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最終章 奈落ノ深淵編
第143話 ”巨大蛇”レヴィ―ア VS アル&イル①
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一方その頃、戦場を荒らしまわる大地巨竜の上に乗る小さな影は結局2人だけとなってしまった。アルは必死に大地巨竜を操り、イルは周囲の様子を伺っていた。
そんな時、橋の方からけたたましい咆哮が聞こえてくる。2人がその方向を向くと巨大な大蛇が奈落から現れているのが見えた。橋には1頭の馬が2人の騎士を乗せて全力疾走しているのも見える。
その2人の騎士と言うのも自分達を含めてフール達パーティを助けてくれたウォルターとクラリスだった。
「お姉ちゃん!! あそこ見て!!」
アルはイルの言う方向を見る。
「あれは、騎士さんたちだ!」
「お姉ちゃん、助けに行こ!!」
「う、うん! お父さん! 行くよ!!」
アルが竜に指示をすると大きく咆哮すると橋の方へと走り出す。しかし、向かう最中に大蛇が石橋に食らいつき、石橋が崩壊していくのが見えた。
「お父さん早く早く!!」
アルが指示すると更に竜は速度を上げる。だが、それでも間に合うことはなく目の前で2人は奈落へと落ちていく。
「「ああ!? 騎士さん!!」」
2人が驚いたその時、橋から眩い光が生まれた。竜はその光の中へと入って行くようにそのまま走っていく。光の先を抜けると、何と崩れていたはずの石橋が元通りになっており、そのまま石橋へと乗り渡った。
「あれ!? 石橋が元通りになっている!?」
「お姉ちゃんあそこに騎士さんたちが!!」
石橋の入り口付近にてクラリスが横になっていた。どうやら石橋に居た騎士達は皆無事だったようだ。
ほっとしているのも束の間、橋の横から声が聞こえてくる。
「馬鹿な男だ、これで奴の能力はもう使えないだろう」
橋の横の奈落の底から大蛇のレヴィ―アが姿を現す。その大きさは余りにも大きくアルが作った大地巨竜よりも全長は二回りも大きかった。
「あ? 何だこのガキは?」
「お前か!! 騎士さんを危ない目に合わせたのは!?」
「あーー、お前らはフールの仲間のガキか。ガキだけかよ骨がねぇ」
「お姉ちゃん、馬鹿にされてるよ!」
「むむぅ!! 馬鹿にするなぁ! お父さんあいつやっつけるよ!!」
「ははははっ! そんな小さな模造品で何ができる!!」
「お父さん、”飛行モード”!!」
グォオオオオオオーーーー!!!!
竜が雄叫びを上げると、背中からバキバキと音を大きく立てながら土の羽が生み出されていく。そして、羽を大きく広げ羽ばたかせると宙へ舞い上がった。
「なっ!? 変幻自在か!!」
「へへん! ここまでおいでーーだ!!」
「こんのクソガキ!!」
アルとイルの乗る竜は石橋を飛び出し、レヴィ―アの周りを飛び回る。一方でレヴィ―アは飛び回る竜を捕らえまいと必死に動き回るが、アルの巧みな操縦によって竜を捕らえることができずにいた。
そんな2体の攻防はある程度続くことになる。
☆☆☆☆☆
クラリスは意識が徐々に戻ってくるのを感じ、ゆっくりと目を開いた。どうやら横になっていたようで、覚醒するやいなや思わず飛び起きた。
周りを見るとそこは奈落ノ石橋の目の前で寝ていたようである。橋の方を見ると崩壊したはずの橋は何事もなかったかのように元に戻っていた。
「大丈夫か?」
後ろから声を掛けられ、反射的にそちらの方を向くとそこにはウォルターが居た。
「隊長!! これは一体どういうことですか!? 私たち、間に合わなくて橋と一緒に落っこちたはずでは!?」
「奇跡が起きたんだよ」
慌てるクラリスとは対照的に普段と変わらず冷静なウォルターはたった一言そう言った。
その言葉にクラリスは思い出した。ウォルターには『奇跡を起こす』力、【奇跡】の能力を持っていたことを。その能力で石橋を直して、クラリスたちを救い出してくれたのだろう。しかし、そうなると1つだけ問題が生まれてしまう。それは、【奇跡】の能力は1日に1度しか使用することができない、いわば切り札の様なものだ。それを使用してしまったとなるとレヴィ―アに対抗する手段がほぼなくなってしまったと言っても過言ではないだろう。
「でもどうするんですか!! 隊長の能力が使えなくなったとなればどうやってあいつと戦うんですか!?」
クラリスの言葉にウォルターは返答せずに、別の方向を向いていた。
「ウォ、ウォルター隊長!!」
「私の奇跡は終わった。あとは彼らに奇跡を作ってもらおう」
クラリスがウォルターの見る方向を見ると、先ほどまで戦場をかき乱しまわっていた大地巨竜が羽をはやしてレヴィ―アの周りを飛び回り、それに翻弄されているレヴィ―アの様子が見える。
「あの子たちが、戦っているんですか」
「私たちよりは力になる。まさか、あそこまで戦えるようになっていたとはな」
ウォルター達から見れば、前までは母親と父親探しの中で色々巻き込まれた非力な姉妹たちが、騎士達が苦戦を強いられている四大天と戦っていると考えると、2人の成長はものすごいものだとウォルターは感じている。
