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最終章 奈落ノ深淵編
第150話 禁忌の儀式
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グギャアアアアアアアアァァ!!!!
白銀色の蛇皮を身に纏ったバジリスクの首が断末魔と共に跳ね上がった。
力なく倒れたバジリスクの目の前には剣を鞘に収めるバルベリッドが居た。
「終わりました、バルバドス様」
「では進め」
奈落ノ深淵に入ってからバルバドス達も最奥地へと向かうために進んでいる。
バルバドスは入ってから沢山の魔物達と戦ってきた。それもあり、最初に入ってきた兵士達は誰1人残っている者はおらず、バルバドスとウィーンドール、そしてバルベリッドのみとなってしまった。
バルバドスは地面に置いていたセシリアを再び抱え、歩みを始める。
あれからかなりの時間が掛かっているが一向に目的地へと近づいている様子が無い。
まるで、奈落ノ深淵がバルバドス達の進行を拒むかのようにだ。
バルバドスも少々苛立ちすら見せており、バルベリットが率先して先を歩き、進行を早めていた。
「しかしまぁ、ここまで時間が掛かったことがこれまでにあったのでしょうか?」
「このダンジョン自体がランダムで生成されるのだ。時間が掛かるのは想定の範囲内だ。それに、どんなに時間が掛かろうと我々は進むだけだ。ふっふっふ」
バルバドスは不敵に笑いながら歩みを進める。ウィーンドールは複数の腕をバルバドスの腕に絡みついて一緒に歩いた。
☆☆☆☆☆
歩みを再開してから数分が経った時、目の前に光が差し込む部屋が見えた。
3人は光の中へと入るようにその部屋へと入る。
その部屋は巨大な場所だった。壁の回りには松明によって照らされた極彩色に輝く魔結晶の塊が着いている。外から見た光はこの魔結晶の光の反射によって生まれた物だった。
道をまっすぐ進んでいくと4つの柱と中央に大きな台座が置かれた神聖な場所に辿り着く。
4つの柱には赤、緑、白、そして青の炎のような物が浮遊している。バルベリッドがその柱に近づくと、柱にはそれぞれ、鳥、亀、虎、龍の絵が刻印されている。
恐らく、これが四神の封印されし魂だろう。この魂から出る膨大な魔力によって壁に魔結晶が大量に生まれているのだ。
こここそ正しく探し求めていた奈落ノ深淵最奥の部屋、【世界ノ中心】である。
「ふっふっふ、到頭ここまで来たか。ここにさえ来れれば私は世界を取ったのも同然だ」
「うふふ。ええ、やっとなのですねバルバドス様」
「……」
3人は台座の方へと向かう。バルベリットはその2人の後を追うようについていく。
台座の前へとやってくるとバルベリットは台座の上にセシリアを寝かせた。石作で出来た台座は少し触れただけでも冷たい。
「ここまでご苦労だったなバルベリット」
「いえ、何も問題はございません」
「ふむ、では早速始めようか。禁忌の儀式を!」
「はっ!」
「承知いたしました」
バルベリットとウィーンドールは一歩下がって、台座の前へと祈りを捧げる体勢を取り、跪く。
バルバドスは大きく両手を挙げる。
「ああ、世界よ……四神よ、我が名はバルバドス。竜の魔人にして世界の中心に立つ者である。今、目の前に我が身体と融合する才のある贄を用意した。さぁ世界よ我が元に力を授けたまえ!」
バルバドスが呪文を唱え儀式を行おうとしたときだった。
「そこまでだ!! バルバドス!!」
バルバドスには聞き覚えのある声が部屋の後ろから聞こえてきた。
バルベリットとウィーンドールが振り向くとそこにはフール達が居た。
「馬鹿な……私達よりも早くここに辿り着いたと言うのか?」
「はっはっは、なるほどな。最後の最後までやってくれたなケルディア女王……これこれはフールよ。よくぞここまで辿り着いたな」
バルバドスも振り向き、フールへ顔を見せた。
「だが、一足遅かったな。後少しで儀式が終わる。そうすればお前達は私に手がつけられなくなるのだからな」
バルバドスはゆっくりセシリアの頭を撫で、その手が首へと運ばれる。
「何をする気だ!!」
「決まっている。この女には素晴らしい潜在能力がある。この身体と私、そして四神の力を融合させ、真の神をこの世界に降り立たせるのだ!!」
「そんな事は絶対にさせない!」
フール達が駆け出そうとした時、バルベリットが剣を抜いて目にも止まらなぬ速さでフールへと距離を詰めた。
「フールさん危ない!」
そこへ間一髪、ルミナが割って入り、盾で身を守ってくれた。
「ここから近づけるとでも思っているのか?」
「くっ! セシリーが起きてくれれば……」
「ルミナ手伝うぞ! 頼むぞ大名医ノ杖! "EX治癒"!!」
大名医ノ杖を通してEX治癒がルミナにかかる。
ルミナが力を入れ、盾を薙ぎ払うと強大な怪力によってバルベリットを引き離した。
大名医ノ杖の魔力伝導が今までの杖よりも性能が良く、直ぐに効果が発揮されているのが目に見えてわかった。
「凄いぞこの杖……」
「ほう、これが魔力無限の力か。流石は原初ノ能力だ。私も面白いものを見せてやろう」
バルべリットは剣で自身の腕に切り傷を付けた。切り傷から剣に付着した血が一気に剣を包み込み、暗黒の闇の様に黒くなる。
「能力除去」
バルべリットは瞬く間にルミナへと近づいて剣を振り下ろす。
ルミナは盾を構えるが、バルべリットの巧みな剣術によって、身体の軸がぶれて隙が生まれた。
「素人が」
バルべリットの剣がルミナの脇腹を貫いた。
「きゃあ!!」
ルミナは盾を離し、そのまま力なく倒れる。
「ルミナ!」
ルミナの金属鎧を貫通しており、脇腹に深く傷を負っていた。
俺はEX治癒を持続詠唱していたので防御力も上昇していた筈なのに攻撃が通じてしまった。更に傷がすぐ回復する筈だと思われたが傷口が塞がらない。
「ルミナ! 大丈夫か!?」
「い、痛い……」
「くそ! 応急手当てだ! パトラ! 傷口を頼む!」
「わ、分かったぞ!」
どうしてだ? EX治癒を掛けていたのにルミナは攻撃を受けた。それに1番驚いたのは傷が癒えないと言う事だ。まさか、これが奴の力なのか?
「緩いな、この程度の実力でよくここまで来れたものだ」
くそ、ルミナが負傷してしまった。これで前衛に立てるものは誰もいなくなってしまった。
「フールさん、このままだと」
心配そうにソレーヌが俺に近づく。
「ああ、まずい状況だ」
この時、いつも前に立って果敢に闘ってくれていたのはいつもセシリアだった。セシリアの存在がこのパーティでどれほど大きい存在だったかを改めて知る。
「もうこれで終わりだな。フール」
セシリア、聞こえているなら起きてくれよ。
いつもの様に俺の元で一緒に戦ってほしい。
なぁ、頼むよ。
「聞こえるか!! セシリアァアアアアーー!! 聞こえるなら早く起きろぉおおおーー!! 俺達をたすけてくれぇぇ!!!!」
俺はこの中に響き渡るほど大声を上げた。
頼む、起きろ! 起きてくれ! 俺たちはお前が必要なんだ。
「ふっ、無駄だ。お前の叫びなど意味がない。さぁバルべリット、奴らを殺せ」
「承知した」
剣を構えてこちらを睨んだ。バルべリットは殺気をこちらに向け、踏み込もうとしたその時だった。
「お母さん!?」
「何だと!?」
バルバドスが後ろを向くと突然現れた熱波に襲われる。
その熱波は部屋全体に向けて放たれる。
「ちぃっ!?」
バルべリットはギリギリのところで熱波を回避した。
熱波は俺達に直撃する直前で消えた。
何が起こったのかと思ったが、それはすぐにわかった。
