46 / 64
第二章 悪魔と妖精
悪魔①
しおりを挟む
「妖精は与えることは得意だけど…貰うことは苦手なんですよ…」
2度目のオベロン魔法講座。私は今日の成果を報告し、新たな課題の魔力の吸収について教えを仰いでいる。
オベロン曰く、妖精はおもに主人が妖精に与える魔力を送ることを手助けするらしく、どちらかというと吸収より供給の方が得意らしい。
逆に、その吸収とやらを教えるのが得意なのが悪魔らしい。
「私…なんだかんだで、悪魔にあったことない…」
あー、と納得した顔でオベロンは仰け反った。椅子がギギと音を立て前脚の2本が浮いた。
「妖精もイタズラ好きなんだけど、悪魔のイタズラって度が過ぎてて、下手したら人を殺しかねないんですよね…だから、悪魔って魔術師以外には嫌われていて…滅多にあちらからは接触してこないんですよ…」
マジですか…というか悪魔のイタズラこわ…
私はあぁ…と呻き声をあげ、頭を抱えた。妖精と悪魔とではやはり人との関わりに違いがあるのか~…!!
「主…一人お悩みのところ悪いのだが…この城なら会えますよ?」
「へ?」
自分の口から出た間抜けな声が部屋に悲しく響き渡った。
「人は悪魔との関わりを断つために聖水を魔力の元として大地に流すことで悪魔と絶縁した。が、魔術師はそういう訳にはいかない。悪魔と関わりを持てば大地の魔力に影響されることなく、悪魔の力を使うことが出来る。だから、魔術師は聖水の魔力に影響されない空間を作り、そこで新人魔術師たちは悪魔と関わりを持ち、1人前の魔術師となる。」
ペラペラと紙に書いてある文字を目で追うように、オベロンは宙を見てスラスラと答えた。…口調がいつもと違う…怪しい…。
「…どっから引用した?」
「すみません、ここの北にある王立図書館の魔術基礎の原文を見つけて読みました」
オベロンは北を指さしてボソボソ喋った。彼は千里眼的なものが使えるらしい…。
「まぁ、アレです。よく考えてみてください。この国は魔力と魔術に関心が高い。…ということは?」
「あ!なるほど!魔術の研究室!!」
魔術の研究をするのに必要不可欠な悪魔の協力…。それを可能とするためには、聖水の力が及ばない空間でなければいけない…。
「そこなら、悪魔に会える!?」
うんうん、と大きく頷くオベロン。
「あ、けど気をつけて!!主、魔力強いし悪魔の祝福があるから私みたい…な…」
善は急げ…、という言葉が頭にふと湧き上がり、私は勢いよくドアを開けて廊下へ飛び出した。何かオベロンが言っていた気がしたが、私は早く悪魔さんにアドバイスを貰いたかった。
「あーぁ…行っちった…。まぁ、なんとかなるでしょう。私は今日はこれでドロンとさせてもらいましょう…ふわぁーぁ!眠い…」
バキバキと肩を回してオベロンはシュルシュルと光の粒になって霧散した。
オベロンは妖精の王である自分のように、あちらの王もユキに興味を持って寄って行ったりしないだろうかと心配に思ったが、何とかなるだろうと同時に思い、妖精の国へ帰った。
2度目のオベロン魔法講座。私は今日の成果を報告し、新たな課題の魔力の吸収について教えを仰いでいる。
オベロン曰く、妖精はおもに主人が妖精に与える魔力を送ることを手助けするらしく、どちらかというと吸収より供給の方が得意らしい。
逆に、その吸収とやらを教えるのが得意なのが悪魔らしい。
「私…なんだかんだで、悪魔にあったことない…」
あー、と納得した顔でオベロンは仰け反った。椅子がギギと音を立て前脚の2本が浮いた。
「妖精もイタズラ好きなんだけど、悪魔のイタズラって度が過ぎてて、下手したら人を殺しかねないんですよね…だから、悪魔って魔術師以外には嫌われていて…滅多にあちらからは接触してこないんですよ…」
マジですか…というか悪魔のイタズラこわ…
私はあぁ…と呻き声をあげ、頭を抱えた。妖精と悪魔とではやはり人との関わりに違いがあるのか~…!!
「主…一人お悩みのところ悪いのだが…この城なら会えますよ?」
「へ?」
自分の口から出た間抜けな声が部屋に悲しく響き渡った。
「人は悪魔との関わりを断つために聖水を魔力の元として大地に流すことで悪魔と絶縁した。が、魔術師はそういう訳にはいかない。悪魔と関わりを持てば大地の魔力に影響されることなく、悪魔の力を使うことが出来る。だから、魔術師は聖水の魔力に影響されない空間を作り、そこで新人魔術師たちは悪魔と関わりを持ち、1人前の魔術師となる。」
ペラペラと紙に書いてある文字を目で追うように、オベロンは宙を見てスラスラと答えた。…口調がいつもと違う…怪しい…。
「…どっから引用した?」
「すみません、ここの北にある王立図書館の魔術基礎の原文を見つけて読みました」
オベロンは北を指さしてボソボソ喋った。彼は千里眼的なものが使えるらしい…。
「まぁ、アレです。よく考えてみてください。この国は魔力と魔術に関心が高い。…ということは?」
「あ!なるほど!魔術の研究室!!」
魔術の研究をするのに必要不可欠な悪魔の協力…。それを可能とするためには、聖水の力が及ばない空間でなければいけない…。
「そこなら、悪魔に会える!?」
うんうん、と大きく頷くオベロン。
「あ、けど気をつけて!!主、魔力強いし悪魔の祝福があるから私みたい…な…」
善は急げ…、という言葉が頭にふと湧き上がり、私は勢いよくドアを開けて廊下へ飛び出した。何かオベロンが言っていた気がしたが、私は早く悪魔さんにアドバイスを貰いたかった。
「あーぁ…行っちった…。まぁ、なんとかなるでしょう。私は今日はこれでドロンとさせてもらいましょう…ふわぁーぁ!眠い…」
バキバキと肩を回してオベロンはシュルシュルと光の粒になって霧散した。
オベロンは妖精の王である自分のように、あちらの王もユキに興味を持って寄って行ったりしないだろうかと心配に思ったが、何とかなるだろうと同時に思い、妖精の国へ帰った。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる