134 / 160
最終章 奈落ノ深淵編
第129話 真なる騎士道
しおりを挟む
「貴様、何の真似だ?」
「相手は、まだ子供だぜ?」
「関係ない。それに貴様は自分が何をしているのか分かっているのか?」
ライナはノンナの拳を掴んだまま睨みつけ、にやりと笑う。
「そこの誇り高き騎士様がてめぇにブルってるからよぉ。代わりあたいが出てきてやったんだよ!!」
ライナは流れるような動きでノンナの腕を掴むと背負い投げをかける。しかし、ノンナは身体が地面に打ち付けられる前に足で踏ん張り、ブリッジの態勢で攻撃を防いだ。
ノンナは間接を器用に曲げ、拘束から抜け出し、ライナへ挙を振る。
肉弾戦が得意なライナの脅威の動体視力によって、ノンナの拳は空を切る。隙を見てライナも挙をノンナへ振るうが同様に避けられてしまう。
数秒お互いの攻防が続いたが、ガードが甘かったライナの横腹にノンナの拳が入り、体勢が崩れた。
「ぐぅ!」
「どうした? 私に逆らったでかい態度の割には大したことないな」
ライナは脇腹を抑え、呼吸を整えながらゆっくりと立ち上がる。
「おい! フールてめぇ!! 寝てねぇで早くてめぇの仲間を治療しやがれ!! 何の為にあたいが出てきたと思ってんだ!!」
「悪いな……ライナ」
「謝罪よりも早く加勢しろ!!」
俺は、自分の治療を終わらせ、倒れている仲間の元へと向かう。それを見たノンナが俺の方向を向くが、そこへノンナが割込む。
「てめぇの相手はあたいだ」
「邪魔をするな、このゴミ」
「ゴミなら直ぐ処分してみな!!」
ライナは回転職りをノンナへ何度も畳みかける。ノンナは足を器用に使い、バックステップでわざと攻撃を紙一重で避ける。ライナの隙を読み、ノンナも足を突き出した。
ノンナの攻撃がライナに直撃し、壁へと叩きつけられ、そのまま倒れ込む。
戦い馴れした無駄のない動きによって翻弄されているライナは実力差を感じていた。
しかし、ライナは歯を食いしばって立ち上がる。
「貴様は私に勝てない」
「はぁはぁ……」
ライナは横目でグリフォンの仲間を見る。サラシエルは怯え切っており、セインは目を伏せて動かない。そして、リーダーとして肝心なカタリナは突っ立って下を向いていた。
そんなパーティの状況にライナは大きく溜息を吐いた。
「どいつもこいつも……」
ライナは頭を犬のようにブルブルと振る。
「“身体獣化 ”『狂暴変異』!」
ライナは自身の特殊能力を発動させ、四肢が戦の釣爪と変わっていく。
「“凍結挙”『氷爪撃』」
ノンナも能力を発動させると、周囲に霜が立ち込み始め、両手に氷の爪が生える。
「いくぜぇえええええ!!!!」
咆哮と共に床を蹴ってのライナが飛び出す。それに合わせてノンナも飛び出し、お互いの拳がぶつかり合う。獣の爪と氷の爪がぶつかり合い、火花が飛び散る。
お互い、拳を畳みかけるような連撃を振るい合った。
「おい! 聞いてるか!? 駄目リーダー!!」
戦っているライナから声を変えられ、カタリナは思わず顔を挙げる。
「朱雀倒した後、お前と飯行った時、俺に言ったよな!! 騎士道がどうだとか、助けた理由はあーーだこーだとかよぉ!! 憧れてた奴がいるって言ったのはてめぇだろうが!! 自分で言ったことも忘れちまったのか!?」
ライナがカタリナを帰る。カタリナの身体が小刻みに震える。
「それに! てめぇ 1人で抱え込んで、何も言わねぇで突然、命の恩人捕まえるって納得いくわけねぇだろうが!!」
話しながら戦っているライナの動きには粗がある。それをノンナは見逃さない。
「話す暇があるのか?」
ノンナの右ストレートがライナの顔面に入る。ふらついて、倒れそうになるがライナは気合で踏ん張った。
「くぅ……カタリナ、怖いんだろ? 殺されるのが」
「……」