「あれ? ここ、どこ?」
台座で起き上がったセシリアの姿があった。
白銀色の蛇皮を身に纏ったバジリスクの首が断末魔と共に跳ね上がった。
力なく倒れたバジリスクの目の前には剣を鞘に収めるバルベリッドが居た。
「終わりました、バルバドス様」
「では進め」
奈落ノ深淵に入ってからバルバドス達も最奥地へと向かうために進んでいる。
バルバドスは入ってから沢山の魔物達と戦ってきた。それもあり、最初に入ってきた兵士達は誰1人残っている者はおらず、バルバドスとウィーンドール、そしてバルベリッドのみとなってしまった。
バルバドスは地面に置いていたセシリアを再び抱え、歩みを始める。
あれからかなりの時間が掛かっているが一向に目的地へと近づいている様子が無い。
まるで、奈落ノ深淵がバルバドス達の進行を拒むかのようにだ。
バルバドスも少々苛立ちすら見せており、バルベリットが率先して先を歩き、進行を早めていた。
「しかしまぁ、ここまで時間が掛かったことがこれまでにあったのでしょうか?」
「このダンジョン自体がランダムで生成されるのだ。時間が掛かるのは想定の範囲内だ。それに、どんなに時間が掛かろうと我々は進むだけだ。ふっふっふ」
バルバドスは不敵に笑いながら歩みを進める。ウィーンドールは複数の腕をバルバドスの腕に絡みついて一緒に歩いた。
☆☆☆☆☆
歩みを再開してから数分が経った時、目の前に光が差し込む部屋が見えた。
3人は光の中へと入るようにその部屋へと入る。
その部屋は巨大な場所だった。壁の回りには松明によって照らされた極彩色に輝く魔結晶の塊が着いている。外から見た光はこの魔結晶の光の反射によって生まれた物だった。
道をまっすぐ進んでいくと4つの柱と中央に大きな台座が置かれた神聖な場所に辿り着く。
4つの柱には赤、緑、白、そして青の炎のような物が浮遊している。バルベリッドがその柱に近づくと、柱にはそれぞれ、鳥、亀、虎、龍の絵が刻印されている。
恐らく、これが四神の封印されし魂だろう。この魂から出る膨大な魔力によって壁に魔結晶が大量に生まれているのだ。
こここそ正しく探し求めていた奈落ノ深淵最奥の部屋、【世界ノ中心】である。
「ふっふっふ、到頭ここまで来たか。ここにさえ来れれば私は世界を取ったのも同然だ」
「うふふ。ええ、やっとなのですねバルバドス様」
「……」
3人は台座の方へと向かう。バルベリットはその2人の後を追うようについていく。
台座の前へとやってくるとバルベリットは台座の上にセシリアを寝かせた。石作で出来た台座は少し触れただけでも冷たい。
「ここまでご苦労だったなバルベリット」
「いえ、何も問題はございません」
「ふむ、では早速始めようか。禁忌の儀式を!」
「はっ!」
「承知いたしました」
バルベリットとウィーンドールは一歩下がって、台座の前へと祈りを捧げる体勢を取り、跪く。
バルバドスは大きく両手を挙げる。
「ああ、世界よ……四神よ、我が名はバルバドス。竜の魔人にして世界の中心に立つ者である。今、目の前に我が身体と融合する才のある贄を用意した。さぁ世界よ我が元に力を授けたまえ!」
バルバドスが呪文を唱え儀式を行おうとしたときだった。
「そこまでだ!! バルバドス!!」
バルバドスには聞き覚えのある声が部屋の後ろから聞こえてきた。
バルベリットとウィーンドールが振り向くとそこにはフール達が居た。
「馬鹿な……私達よりも早くここに辿り着いたと言うのか?」
「はっはっは、なるほどな。最後の最後までやってくれたなケルディア女王……これこれはフールよ。よくぞここまで辿り着いたな」
バルバドスも振り向き、フールへ顔を見せた。
「だが、一足遅かったな。後少しで儀式が終わる。そうすればお前達は私に手がつけられなくなるのだからな」
