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第3章 商都地変編
第82話 受け入れた者
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特殊能力"奇跡"、それはあらゆる法則を無視し、彼が祈ればその願いに近しい現象が起こる能力。その近しい現象というのは何が起こるか分からない不確定要素だ。しかし、不確定要素を上手くコントロールしているのがウォルターが”神の加護を受けし者”と称されている所以なのだ。
ウォルターが聖騎士協会でも顔が浮いているのはそう言った能力を持っているからだ。勿論、能力だけで評価されているわけではない事を長く相棒をしてきたアイギスだからこそ知っている。
「色々驚くことが多いんですけど……あの……私本当に……」
クラリスが地面にへたり込んだまま俯いていた。アイギスは一息を鼻だけでつき、クラリスの元へと歩み寄った。
「気にすることないのよ。それより身体の調子はどう?」
「は……はい……私は大丈夫です」
「そう……私も負けちゃった。でも命あったら、またいつか仕返ししてやれば良い。貴女もやられっぱなしじゃ嫌でしょ? 命があるなら、仕返ししてやれば良いのよ。さあ、立ち上がりましょ?」
アイグスはクラリスに右手を差し伸べた。クラリスはその手とアイギスの顔を交互に見ると、流れそうだった目頭に溜まった涙を払うように首を振る。そして、真剣な眼差しをクラリスに向けその手を取った。
「私……もっと強くなりたいです! ここで……倒れてしまった仲間達の為にも……」
そう言ってクラリスは部屋の周囲を見回す。辺りには魔人によって倒された仲間達の亡骸が転がっている。
クラリスは気絶していて何が起こっていたのかは分からない。しかし、この惨状からどれほどあの魔人が強力な力を持っていたのか十分に察することが出来た。
クラリスは拳を強く握り、倒れた仲間の姿を見ていつか必ず魔人達に報いを受けさせることを誓った。
そんなクラリスを見守っているアイギスへウォルターが近づいてくる。
「アイギスとクラリス、パウロと一緒にキャンプへ帰還して応援を要請してくれ。倒れた仲間たちをここに放置するわけには行かないからな」(生きているものを放つのであれば「野放し」で良いが、動かない物を放つのは「放置」。日本語は難しいですね)
「了解です。ですがウォルター様、お一人で先を進むなんて!」
クラリスがウォルターへ心配そうな眼差しを向ける。
「俺は大丈夫だ。そこの四神をこれ以上待たせるわけには行かないからな」
ウォルターの目線の先には先ほどまでの戦いを静かに見ていた白虎と目が合う。白虎も先ほどまでの戦いで不意打ちもできたはずなのに攻撃を仕掛けてこなかった。アイギスはどこか魔物とは思えない白虎の行動を見て、なぜかウォルターを一人で送り出せる気持ちになった。なぜかあの魔物から先ほどの魔人のような危険なオーラを感じないのだ。
アイギスはクラリスの肩に手を置いて顔を見た。
「行きましょう、副隊長」
アイギスの信頼しているその瞳を見ると、クラリスはウォルターの方を向いて敬礼をした。
「わ、分かりました! ウォルター隊長! ここはクラリスにお任せください! お気を付けて! それではクラリスさん、パウロさん! 応援を呼びに行きましょう!」
クラリスが先陣を切ってパウロとアイギスを連れてこの空間を後にした。
そして、この空間にはウォルターと白虎だけが残された。
「俺たちは聖騎士協会の決まりによって、四神であるお前達を討伐はしなくてはならない。だが……俺個人、お前と争う理由はない。もし地盤変動がお前達の仕業なら、話を聞きたい。話せるのだろう? 人語を」
「ナゼ……タタカワズハナシアウ? オマエノシメイ、ワレラヲコロスコト。ドウシテ?」
質問を投げかけられたウォルターは鼻で笑い答える。
「これまでの行動を見てそう感じた。地盤変動をむやみに起こす奴らが『相手が攻撃してきたら攻撃する』なんて、まるで人間のようにルールに従うと思うか? それに、魔人との交戦時はお前にチャンスは幾時もあった。いつだって不意打ち出来ただろう。しかし、してこなかった。あまりにも人間臭い行動をしてくるお前達に興味を持ったんだ。本音は……真実を知りたいだけだがな」
ウォルターは淡々と白虎に向けて話すと白虎はゆっくりとウォルターへ歩み寄る。
どんどん距離を縮めていく白虎に対してウォルターは動じず、剣を抜くことはない。
そして、ウォルターと白虎との距離が紙一重ほどになってもウォルターは動じることはなかった。
「……ナルホド」
すると、白虎は後ろを振り向く。
「ツイテコイ」
