黄昏一番星

更科二八

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序章 新天地と仲間との出会い

2話 盗賊退治

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元気な返事と共に森のなかからぼろぼろの革鎧を着てロングソードを持った野生み溢れる男が現れた。
それから続々と5人の男もバラバラの方向から街道に出てきて俺を取り囲んだ。

「どうやって俺らを見つけたのか知れねーがなー知られたからには生かして置けねえんだわ!」
「そういうこったな!悪く思うなよ」
「ちょっと体デカいぐらいで俺たちをどうにかできると思うなよ!」

うん、威勢があってよろしい。
盗賊と思われる男らは格好こそぼろぼろだが皆それなりに体格が良いように思うし、剣の所作も伺える。
傭兵などが身をやつしたのだろうか。

「残りの奴らはいいのか?」
未だ姿を表していない4人について聞く。
「てめえ1人なんざ俺らで充分だ、後ろの馬車も後で丁寧に片付けといてやるよ!」
すごい!普通それ逆の状況でいう言葉では!
心でツッコミを入れながらだんだん楽しくなっていた。

「おいテメェらやるぞ!」
「「おお!」」
かけ声と共に盗賊らが構える。
俺を取り囲んで距離を取る盗賊はそれぞれ剣かナイフを構えている。
そのうち俺の左右2人が一歩引いて魔法の準備を始めたようだ。

人には2つの特別な力が宿っている。
一つは『魔力』。
イメージから様々な魔法という現象を発生させる力。
もう一つは『氣』。
心の力で人の感覚や身体能力を何倍にも強化できる。
魔法よりも習得が難しく、多彩さにも欠けるが、様々な事を探知できたり、魔法を防ぐための手段にもなり得る。

俺はどちらも得意とするが、基本的には『氣』を使って戦う方が得意だ。

戦闘体制をとっていた盗賊達が動き出す。
俺の前方にいた2人がにじり寄るように近づいてくると、後ろ2人が隙を突かんとばかりに一気に距離をつめて切り掛かる。
視線を向けず2人の斬り付けを難なくかわすと1人は一発腹に軽く拳を叩き込み、もう1人は服を掴んでそのまま木の上に放り投げる。

間髪おかずに前方にいた2人も次々に突っ込んでくるが、最初に切り掛かった方のロングソードを前腕で弾き返し、すかさず胸ぐらを掴みもう1人にぶつけてよろめかせる。
そして一旦後方にバックステップをいれる。

今し方いた場所に火球が落ち炎が上った。
今魔法を放ったのは右側にいた男、そして左にいた男を見る。
魔力が激しく動いている感覚があるのでもう発動する頃合いだ。

俺の隣に落ちている最初に腹を殴った男の服を掴み魔法を放とうとしている左の男めかげて投げつける。
勢いよく飛んだ男は魔法の発動前に左の男に届き2人とも奥の森へと吹き飛んでいく。

前方にいた男2人が体勢を立て直し順番に切り掛かってくるが大振りな動きをすれ違うように回避し、すかさず拳を体に一発ずつ、振り向くと男2人は力が入らない様子でぐったりと倒れ込む。
俺の氣をぶつけることで当人たちの氣が乱れて体に力を入らなくさせた。

そして最後になった火球を放ってきた男の方を見る。
男は今にも逃げ出そうと意識をちらちら森へと向けているも俺と視線があう。
俺は周囲に強く殺気を放つ。
火球の男は殺気に耐えられず泡を吹いて倒れた。

よし、片付けを始めよう。
俺は殺気を放ちながら森へ踏み入った。
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