カタリナの額から汗がこぼれる。強がるところすら見せられない様子に、ライナは唾を吐き捨てる。
「あたいは怖くないぜリーダー。なんせ、あたいは生まれた時からとっくに死んでるからだ。差別を受け、誰からも愛されず、必要とされず、冒険者になっても必要とされねぇからあたいは一人でのしあがったのさ。でも、あんたは違った。こんなあたいでも助けてくれただろ。
仲間だからとか騎士道だからとか御託並べて、命を落としかけてたくせに。でも、あたいは素直に嬉しかったんだ。
その日、誰かに初めて守られたんだ……それも2人。騎士道を掲げる女とインチキ回復術士にな。リーダー……てめぇの騎士道ってのはその程度かよ」
カタリナは目を見開く。
「てめぇの恩師の意志は死で揺らぐもんなのか!? 恩師は死を恐れたか!? てめぇの掲げる騎士道はそんなに脆いのかよ!! 目を覚ませよカタリナァアアアア!!!!」
ライナはカタリナに向けて激を飛ばした。
その時、激情したライナは胸の中で何かがはじけたような気がした
そうだ……私は恐怖によって塗り隠されていた。私には絶対にぶれてはならない意志があった。それは、受け継がれた意志、必ず果たさなくてはいけない役目。それを私は掲げていたはずなのに……どうして、忘れてしまっていたのだろう。
『カタリナ! 希望を持つんだ!』
恩師、オルベリスクが残した言葉が頭の中に響く。
彼の……誇り高き騎士としてのあるべき姿を私は受け継ぐと替ったのだ。
真なる騎士道を……
ライナの体力は限界だった。しかし、ふらつきながらもノンナに向けて挙を構えるライナ。
それを見て、ノンナは果れた様子だった。
「馬鹿かお前は。勝てないのは分かっているだろ」
「へへ、あたいは勝つために踏ん張ってんじゃねぇよ……」
意識が朦朧とし、霞む瞳をノンナへ向けてニヤリと笑った。
「守るために戦ってんだよ」
「戦士としての意地は認めてやる。ならば、本気で相手をしてやろう」
ノンナの身体から黒いオーラがにじみ出る。ライナの視点ではノンナから出るオーラの中に不気味で実に冷淡な月が見えたのだ。
「“影駭響震 ”」
その月を見た瞬間、一気に身体が重くなる。力が抜け、脱力感が一気に駆け上がってくる。
すると、今までよりもノンナのスピードが強化されているように見えた。その時、既にライナに近づいており、ノンナは顔面~氷の爪を突き付けていた。
しかし、ノンナのスピードよりも速くライナの目の前に何かが割って入ると、氷の爪を細い長剣の刃が受け止める。
「……おせぇよ、リーダー」
黄色に輝くその長い金髪がライナの類に掠れる。
目の前にはさっきまでとは打って変わり、騎士の輝きを取り戻し、他者を守る顔つきをしたカタリナの姿があった。
「カタリナ、貴様!」
「すまないライナ、私が間違っていた」
カタリナとノンナの鍔迫り合いの横でノンナの横で爆発が起こる。
爆発はノンナに直撃し、身体が大きく吹き飛ぶが、器用に受け身を取った。
「あーーもぅ!! わ、私たちだって!! もう怖くないんだから!!」
「カタリナさん! ライナ! 遅れてすいません! 僕たちも怖がってました……でも、ライナのおかげで目が覚めました!! 援護します!!」
横から、サラシエルとセインも立ち直り、支援をしてくれたのだ。これで、グリフォンはまた一つになったのである。
「貴様ら……私がバルバドス様に報告したらどうなるか分かっているのか」
「心配無用だ。お前はここで敗れるのだからな」
セシリアはノンナに向けて剣を向ける。
「もう、私は恐れない」
セシリアは剣を地面に突き刺し、胸を張って騎士の敬礼をとる。
「我が騎士としての信念は今蘇った!! 例え、この身が滅びようとも私は皆を守る!! それが、我が騎士道だ!!!!」
叫んだ瞬間、決意によって熱くなったカタリナの胸の中で何かがはじけるような気がした。
高らかに声を上げたカタリナは騎士としての心が蘇ったのである。
そして、俺たちも復活する。
「カタリナ!! 俺たちもいけるぞ!!」
ライナのおかげで、全員が命に別状はなく、完全治療によって回復が完了していた。
「あ痛たた……お花畑が見えたんだぞ……」
パトラも命に別状はなかった。
仲間たちは態勢を立て直し、ノンナへ向けて構えを取る。
俺はライナに駆け寄った。
「ライナ! 本当にありがとう!!」
「……へっ、そんなことより、あたいにも掛けろよ」
「ああ、勿論だ」
俺はライナに完全治療を掛ける。傷はすぐに治りライナの身体は元通りになった。
「流石だな」
ライナは治療を完了すると、立ち上がってノンナの前へと出た。
「ここはあたいに、けりつけさせろ。仕返しがしてぇんだ。良いだろ? リーダー」
カタリナは少し考えた後に答える。
「無理はするなよ」
「あんたに言われたくないが大丈夫だ。考えがある」
ライナは俺の方を見るとにかっと笑う。
「なあなあ。あたいにもやってくれよ、お前がセシリアに掛けたみたいによ」
ライナの言葉で何を言っているのかがすぐに分かった。
勿論、心して受けるつもりだ。
「ああ、やろう」
「よし」
俺はライナの後ろへ駆け寄る。
「私も舐められたもんだな」
「よくもやってくれたな。さて、ここからが本番だ」
ノンナ、ライナ共に再び戦間の構えを取る。俺もそれに合わせて杖を取り出し、ノンナに魔法をかけた。
「行くぞ! “EX治癒”!!」
「おお、すげぇ……カが入ってくるぜ」
ノンナは俺の魔法に感心しているうちに、ノンナはライナの懐に入り、顔面へ向けて回し蹴りを行った。鋭い速さの蹴りがライナの頭に入る。
「やっぱりな、すげぇよ全然痛くねぇのな」
「なっ!?」
しかし、ライナはダメージを受けることは無く、ノンナの前で首のストレッチを始めた。
「さて……反撃開始だぁ!!」
「相手は、まだ子供だぜ?」
「関係ない。それに貴様は自分が何をしているのか分かっているのか?」
ライナはノンナの拳を掴んだまま睨みつけ、にやりと笑う。
「そこの誇り高き騎士様がてめぇにブルってるからよぉ。代わりあたいが出てきてやったんだよ!!」
ライナは流れるような動きでノンナの腕を掴むと背負い投げをかける。しかし、ノンナは身体が地面に打ち付けられる前に足で踏ん張り、ブリッジの態勢で攻撃を防いだ。
ノンナは間接を器用に曲げ、拘束から抜け出し、ライナへ挙を振る。
肉弾戦が得意なライナの脅威の動体視力によって、ノンナの拳は空を切る。隙を見てライナも挙をノンナへ振るうが同様に避けられてしまう。
数秒お互いの攻防が続いたが、ガードが甘かったライナの横腹にノンナの拳が入り、体勢が崩れた。
「ぐぅ!」
「どうした? 私に逆らったでかい態度の割には大したことないな」
ライナは脇腹を抑え、呼吸を整えながらゆっくりと立ち上がる。
「おい! フールてめぇ!! 寝てねぇで早くてめぇの仲間を治療しやがれ!! 何の為にあたいが出てきたと思ってんだ!!」
「悪いな……ライナ」
「謝罪よりも早く加勢しろ!!」
俺は、自分の治療を終わらせ、倒れている仲間の元へと向かう。それを見たノンナが俺の方向を向くが、そこへノンナが割込む。
「てめぇの相手はあたいだ」
「邪魔をするな、このゴミ」
「ゴミなら直ぐ処分してみな!!」
ライナは回転職りをノンナへ何度も畳みかける。ノンナは足を器用に使い、バックステップでわざと攻撃を紙一重で避ける。ライナの隙を読み、ノンナも足を突き出した。
ノンナの攻撃がライナに直撃し、壁へと叩きつけられ、そのまま倒れ込む。
戦い馴れした無駄のない動きによって翻弄されているライナは実力差を感じていた。
しかし、ライナは歯を食いしばって立ち上がる。
「貴様は私に勝てない」