そう言うと白虎は自分が守っていた入り口へウォルターを導く。受け入れられたのかは分からないがウォルターは白虎の後ろからついていくことにした。
この先に何が待っているのか……ウォルターは真実へと近づくために歩み始める。
ウォルターが聖騎士協会でも顔が浮いているのはそう言った能力を持っているからだ。勿論、能力だけで評価されているわけではない事を長く相棒をしてきたアイギスだからこそ知っている。
「色々驚くことが多いんですけど……あの……私本当に……」
クラリスが地面にへたり込んだまま俯いていた。アイギスは一息を鼻だけでつき、クラリスの元へと歩み寄った。
「気にすることないのよ。それより身体の調子はどう?」
「は……はい……私は大丈夫です」
「そう……私も負けちゃった。でも命あったら、またいつか仕返ししてやれば良い。貴女もやられっぱなしじゃ嫌でしょ? 命があるなら、仕返ししてやれば良いのよ。さあ、立ち上がりましょ?」
アイグスはクラリスに右手を差し伸べた。クラリスはその手とアイギスの顔を交互に見ると、流れそうだった目頭に溜まった涙を払うように首を振る。そして、真剣な眼差しをクラリスに向けその手を取った。
「私……もっと強くなりたいです! ここで……倒れてしまった仲間達の為にも……」
そう言ってクラリスは部屋の周囲を見回す。辺りには魔人によって倒された仲間達の亡骸が転がっている。
クラリスは気絶していて何が起こっていたのかは分からない。しかし、この惨状からどれほどあの魔人が強力な力を持っていたのか十分に察することが出来た。
クラリスは拳を強く握り、倒れた仲間の姿を見ていつか必ず魔人達に報いを受けさせることを誓った。
そんなクラリスを見守っているアイギスへウォルターが近づいてくる。
「アイギスとクラリス、パウロと一緒にキャンプへ帰還して応援を要請してくれ。倒れた仲間たちをここに放置するわけには行かないからな」(生きているものを放つのであれば「野放し」で良いが、動かない物を放つのは「放置」。日本語は難しいですね)
「了解です。ですがウォルター様、お一人で先を進むなんて!」
クラリスがウォルターへ心配そうな眼差しを向ける。
「俺は大丈夫だ。そこの四神をこれ以上待たせるわけには行かないからな」
ウォルターの目線の先には先ほどまでの戦いを静かに見ていた白虎と目が合う。白虎も先ほどまでの戦いで不意打ちもできたはずなのに攻撃を仕掛けてこなかった。アイギスはどこか魔物とは思えない白虎の行動を見て、なぜかウォルターを一人で送り出せる気持ちになった。なぜかあの魔物から先ほどの魔人のような危険なオーラを感じないのだ。
アイギスはクラリスの肩に手を置いて顔を見た。
「行きましょう、副隊長」
アイギスの信頼しているその瞳を見ると、クラリスはウォルターの方を向いて敬礼をした。
「わ、分かりました! ウォルター隊長! ここはクラリスにお任せください! お気を付けて! それではクラリスさん、パウロさん! 応援を呼びに行きましょう!」
クラリスが先陣を切ってパウロとアイギスを連れてこの空間を後にした。
そして、この空間にはウォルターと白虎だけが残された。
「俺たちは聖騎士協会の決まりによって、四神であるお前達を討伐はしなくてはならない。だが……俺個人、お前と争う理由はない。もし地盤変動がお前達の仕業なら、話を聞きたい。話せるのだろう? 人語を」
「ナゼ……タタカワズハナシアウ? オマエノシメイ、ワレラヲコロスコト。ドウシテ?」
質問を投げかけられたウォルターは鼻で笑い答える。
「これまでの行動を見てそう感じた。地盤変動をむやみに起こす奴らが『相手が攻撃してきたら攻撃する』なんて、まるで人間のようにルールに従うと思うか? それに、魔人との交戦時はお前にチャンスは幾時もあった。いつだって不意打ち出来ただろう。しかし、してこなかった。あまりにも人間臭い行動をしてくるお前達に興味を持ったんだ。本音は……真実を知りたいだけだがな」
ウォルターは淡々と白虎に向けて話すと白虎はゆっくりとウォルターへ歩み寄る。
どんどん距離を縮めていく白虎に対してウォルターは動じず、剣を抜くことはない。
そして、ウォルターと白虎との距離が紙一重ほどになってもウォルターは動じることはなかった。
「……ナルホド」
すると、白虎は後ろを振り向く。
「ツイテコイ」
そう言うと白虎は自分が守っていた入り口へウォルターを導く。受け入れられたのかは分からないがウォルターは白虎の後ろからついていくことにした。
この先に何が待っているのか……ウォルターは真実へと近づくために歩み始める。
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