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第1章 ギルド追放編
幕間 突然の悲劇
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フールたちの新たな冒険が始まった頃、ソローモ世界北東にある”エルフの畔”周辺の森で騒ぎが起こっていた。エルフの畔周辺は大森林となっており、緑色の樹木が生い茂っているのだが今、その大森林に火が燃え広がって、炎の海になっていた。その炎は突然として生み出され、エルフの畔にいた妖精族達に大きな被害を与えているのだった。
「皆さん! 早く隠れ家である洞窟へとお逃げください!」
ある一人のエルフが多くの小妖精やエルフに避難要請を促しながら、森の中を駆け巡っていた。炎は森の木に燃え移り続け、炎の強さは増していく。やけどになりながらも命からがら逃げてくるエルフもいれば、羽が火によって燃やされて命を落としてしまった妖精の死体など、地獄絵図が広がっている場所もあった。自身は一心不乱に仲間たちに向けて避難の声掛けをし続ける。すると、道の向こうから背中に弓矢を背負った一人の緑髪の顔立ちの良い美しいエルフの女性が駆け足で近寄ってくる。
「セレナ様! 何をしておられるのですか⁉ 急いでお逃げになってください!! このままでは貴方様の命も危険です!!」
「ソレーヌ、私はこの森の長として一人でも多く同族たちを救いたいのです!! まだこの森には同族たちが……」
「それでも……あなたが居なくなっては取り残された妖精たちが悲しんでしまいます!! 急いで隠れ家である洞窟の中へとお戻りになりましょう!」
そう言って、ソレーヌはセレナの手を取りセレナの歩んできた道を引き返そうとした時だった。森全体に大きな揺れが起こる。今までにない大きな地震で二人は困惑した。
「これは……ダンジョンが形成された音……それにしては音が大きすぎる」
「……!! セレナ様、あれを!!」
ソレーヌが指さしたのはこの森の上空に位置するところだった。そこには炎のように赤い毛から火の粉をまき散らしながら羽ばたく巨鳥がいた。単調な赤い毛が付いた体とは裏腹に羽は虹色のようにきらきらと輝いている。その不思議な鳥は恐ろしいと言うよりも美しいと言う言葉の方が似合う外見をしており、思わず見惚れてしまいそうだった。
「あれは……四神の1柱、”火神”朱雀……とうとう現れてしまいましたか……」
「そ、そんな……四神災害が現れるなんて……」
2人は神々しく森上空を滑空している朱雀を見て、心に絶望感が湧き上がってきていた。しかし、セレナはソレーヌの肩を掴むと真っすぐな視線でソレーヌの目を見る。
「良いですかソレーヌ、あなたに命令を与えます。この森を出て、あの朱雀を討伐できる者たちを見つけてくるのです。この森付近で四神を討伐できるほどの実力を持ったものなどもしかしたらいないかもしれません……それでも、この森で何が起こったのかあなたが私たちに代わって伝えてください」
「で……ですがセレナ様! それでは私は同族たちを見捨てて逃げることになってしまいます! 私もあなた様のお傍に……」
「これはあなたにしか頼めないことなのですよソレーヌ……あなたは逃げるのではありません、私たちを希望へと導くための役割を担われたのです。そして、私たちを救ってくれる救世主と共にその背中にある魔道弓を使って戦いなさい。あなたの事、信じてますから……頼みましたよソレーヌ」
「……畏まりました! セレナ様も急いでお逃げを!!」
そうして、ソレーヌはセレナの顔を少しだけ見た後、セレナから背を向けて振り返ることなく走り出した。燃えた木々が道に倒れ、ソレーヌの行く手を阻む。
「くそ!! やむを得ない!!」
ソレーヌは道から外れ、草木が赤く燃えている火の中をかけ走る。火によって温度が上昇しているのでソレーヌは汗だくだ。火が体に触れ、やけども体中にできている。森を出るだけで体力が徐々に奪われていく。それでもセレナの言葉、そして待っている仲間たちの為にソレーヌは歩みを止めることはなかった。
≪冒険者データ≫
Name:フール
職業:回復術士
称号:バールの国の英雄
冒険者ランク:F級
<装備>
メイン武器:【祝福ノ杖】
サブ武器:【火球ノ杖】
防具:【大魔道のローブ】【布のマント】
<魔法>
・【治癒】
・【EX治癒】
<特殊能力>
・【魔力無限】
<装備能力>
・【火球】(ファイアロッド)
・【回復力上昇】(ヒールロッド)
・【魔法詠唱時間短縮】(大魔道のローブ)
・【魔法射程上昇】(大魔道のローブ)
・【魔力上昇】(大魔道のローブ)
Name:セシリア
職業:戦士
称号:英雄の矛
冒険者ランク:B級
<装備>
メイン武器:【雷光】【烈風】
防具:【戦乙女ノ装束】【ニーソックス】
<職業能力>
・【二刀流】
・【受け流し】
<装備能力>
・【雷属性攻撃】(雷光)
・【風属性攻撃】(烈風)
・【防御力上昇】(戦乙女ノ装束)
・【素早さ上昇】(戦乙女ノ装束)
Name:ルミナ
職業:盾士
称号:英雄の盾
冒険者ランク:D級
<装備>
メイン武器:【結界大盾】
防具:【頑丈なプレートメイル】
<職業能力>
・【挑発】
・【シールドバッシュ】
<装備能力>
・【広範囲結界】(結界大盾)
・【防御力超上昇】(頑丈なプレートメイル)
「皆さん! 早く隠れ家である洞窟へとお逃げください!」
ある一人のエルフが多くの小妖精やエルフに避難要請を促しながら、森の中を駆け巡っていた。炎は森の木に燃え移り続け、炎の強さは増していく。やけどになりながらも命からがら逃げてくるエルフもいれば、羽が火によって燃やされて命を落としてしまった妖精の死体など、地獄絵図が広がっている場所もあった。自身は一心不乱に仲間たちに向けて避難の声掛けをし続ける。すると、道の向こうから背中に弓矢を背負った一人の緑髪の顔立ちの良い美しいエルフの女性が駆け足で近寄ってくる。
「セレナ様! 何をしておられるのですか⁉ 急いでお逃げになってください!! このままでは貴方様の命も危険です!!」
「ソレーヌ、私はこの森の長として一人でも多く同族たちを救いたいのです!! まだこの森には同族たちが……」
「それでも……あなたが居なくなっては取り残された妖精たちが悲しんでしまいます!! 急いで隠れ家である洞窟の中へとお戻りになりましょう!」
そう言って、ソレーヌはセレナの手を取りセレナの歩んできた道を引き返そうとした時だった。森全体に大きな揺れが起こる。今までにない大きな地震で二人は困惑した。
「これは……ダンジョンが形成された音……それにしては音が大きすぎる」
「……!! セレナ様、あれを!!」
ソレーヌが指さしたのはこの森の上空に位置するところだった。そこには炎のように赤い毛から火の粉をまき散らしながら羽ばたく巨鳥がいた。単調な赤い毛が付いた体とは裏腹に羽は虹色のようにきらきらと輝いている。その不思議な鳥は恐ろしいと言うよりも美しいと言う言葉の方が似合う外見をしており、思わず見惚れてしまいそうだった。
「あれは……四神の1柱、”火神”朱雀……とうとう現れてしまいましたか……」
「そ、そんな……四神災害が現れるなんて……」
2人は神々しく森上空を滑空している朱雀を見て、心に絶望感が湧き上がってきていた。しかし、セレナはソレーヌの肩を掴むと真っすぐな視線でソレーヌの目を見る。
「良いですかソレーヌ、あなたに命令を与えます。この森を出て、あの朱雀を討伐できる者たちを見つけてくるのです。この森付近で四神を討伐できるほどの実力を持ったものなどもしかしたらいないかもしれません……それでも、この森で何が起こったのかあなたが私たちに代わって伝えてください」
「で……ですがセレナ様! それでは私は同族たちを見捨てて逃げることになってしまいます! 私もあなた様のお傍に……」
「これはあなたにしか頼めないことなのですよソレーヌ……あなたは逃げるのではありません、私たちを希望へと導くための役割を担われたのです。そして、私たちを救ってくれる救世主と共にその背中にある魔道弓を使って戦いなさい。あなたの事、信じてますから……頼みましたよソレーヌ」
「……畏まりました! セレナ様も急いでお逃げを!!」
そうして、ソレーヌはセレナの顔を少しだけ見た後、セレナから背を向けて振り返ることなく走り出した。燃えた木々が道に倒れ、ソレーヌの行く手を阻む。
「くそ!! やむを得ない!!」
ソレーヌは道から外れ、草木が赤く燃えている火の中をかけ走る。火によって温度が上昇しているのでソレーヌは汗だくだ。火が体に触れ、やけども体中にできている。森を出るだけで体力が徐々に奪われていく。それでもセレナの言葉、そして待っている仲間たちの為にソレーヌは歩みを止めることはなかった。
≪冒険者データ≫
Name:フール
職業:回復術士
称号:バールの国の英雄
冒険者ランク:F級
<装備>
メイン武器:【祝福ノ杖】
サブ武器:【火球ノ杖】
防具:【大魔道のローブ】【布のマント】
<魔法>
・【治癒】
・【EX治癒】
<特殊能力>
・【魔力無限】
<装備能力>
・【火球】(ファイアロッド)
・【回復力上昇】(ヒールロッド)
・【魔法詠唱時間短縮】(大魔道のローブ)
・【魔法射程上昇】(大魔道のローブ)
・【魔力上昇】(大魔道のローブ)
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防具:【戦乙女ノ装束】【ニーソックス】
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・【風属性攻撃】(烈風)
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・【素早さ上昇】(戦乙女ノ装束)
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<装備>
メイン武器:【結界大盾】
防具:【頑丈なプレートメイル】
<職業能力>
・【挑発】
・【シールドバッシュ】
<装備能力>
・【広範囲結界】(結界大盾)
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