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第二章 悪魔と妖精
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「おはようございますユキ様。朝食の時間です」
綺麗な声が部屋に響いた。シャッとシルクのカーテンが開かれ暖かい朝の日が私の体に注いだ。重たい瞼を少し開け、私は起き上がった。
窓の側に綺麗なメイドがいた。注いでくる朝日を髪が吸収したかのように、キラキラ金の髪が輝いている。
よくよく見ると昨日のリーダーっぽいメイドさんだった。
「昨日は随分と遅くまで主様とお話をしていたようですね。主様、凄く嬉しそうでしたよ?」
クスクスと手を口に添えて彼女は笑った。
て、天使や………
「お、おはようございます」
いけないいけないと、私は頭を振ってボケた頭をただし、戸惑いながらも挨拶をした。
それを微笑ましく彼女は見つめていた。
「本日、今をもちまして…私、ハクシはユキ様の身の回りのお世話を担当させていただくこととなりました。困ったことがあればなんでも聞いてください」
そう言うとドレスの端と端をつまんでペコリとお辞儀をした。
「それでは、本日の予定を申し上げます」
なんだが、身の回りの世話と言っていたが…どうやらスケジュール管理までしていてくれているらしい…。これもあのナルキス国王の配慮なのか…?
「八時からナルキス国王とご一緒に朝食をとってもらいます。その後魔法の言葉や妖精の文字についての語学勉強がお昼頃まで…昼食を簡単に済ませ、実際に魔力を出し、コントロールできるよう…氷の魔法を出し続ける特訓をします。それが終わりましたら、夕食とお風呂で一日の疲れをとり、就寝前に与えられた魔法書を程々に読んでください」
ハクシが今日の予定とヤラをスラスラ教えてくれた…。なかなかハードな気がするが…こ、これも国王メニュー?
「…表向きはそうなっておりますが…ユキ様その後に主様と予定がございますよね…?」
「……」
しょうがない…これも私がこの世界で生き残るためにはすべて必要なことなんだと受け止めよう…
私はハーとため息をついた。
そんな私を横目にハクシさんはテキパキと私の服を用意してくれた。
「この服は国王からのプレゼントです」
その服は肌触りがとても良く、結構丈夫そうな服だった。真っ白なパーカーのようなデザインでそこそこ可愛い。
国王のことだ、この服もとても高価なものなのだろう。
「…昨夜、主様と契約なさったのですか?」
ギクリ、と私は飛び跳ねた。
「別に責めてはおりません。私達からみれば、それはとても喜ばしいことなのです」
え?と私はマジマジとハクシさんを見つめた。てっきり、妖精にとっての主様を私が奪っちゃってるから…妖精の人たちは怒ってるんだと思ってた…。
「名を授かるということは…あの方が妖精としての自分を解放するということ…それはとても喜ばしいことなのです。妖精の国に秩序をもたらし、そして、妖精の国の結界をさらに強めることが出来るのです」
…メリットしかないということですか…。
私はあの後、押しに押し負け…キリオさんと契約を結んでしまった。私はそういう主従関係みたいなものが嫌いなのだが、キリオさんは形だけだからという…が、シルクさんの反応から、形だけで済みそうになさそうだ…。
「誠に恐縮なのですが…ユキ様一つ質問宜しいでしょうか」
「…なんだい?」
私は先が思いやられたため頭を抱えた。その状態のままのシルクさんの質問を受けた。
「主様の妖精としての名前…どのような名前にしたのですか…?」
「えっと…オベロンです…」
オベロンまたはオーベロンで迷ったんだけど…響き的にオベロンの方が良かったから…ほんとすみません…。
ちなみにオベロンとは中世…ルネサンス期かな?そんくらいの時の文学や伝説などでの妖精の王様の名称である。キリオさんも妖精の王なのだから、それに習ってオベロンという名前にした…
「ゴメンなさいホントにこういうのダメナンデス」
私は恥ずかしさのあまり土下座をして誤った。
妖精の王だからオベロンって…単純すぎて本当にゴメンなさい!!
「オベロン…!!」
あ、あ、あ、あー!ゴメンなさいゴメンなさい!!
怒りのあまりなのかプルプルと震えて俯くハクシさん…。私はアタフタと無様に慌てて土下座から飛び上がった。
ハクシさんが慌てる私の両手をガシリと掴んだ。
怒鳴られる!?と私は目を瞑って備えた…が、
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!素晴らしき名を主様に下さり、妖精界を代償しまして感謝します。本当にありがとうございます!!」
思った反応が来なく、私は拍子抜けした。
あー…うん、良かった良かった。
私は体制を整え、ハクシさんの感謝を受け止め、着替えた。
今日から私の魔法の特訓が始まる。妖精達との中も良好…。ここからが正念場だ!!
私は勢いよく扉を開け、ハクシさんを連れナルキス国王のもとへ向かった。
綺麗な声が部屋に響いた。シャッとシルクのカーテンが開かれ暖かい朝の日が私の体に注いだ。重たい瞼を少し開け、私は起き上がった。
窓の側に綺麗なメイドがいた。注いでくる朝日を髪が吸収したかのように、キラキラ金の髪が輝いている。
よくよく見ると昨日のリーダーっぽいメイドさんだった。
「昨日は随分と遅くまで主様とお話をしていたようですね。主様、凄く嬉しそうでしたよ?」
クスクスと手を口に添えて彼女は笑った。
て、天使や………
「お、おはようございます」
いけないいけないと、私は頭を振ってボケた頭をただし、戸惑いながらも挨拶をした。
それを微笑ましく彼女は見つめていた。
「本日、今をもちまして…私、ハクシはユキ様の身の回りのお世話を担当させていただくこととなりました。困ったことがあればなんでも聞いてください」
そう言うとドレスの端と端をつまんでペコリとお辞儀をした。
「それでは、本日の予定を申し上げます」
なんだが、身の回りの世話と言っていたが…どうやらスケジュール管理までしていてくれているらしい…。これもあのナルキス国王の配慮なのか…?
「八時からナルキス国王とご一緒に朝食をとってもらいます。その後魔法の言葉や妖精の文字についての語学勉強がお昼頃まで…昼食を簡単に済ませ、実際に魔力を出し、コントロールできるよう…氷の魔法を出し続ける特訓をします。それが終わりましたら、夕食とお風呂で一日の疲れをとり、就寝前に与えられた魔法書を程々に読んでください」
ハクシが今日の予定とヤラをスラスラ教えてくれた…。なかなかハードな気がするが…こ、これも国王メニュー?
「…表向きはそうなっておりますが…ユキ様その後に主様と予定がございますよね…?」
「……」
しょうがない…これも私がこの世界で生き残るためにはすべて必要なことなんだと受け止めよう…
私はハーとため息をついた。
そんな私を横目にハクシさんはテキパキと私の服を用意してくれた。
「この服は国王からのプレゼントです」
その服は肌触りがとても良く、結構丈夫そうな服だった。真っ白なパーカーのようなデザインでそこそこ可愛い。
国王のことだ、この服もとても高価なものなのだろう。
「…昨夜、主様と契約なさったのですか?」
ギクリ、と私は飛び跳ねた。
「別に責めてはおりません。私達からみれば、それはとても喜ばしいことなのです」
え?と私はマジマジとハクシさんを見つめた。てっきり、妖精にとっての主様を私が奪っちゃってるから…妖精の人たちは怒ってるんだと思ってた…。
「名を授かるということは…あの方が妖精としての自分を解放するということ…それはとても喜ばしいことなのです。妖精の国に秩序をもたらし、そして、妖精の国の結界をさらに強めることが出来るのです」
…メリットしかないということですか…。
私はあの後、押しに押し負け…キリオさんと契約を結んでしまった。私はそういう主従関係みたいなものが嫌いなのだが、キリオさんは形だけだからという…が、シルクさんの反応から、形だけで済みそうになさそうだ…。
「誠に恐縮なのですが…ユキ様一つ質問宜しいでしょうか」
「…なんだい?」
私は先が思いやられたため頭を抱えた。その状態のままのシルクさんの質問を受けた。
「主様の妖精としての名前…どのような名前にしたのですか…?」
「えっと…オベロンです…」
オベロンまたはオーベロンで迷ったんだけど…響き的にオベロンの方が良かったから…ほんとすみません…。
ちなみにオベロンとは中世…ルネサンス期かな?そんくらいの時の文学や伝説などでの妖精の王様の名称である。キリオさんも妖精の王なのだから、それに習ってオベロンという名前にした…
「ゴメンなさいホントにこういうのダメナンデス」
私は恥ずかしさのあまり土下座をして誤った。
妖精の王だからオベロンって…単純すぎて本当にゴメンなさい!!
「オベロン…!!」
あ、あ、あ、あー!ゴメンなさいゴメンなさい!!
怒りのあまりなのかプルプルと震えて俯くハクシさん…。私はアタフタと無様に慌てて土下座から飛び上がった。
ハクシさんが慌てる私の両手をガシリと掴んだ。
怒鳴られる!?と私は目を瞑って備えた…が、
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!素晴らしき名を主様に下さり、妖精界を代償しまして感謝します。本当にありがとうございます!!」
思った反応が来なく、私は拍子抜けした。
あー…うん、良かった良かった。
私は体制を整え、ハクシさんの感謝を受け止め、着替えた。
今日から私の魔法の特訓が始まる。妖精達との中も良好…。ここからが正念場だ!!
私は勢いよく扉を開け、ハクシさんを連れナルキス国王のもとへ向かった。
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