「はぁはぁ……」
ライナは横目でグリフォンの仲間を見る。サラシエルは怯え切っており、セインは目を伏せて動かない。そして、リーダーとして肝心なカタリナは突っ立って下を向いていた。
そんなパーティの状況にライナは大きく溜息を吐いた。
「どいつもこいつも……」
ライナは頭を犬のようにブルブルと振る。
「“身体獣化 ”『狂暴変異』!」
ライナは自身の特殊能力を発動させ、四肢が戦の釣爪と変わっていく。
「“凍結挙”『氷爪撃』」
ノンナも能力を発動させると、周囲に霜が立ち込み始め、両手に氷の爪が生える。
「いくぜぇえええええ!!!!」
咆哮と共に床を蹴ってのライナが飛び出す。それに合わせてノンナも飛び出し、お互いの拳がぶつかり合う。獣の爪と氷の爪がぶつかり合い、火花が飛び散る。
お互い、拳を畳みかけるような連撃を振るい合った。
「おい! 聞いてるか!? 駄目リーダー!!」
戦っているライナから声を変えられ、カタリナは思わず顔を挙げる。
「朱雀倒した後、お前と飯行った時、俺に言ったよな!! 騎士道がどうだとか、助けた理由はあーーだこーだとかよぉ!! 憧れてた奴がいるって言ったのはてめぇだろうが!! 自分で言ったことも忘れちまったのか!?」
ライナがカタリナを帰る。カタリナの身体が小刻みに震える。
「それに! てめぇ 1人で抱え込んで、何も言わねぇで突然、命の恩人捕まえるって納得いくわけねぇだろうが!!」
話しながら戦っているライナの動きには粗がある。それをノンナは見逃さない。
「話す暇があるのか?」
ノンナの右ストレートがライナの顔面に入る。ふらついて、倒れそうになるがライナは気合で踏ん張った。
「くぅ……カタリナ、怖いんだろ? 殺されるのが」
「……」
カタリナの額から汗がこぼれる。強がるところすら見せられない様子に、ライナは唾を吐き捨てる。
「あたいは怖くないぜリーダー。なんせ、あたいは生まれた時からとっくに死んでるからだ。差別を受け、誰からも愛されず、必要とされず、冒険者になっても必要とされねぇからあたいは一人でのしあがったのさ。でも、あんたは違った。こんなあたいでも助けてくれただろ。
仲間だからとか騎士道だからとか御託並べて、命を落としかけてたくせに。でも、あたいは素直に嬉しかったんだ。
その日、誰かに初めて守られたんだ……それも2人。騎士道を掲げる女とインチキ回復術士にな。リーダー……てめぇの騎士道ってのはその程度かよ」
カタリナは目を見開く。
「てめぇの恩師の意志は死で揺らぐもんなのか!? 恩師は死を恐れたか!? てめぇの掲げる騎士道はそんなに脆いのかよ!! 目を覚ませよカタリナァアアアア!!!!」
ライナはカタリナに向けて激を飛ばした。
その時、激情したライナは胸の中で何かがはじけたような気がした
そうだ……私は恐怖によって塗り隠されていた。私には絶対にぶれてはならない意志があった。それは、受け継がれた意志、必ず果たさなくてはいけない役目。それを私は掲げていたはずなのに……どうして、忘れてしまっていたのだろう。
『カタリナ! 希望を持つんだ!』
恩師、オルベリスクが残した言葉が頭の中に響く。
彼の……誇り高き騎士としてのあるべき姿を私は受け継ぐと替ったのだ。
真なる騎士道を……
ライナの体力は限界だった。しかし、ふらつきながらもノンナに向けて挙を構えるライナ。
それを見て、ノンナは果れた様子だった。
「馬鹿かお前は。勝てないのは分かっているだろ」
「へへ、あたいは勝つために踏ん張ってんじゃねぇよ……」
意識が朦朧とし、霞む瞳をノンナへ向けてニヤリと笑った。
「守るために戦ってんだよ」
「戦士としての意地は認めてやる。ならば、本気で相手をしてやろう」
ノンナの身体から黒いオーラがにじみ出る。ライナの視点ではノンナから出るオーラの中に不気味で実に冷淡な月が見えたのだ。
