォレストラットの死体は討伐の証拠の為に尻尾を切り、土魔法で穴を掘って埋めた。

「ジャイアントフォレストラットって玉めっちゃデケェな。すげえ」
「ネズミ系とか豚系の動物とか魔物はデカいのいるよなー。だから繁殖力強いんだろうな」

埋める前に死体を観察していたエドガーが巨大な金玉を見た感想を漏らした。
俺も見るたびにそう思う。存在感がすごいもんな。
魚捌いたときに内臓の殆どが白子だったりする時も凄いと思う。
体の中の殆どを占める精巣の割合がその種の雄としての能力の強さを感じる。

「オーク族もちょっと豚っぽいから玉デカいぞ。かなり見応えある」
「へーいつか見てみたいな。解体場にはいないもんなー」
「ギルダナにはほんといないよな。もうちょい東の国にはいたんだけどな。
魔王領には多いらしいぞ」
「魔王領かー行くことあるのかな」
「めちゃくちゃ寒いらしいから行きたいとは思わないな。俺は寒いの嫌いだ」
「そうか、おれは暑い方が嫌いだな」
「だろうな」

エドガー犬だし自前の毛皮あるからな。
夏までにはエドガーの魔力操作もできるようになるだろうし冷感の魔法を教えてやろう。
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