バルバドスはゆっくりセシリアの頭を撫で、その手が首へと運ばれる。
「何をする気だ!!」
「決まっている。この女には素晴らしい潜在能力がある。この身体と私、そして四神の力を融合させ、真の神をこの世界に降り立たせるのだ!!」
「そんな事は絶対にさせない!」
フール達が駆け出そうとした時、バルベリットが剣を抜いて目にも止まらなぬ速さでフールへと距離を詰めた。
「フールさん危ない!」
そこへ間一髪、ルミナが割って入り、盾で身を守ってくれた。
「ここから近づけるとでも思っているのか?」
「くっ! セシリーが起きてくれれば……」
「ルミナ手伝うぞ! 頼むぞ大名医ノ杖! "EX治癒"!!」
大名医ノ杖を通してEX治癒がルミナにかかる。
ルミナが力を入れ、盾を薙ぎ払うと強大な怪力によってバルベリットを引き離した。
大名医ノ杖の魔力伝導が今までの杖よりも性能が良く、直ぐに効果が発揮されているのが目に見えてわかった。
「凄いぞこの杖……」
「ほう、これが魔力無限の力か。流石は原初ノ能力だ。私も面白いものを見せてやろう」
バルべリットは剣で自身の腕に切り傷を付けた。切り傷から剣に付着した血が一気に剣を包み込み、暗黒の闇の様に黒くなる。
「能力除去」
バルべリットは瞬く間にルミナへと近づいて剣を振り下ろす。
ルミナは盾を構えるが、バルべリットの巧みな剣術によって、身体の軸がぶれて隙が生まれた。
「素人が」
バルべリットの剣がルミナの脇腹を貫いた。
「きゃあ!!」
ルミナは盾を離し、そのまま力なく倒れる。
「ルミナ!」
ルミナの金属鎧を貫通しており、脇腹に深く傷を負っていた。
俺はEX治癒を持続詠唱していたので防御力も上昇していた筈なのに攻撃が通じてしまった。更に傷がすぐ回復する筈だと思われたが傷口が塞がらない。
「ルミナ! 大丈夫か!?」
「い、痛い……」
「くそ! 応急手当てだ! パトラ! 傷口を頼む!」
「わ、分かったぞ!」
どうしてだ? EX治癒を掛けていたのにルミナは攻撃を受けた。それに1番驚いたのは傷が癒えないと言う事だ。まさか、これが奴の力なのか?
「緩いな、この程度の実力でよくここまで来れたものだ」
くそ、ルミナが負傷してしまった。これで前衛に立てるものは誰もいなくなってしまった。
「フールさん、このままだと」
心配そうにソレーヌが俺に近づく。
「ああ、まずい状況だ」
この時、いつも前に立って果敢に闘ってくれていたのはいつもセシリアだった。セシリアの存在がこのパーティでどれほど大きい存在だったかを改めて知る。
「もうこれで終わりだな。フール」
セシリア、聞こえているなら起きてくれよ。
いつもの様に俺の元で一緒に戦ってほしい。
なぁ、頼むよ。
「聞こえるか!! セシリアァアアアアーー!! 聞こえるなら早く起きろぉおおおーー!! 俺達をたすけてくれぇぇ!!!!」
俺はこの中に響き渡るほど大声を上げた。
頼む、起きろ! 起きてくれ! 俺たちはお前が必要なんだ。
「ふっ、無駄だ。お前の叫びなど意味がない。さぁバルべリット、奴らを殺せ」
「承知した」
剣を構えてこちらを睨んだ。バルべリットは殺気をこちらに向け、踏み込もうとしたその時だった。
「お母さん!?」
「何だと!?」
バルバドスが後ろを向くと突然現れた熱波に襲われる。
その熱波は部屋全体に向けて放たれる。
「ちぃっ!?」
バルべリットはギリギリのところで熱波を回避した。
熱波は俺達に直撃する直前で消えた。
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「あれ? ここ、どこ?」
台座で起き上がったセシリアの姿があった。
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