「“影駭響震 ”」
その月を見た瞬間、一気に身体が重くなる。力が抜け、脱力感が一気に駆け上がってくる。
すると、今までよりもノンナのスピードが強化されているように見えた。その時、既にライナに近づいており、ノンナは顔面~氷の爪を突き付けていた。
しかし、ノンナのスピードよりも速くライナの目の前に何かが割って入ると、氷の爪を細い長剣の刃が受け止める。
「……おせぇよ、リーダー」
黄色に輝くその長い金髪がライナの類に掠れる。
目の前にはさっきまでとは打って変わり、騎士の輝きを取り戻し、他者を守る顔つきをしたカタリナの姿があった。
「カタリナ、貴様!」
「すまないライナ、私が間違っていた」
カタリナとノンナの鍔迫り合いの横でノンナの横で爆発が起こる。
爆発はノンナに直撃し、身体が大きく吹き飛ぶが、器用に受け身を取った。
「あーーもぅ!! わ、私たちだって!! もう怖くないんだから!!」
「カタリナさん! ライナ! 遅れてすいません! 僕たちも怖がってました……でも、ライナのおかげで目が覚めました!! 援護します!!」
横から、サラシエルとセインも立ち直り、支援をしてくれたのだ。これで、グリフォンはまた一つになったのである。
「貴様ら……私がバルバドス様に報告したらどうなるか分かっているのか」
「心配無用だ。お前はここで敗れるのだからな」
セシリアはノンナに向けて剣を向ける。
「もう、私は恐れない」
セシリアは剣を地面に突き刺し、胸を張って騎士の敬礼をとる。
「我が騎士としての信念は今蘇った!! 例え、この身が滅びようとも私は皆を守る!! それが、我が騎士道だ!!!!」
叫んだ瞬間、決意によって熱くなったカタリナの胸の中で何かがはじけるような気がした。
高らかに声を上げたカタリナは騎士としての心が蘇ったのである。
そして、俺たちも復活する。
「カタリナ!! 俺たちもいけるぞ!!」
ライナのおかげで、全員が命に別状はなく、完全治療によって回復が完了していた。
「あ痛たた……お花畑が見えたんだぞ……」
パトラも命に別状はなかった。
仲間たちは態勢を立て直し、ノンナへ向けて構えを取る。
俺はライナに駆け寄った。
「ライナ! 本当にありがとう!!」
「……へっ、そんなことより、あたいにも掛けろよ」
「ああ、勿論だ」
俺はライナに完全治療を掛ける。傷はすぐに治りライナの身体は元通りになった。
「流石だな」
ライナは治療を完了すると、立ち上がってノンナの前へと出た。
「ここはあたいに、けりつけさせろ。仕返しがしてぇんだ。良いだろ? リーダー」
カタリナは少し考えた後に答える。
「無理はするなよ」
「あんたに言われたくないが大丈夫だ。考えがある」
ライナは俺の方を見るとにかっと笑う。
「なあなあ。あたいにもやってくれよ、お前がセシリアに掛けたみたいによ」
ライナの言葉で何を言っているのかがすぐに分かった。
勿論、心して受けるつもりだ。
「ああ、やろう」
「よし」
俺はライナの後ろへ駆け寄る。
「私も舐められたもんだな」
「よくもやってくれたな。さて、ここからが本番だ」
ノンナ、ライナ共に再び戦間の構えを取る。俺もそれに合わせて杖を取り出し、ノンナに魔法をかけた。
「行くぞ! “EX治癒”!!」
「おお、すげぇ……カが入ってくるぜ」
ノンナは俺の魔法に感心しているうちに、ノンナはライナの懐に入り、顔面へ向けて回し蹴りを行った。鋭い速さの蹴りがライナの頭に入る。
「やっぱりな、すげぇよ全然痛くねぇのな」
「なっ!?」
しかし、ライナはダメージを受けることは無く、ノンナの前で首のストレッチを始めた。
「さて……反撃開始だぁ!!」
0
お気に入りに追加
1,353
あなたにおすすめの小説
邪魔者はどちらでしょう?
