黄昏一番星

更科二八

文字の大きさ
上 下
132 / 376
1章 呪いの女

131話 制作部門

しおりを挟む
俺とエドガーは宿のベッドが名残惜しくなる前に部屋を出て、少し遅めの昼飯を適当な定食屋で済ませてギルドへ向かった。

定食はギルドの食堂で食った方がマシだったなとエドガーと意見が一致した。
まあこれも経験という事でよしだ。

ギルドでは早速小切手を換金し、手持ちの金を4万ロング程にして残りを貯金した。

娼妓の値段はだいたい1時間で2000~3000ロング程だとトレイから聞いていた。
それ以下も割と居るがあまり良くはないとのこと。
ちゃんと仕事として娼妓をやっている人がこの価格帯らしい。
ちなみに男娼は少し安く1500~2000前後らしい。
娼館や人気の娼妓によってはもっと値が張るそうだ。
そしてちゃんとした娼館で一晩買うとなれば1万ロングを軽く超える。

女王はどうかというと3500ロング程だという噂を教えてもらった。
だがしかし時間無制限、抜き放題とのこと。凄い良心的である。
俺の故郷では、人気のある奴は値段をガンガン釣り上げて金持ち相手でも強気に出て彼らの自尊心を煽っていたが、この町の女王はそうではないらしい。

娼館に期待を膨らませすぎではあるのだが、まだまだ昼過ぎである。
女王は一日中いけるらしいのだがまあ夜でいいだろう。
という事で俺は他にも考えていた事を今のうちにこなしてしまうことにした。

「エドガー俺はギルドで制作部門にも登録してこようかと思う。その後買い物もしたいのだけど案内頼んでいいか?」
「ああ、久々に役立てるな!」

俺は結局町の中で同じ場所にしか移動してないのでまだまだエドガーの案内があるのは心強い。
エドガーの承諾も取れたところで早速ギルドの登録受付へ向かった。

その間ただ待っていてもらうのも何だったのでエドガーは傭兵の依頼掲示板を見に行った。
受付で要件を伝えてギルドカードを渡してしばし、直ぐに登録は終わった。

「お待たせしました。制作部門の登録完了しました。
制作部門はこの建物の地下にあります。工房も同じく地下にありますので利用する際は制作部門の受付にお願いします。
制作部門の依頼では、制作頂いた製品をギルドでお預かりし検品後にギルドの方から依頼者に引き渡されます。この時点で依頼達成となります。依頼料の支払いには少し時間がかかる事をご注意お願いします」
「わかった、説明ありがとう」
「お仕事頑張ってくださいね」

仕事の説明は聞いたが、俺はあまり器用では無いのできちんとした製品の作成となると微妙だな。
俺が考えていたのはマジックバッグや適当に作った魔道具をオークションなんかで売る事だ。
制作する為にはギルドの工房を使わないと怒られそうなので制作部門に登録したのだ。

依頼は一度見てみるがあまり受けることは無いかもな。
今のうちに制作部門を覗いておきたくなったのでそのまま地下へ向かった。

初めて来た地下も他の部門と変わらないカウンターと依頼掲示板。
あとは工房と書かれた開け放たれた扉の向こうには広い部屋が見えていくつもの作業台が置かれている光景がみえた。

工房入り口横には売店があり道具や素材が買えるようだが店は小さい。
依頼の掲示板は解体部門と違い色々な依頼が貼られている。
オーダーメイドの旅人の輪や容量指定のマジックバッグの依頼が多い。

旅人の輪はオークションで頑張らなくてもそれなりに金はかかるが依頼出しても良かったわけだ。
見たところ俺がオークションで買った金額前後で作られているしサイズは値段に関係ないようである。
早く知っていればエドガーに新品渡せたのにな。
予備が欲しくなってオークションで手頃なものが無ければここで依頼しよう。

他はよくわからない機能の魔道具やら武器、農具の作成や修理、橋や家の建築まで依頼が出ている。
道具類の作成に関しては店よりも少し割高な感じだ。
一点ものの作成だからこんな物だろう。

掲示板をざっと見終わった次は受付に工房の使い方を聞いた。
「工房は受付で場所をお貸ししています。1日以内でしたら利用料はかかりませんが、それ以上でしたら1日につき100ロング頂いています。道具類もいくつか貸し出しをしておりますので工房内に案内があるので確認お願いします。
魔道具を作られた場合は工房の外に持ち出す前に工房内にある検品所に提出してください。使用許可を取らずに持ち出した際は不正魔道具として兵士団に伝わる事があります」
「わかった、ありがとう」

もしかして依頼受けないと工房借りれないのではと思ったので聞いて正解だった。
普通に使えるっぽい。

あとは売店覗く。
普通によくありがちな加工用の道具や縫製用の道具、筆記具などが並んでいるが、より専門的な物はあまりないようだ。
俺が探しているものもないようだった。

「なあ、魔石糸や魔法インクは無いのか」
「ここには置いて無いね。需要ありすぎて取り合いになるから置かない事にしてるんだ。欲しかったら服飾用品の店やインク屋、あとは魔法素材屋なんかにあるぞ」
「なるほど、教えてくれて助かった」

俺が欲しい魔石糸や魔法インクは布や物に魔法陣を施すための道具だ。
エドガーの蘇生のときにやっていた魔力によって魔法陣を描く手法は1週間程度で消えてしまう。
なので魔道具を作ろうと思うと魔石糸や魔法インクが必ず必要になってくるのだ。
ここに無いならしょうがない、本来予定していた通りエドガーに案内してもらって買いに行くとしよう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...