「信じよう、彼らもフールの仲間だ。俺たちは俺たちのなせるべきことを全力でやろう」
「……はい!」
2人はレヴィ―アの討伐をアルとイルに託し、戦場へと戻っていった。
そんな時、橋の方からけたたましい咆哮が聞こえてくる。2人がその方向を向くと巨大な大蛇が奈落から現れているのが見えた。橋には1頭の馬が2人の騎士を乗せて全力疾走しているのも見える。
その2人の騎士と言うのも自分達を含めてフール達パーティを助けてくれたウォルターとクラリスだった。
「お姉ちゃん!! あそこ見て!!」
アルはイルの言う方向を見る。
「あれは、騎士さんたちだ!」
「お姉ちゃん、助けに行こ!!」
「う、うん! お父さん! 行くよ!!」
アルが竜に指示をすると大きく咆哮すると橋の方へと走り出す。しかし、向かう最中に大蛇が石橋に食らいつき、石橋が崩壊していくのが見えた。
「お父さん早く早く!!」
アルが指示すると更に竜は速度を上げる。だが、それでも間に合うことはなく目の前で2人は奈落へと落ちていく。
「「ああ!? 騎士さん!!」」
2人が驚いたその時、橋から眩い光が生まれた。竜はその光の中へと入って行くようにそのまま走っていく。光の先を抜けると、何と崩れていたはずの石橋が元通りになっており、そのまま石橋へと乗り渡った。
「あれ!? 石橋が元通りになっている!?」
「お姉ちゃんあそこに騎士さんたちが!!」
石橋の入り口付近にてクラリスが横になっていた。どうやら石橋に居た騎士達は皆無事だったようだ。
ほっとしているのも束の間、橋の横から声が聞こえてくる。
「馬鹿な男だ、これで奴の能力はもう使えないだろう」
橋の横の奈落の底から大蛇のレヴィ―アが姿を現す。その大きさは余りにも大きくアルが作った大地巨竜よりも全長は二回りも大きかった。
「あ? 何だこのガキは?」
「お前か!! 騎士さんを危ない目に合わせたのは!?」
「あーー、お前らはフールの仲間のガキか。ガキだけかよ骨がねぇ」
「お姉ちゃん、馬鹿にされてるよ!」
「むむぅ!! 馬鹿にするなぁ! お父さんあいつやっつけるよ!!」
「ははははっ! そんな小さな模造品で何ができる!!」
「お父さん、”飛行モード”!!」
グォオオオオオオーーーー!!!!
竜が雄叫びを上げると、背中からバキバキと音を大きく立てながら土の羽が生み出されていく。そして、羽を大きく広げ羽ばたかせると宙へ舞い上がった。
「なっ!? 変幻自在か!!」
「へへん! ここまでおいでーーだ!!」
「こんのクソガキ!!」
アルとイルの乗る竜は石橋を飛び出し、レヴィ―アの周りを飛び回る。一方でレヴィ―アは飛び回る竜を捕らえまいと必死に動き回るが、アルの巧みな操縦によって竜を捕らえることができずにいた。
そんな2体の攻防はある程度続くことになる。
☆☆☆☆☆
クラリスは意識が徐々に戻ってくるのを感じ、ゆっくりと目を開いた。どうやら横になっていたようで、覚醒するやいなや思わず飛び起きた。
周りを見るとそこは奈落ノ石橋の目の前で寝ていたようである。橋の方を見ると崩壊したはずの橋は何事もなかったかのように元に戻っていた。
「大丈夫か?」
後ろから声を掛けられ、反射的にそちらの方を向くとそこにはウォルターが居た。
「隊長!! これは一体どういうことですか!? 私たち、間に合わなくて橋と一緒に落っこちたはずでは!?」
「奇跡が起きたんだよ」
慌てるクラリスとは対照的に普段と変わらず冷静なウォルターはたった一言そう言った。
その言葉にクラリスは思い出した。ウォルターには『奇跡を起こす』力、【奇跡】の能力を持っていたことを。その能力で石橋を直して、クラリスたちを救い出してくれたのだろう。しかし、そうなると1つだけ問題が生まれてしまう。それは、【奇跡】の能力は1日に1度しか使用することができない、いわば切り札の様なものだ。それを使用してしまったとなるとレヴィ―アに対抗する手段がほぼなくなってしまったと言っても過言ではないだろう。
「でもどうするんですか!! 隊長の能力が使えなくなったとなればどうやってあいつと戦うんですか!?」
クラリスの言葉にウォルターは返答せずに、別の方向を向いていた。
「ウォ、ウォルター隊長!!」
「私の奇跡は終わった。あとは彼らに奇跡を作ってもらおう」
クラリスがウォルターの見る方向を見ると、先ほどまで戦場をかき乱しまわっていた大地巨竜が羽をはやしてレヴィ―アの周りを飛び回り、それに翻弄されているレヴィ―アの様子が見える。
「あの子たちが、戦っているんですか」
「私たちよりは力になる。まさか、あそこまで戦えるようになっていたとはな」
ウォルター達から見れば、前までは母親と父親探しの中で色々巻き込まれた非力な姉妹たちが、騎士達が苦戦を強いられている四大天と戦っていると考えると、2人の成長はものすごいものだとウォルターは感じている。
「信じよう、彼らもフールの仲間だ。俺たちは俺たちのなせるべきことを全力でやろう」
「……はい!」
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