風見ゆうみ
恋愛
レモンズ侯爵家の長女である私は、幼い頃に母が私を捨てて駆け落ちしたということで、父や継母、連れ子の弟と腹違いの妹に使用人扱いされていた。
私の境遇に同情してくれる使用人が多く、メゲずに私なりに楽しい日々を過ごしていた。
ある日、そんな私に婚約者ができる。
相手は遊び人で有名な侯爵家の次男だった。
初顔合わせの日、婚約者になったボルバー・ズラン侯爵令息は、彼の恋人だという隣国の公爵夫人を連れてきた。
そこで、私は第二王子のセナ殿下と出会う。
その日から、私の生活は一変して――
※過去作の改稿版になります。
※ラブコメパートとシリアスパートが混在します。
※独特の異世界の世界観で、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
好きになって貰う努力、やめました。
たなか
恋愛
学校の中庭で目撃してしまった、婚約者とあるご令嬢とのキスシーン。
──そんなに私がお嫌いですか?ならば、もう、好きになってもらう努力やめます。
胸の中で婚約者様に別れを告げる。
小説みたいに、スッキリ諦められたのならば、どれほど良かったことか。
婚約者の浮気をゴシップ誌で知った私のその後
桃瀬さら
恋愛
休暇で帰国中のシャーロットは、婚約者の浮気をゴシップ誌で知る。
領地が隣同士、母親同士の仲が良く、同じ年に生まれた子供が男の子と女の子。
偶然が重なり気がついた頃には幼馴染み兼婚約者になっていた。
そんな婚約者は今や貴族社会だけではなく、ゴシップ誌を騒がしたプレイボーイ。
婚約者に婚約破棄を告げ、帰宅するとなぜか上司が家にいた。
上司と共に、違法魔法道具の捜査をする事となったシャーロットは、捜査を通じて上司に惹かれいくが、上司にはある秘密があって……
婚約破棄したシャーロットが幸せになる物語
婚約破棄を叫ばれたあげくに冤罪をかけられたのでとりあえず壁を破壊しました
荷居人(にいと)
恋愛
幼い頃、ある理由でこの国の王太子との婚約が決定した。恋愛に夢見ていなかった私は別にどうでも良かったものの王太子でありながら女好きの婚約者にはほとほと呆れていた。
とはいえ、尻拭いは陛下が周りを使ってしており、私に可哀想なくらい謝るので、私に迷惑をかけないならと許してきた、が。
あのバカは自分が悪いにも関わらず、毎度私に謝罪するよう言われては、無理矢理謝罪させられることに逆恨みしたようでついに取り返しのつかないことをしでかした。
「未来の夫に謝罪ばかり要求し、勝手に嫉妬して私の愛人候補をいじめるような貴様とは婚約破棄だ!」
嵌めてやったとばかりににやにやと笑う令嬢に、自分が正義とどやりながらめちゃくちゃなことをいう王太子。
ついに私にこんな大広間で直接喧嘩を売りましたね?覚悟はできてまして?
真実の愛を貫き通すと、意外と悲惨だったという話(相手が)~婚約破棄から始まる強引過ぎる白い結婚と、非常識すぎるネチ愛のいきさつ
buchi
恋愛
オーガスタは好きでもない王太子の婚約者候補。美人で優秀なばっかりに、どうしてもやめられない。すてきな恋にあこがれているのに。でも、妹のエレノアが王太子殿下に付きまとい、婚約はいったん白紙に。しかし王太子が執着していたのはオーガスタだった。今度は王太子から完全に逃れるためと実家の公爵家を継ぐために、父の決めた従兄との結婚が待っていた。コメディだけど、政略、暗殺、粘着、陰湿、監禁、投獄、そして強力なエネルギーを秘めた恋物語は最終数話で真相が姿を現す。64話で完結。大体22万字くらい。
生きるのが下手な僕たちは、それでも命を愛したい。
柚鷹けせら
BL
【2024/06/01 更新再開しました】
目の前に飛び出して来た高校生を轢きそうになった瞬間、異世界に引っ張られた主人公は、神様のルールに則って異世界に転移する事になった。
今までの生活を振り返り、自分に正直に生きる事を目指すのだが、その境遇に同情し絆された神様たちがくれた加護の相乗効果でセカンドライフは波乱の幕開け?
「親にも捨てられたんだ、誰かの役に立ち続けないと生きることも許されない」
ずっとそういう気持ちを抱え、自身のセクシャリティからも目を背けていた主人公が、実は昔から彼を見守り続けていた神様の世界で幸せになるための物語。
□■□
●たまに戦闘やグロいシーンがあります。注意喚起※付けます。苦手な方はご注意ください。
●物語の舞台となる世界の設定上、同性婚でも子供が授かれるようになっています。
●恋愛&ラブHは第4章92話以降~。
●作中に出て来るイヌ科やネコ科といった獣人族の分類は地球のものとは異なります。異世界ファンタジーだと割り切って頂けますようよろしくお願い致します。
2022/05/13 タグ編集
2022/05/22 内容紹介編集
2022/06/27 タグ・内容紹介編集
2022/07/03 タグ編集
2022/09/06 タグ・内容紹介編集
2022/09/20 本編タイトル表記統一等調整しました
“5分”で読めるお仕置きストーリー
ロアケーキ
大衆娯楽
休憩時間に、家事の合間に、そんな“スキマ時間”で読めるお話をイメージしました🌟
基本的に、それぞれが“1話完結”です。
甘いものから厳し目のものまで投稿する予定なので、時間潰しによろしければ🎂
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる