異世界召喚鍛冶師

蛇神

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第二章 悪魔と妖精

悪魔①

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「妖精は与えることは得意だけど…貰うことは苦手なんですよ…」

 2度目のオベロン魔法講座。私は今日の成果を報告し、新たな課題の魔力の吸収について教えを仰いでいる。

 オベロン曰く、妖精はおもに主人が妖精に与える魔力を送ることを手助けするらしく、どちらかというと吸収より供給の方が得意らしい。

 逆に、その吸収とやらを教えるのが得意なのが悪魔らしい。

「私…なんだかんだで、悪魔にあったことない…」

 あー、と納得した顔でオベロンは仰け反った。椅子がギギと音を立て前脚の2本が浮いた。

「妖精もイタズラ好きなんだけど、悪魔のイタズラって度が過ぎてて、下手したら人を殺しかねないんですよね…だから、悪魔って魔術師以外には嫌われていて…滅多にあちらからは接触してこないんですよ…」

 マジですか…というか悪魔のイタズラこわ…

 私はあぁ…と呻き声をあげ、頭を抱えた。妖精と悪魔とではやはり人との関わりに違いがあるのか~…!!

「主…一人お悩みのところ悪いのだが…この城なら会えますよ?」
「へ?」

 自分の口から出た間抜けな声が部屋に悲しく響き渡った。

「人は悪魔との関わりを断つために聖水を魔力の元として大地に流すことで悪魔と絶縁した。が、魔術師はそういう訳にはいかない。悪魔と関わりを持てば大地の魔力に影響されることなく、悪魔の力を使うことが出来る。だから、魔術師は聖水の魔力に影響されない空間を作り、そこで新人魔術師たちは悪魔と関わりを持ち、1人前の魔術師となる。」

 ペラペラと紙に書いてある文字を目で追うように、オベロンは宙を見てスラスラと答えた。…口調がいつもと違う…怪しい…。

「…どっから引用した?」
「すみません、ここの北にある王立図書館の魔術基礎の原文を見つけて読みました」

 オベロンは北を指さしてボソボソ喋った。彼は千里眼的なものが使えるらしい…。

「まぁ、アレです。よく考えてみてください。この国は魔力と魔術に関心が高い。…ということは?」
「あ!なるほど!魔術の研究室!!」

 魔術の研究をするのに必要不可欠な悪魔の協力…。それを可能とするためには、聖水の力が及ばない空間でなければいけない…。

「そこなら、悪魔に会える!?」

 うんうん、と大きく頷くオベロン。

「あ、けど気をつけて!!主、魔力強いし悪魔の祝福があるから私みたい…な…」

 善は急げ…、という言葉が頭にふと湧き上がり、私は勢いよくドアを開けて廊下へ飛び出した。何かオベロンが言っていた気がしたが、私は早く悪魔さんにアドバイスを貰いたかった。

「あーぁ…行っちった…。まぁ、なんとかなるでしょう。私は今日はこれでドロンとさせてもらいましょう…ふわぁーぁ!眠い…」

 バキバキと肩を回してオベロンはシュルシュルと光の粒になって霧散した。

 オベロンは妖精の王である自分のように、あちらの王もユキに興味を持って寄って行ったりしないだろうかと心配に思ったが、何とかなるだろうと同時に思い、妖精の国へ帰った。

 

 
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