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12歳《中等部》

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よしっ。緊急の書類はおわった。一先ず領民たちは冬は越せるかな。

「ネヴィル様達はどう処分されますか?」

覚めた紅茶を入れ替えてくれるアルフレート。ほんと美味しい。テオ様と過ごす1週間は楽しかったけどやっぱりアルフレートのお茶がないとやってらんないね。


「一旦、ラージャの判断の仕方を見たい。錬金術具渡してたよね。投影して。」

あまり覗き見はテオ様によく思われない。だからテオ様には内緒。

ざっと見た感じネヴィルは外に出てない。ラージャも外に出てないネヴィルを傷つけてない。もちろん外にいる兄と姉も。無理やり引き戻してもない。
契約は違えてないわけだ。

「ふぅん。僕の真似事したわけだ。いいんじゃない。」

頭使ったなぁ。

「誘拐犯を逃がしましたが。」

アルフレートは納得してなさそうだけど。

「そこだよね。いくらネヴィルを引き止めたからって誘拐犯を逃がしたのはダメな事だ。僕と契約してないならなんでもやるってことだもん。ラージャにはお仕置が必要だけど考え直したネヴィルはいいかな。」


「クラウス様の判断に異を唱えることをお許しください。ネヴィル様に甘すぎるかと。ネヴィル様はテオ様の時と違い自ら脱走を考えております。そのようなことを考えるような思考は排除するべきかと愚考致します。」

まぁ。ねぇ。
ネヴィルはテオ様とは違う。貴族として生まれて貴族として誇りを持ってるテオ様。逆にあの子は孤児院で過ごして貴族を嫌ってる節がある。自分もその血筋なのも嫌だろうし何より貴族筆頭のシルヴェスターより自由な冒険者の方に憧れてる。

根っこが違えば考えることも違うさ。
僕だってネヴィルの好きなようにさせてあげたいけど逃がすのはダメだ。それこそあの子を殺さなきゃいけなくなる。

ただでさえフラグ満載なのに…。ネヴィルに言っても聞かないだろうしなぁ。あの頑固なところは絶対にシルヴェスターの遺伝だよ。


「大丈夫だよ。もうそんな事しないようにラージャで釘を刺す。」

ただ、ラージャもネヴィルも優しすぎるからね。そこなら突けるでしょ。ラージャは何をしても僕から逃げられないし。それに依存したネヴィルも逃げられないって構造に持ち込みたいね。


「あの子たち今仲良くしてるみたいじゃない。ネヴィルは優しすぎるね。孤児院での経験からかな?きっとラージャを置いて逃げれない。ならその感情をもっと増やせばいい。唯一無二にしちゃおう。」

「できますか?」

「できるよ。僕ならね。」

僕にはテオ様を幸せにするって使命がある。推しのためならなんだって賭けれるもんね。


「それにラージャの飼い主は僕だ。ネヴィルじゃない。」

ラージャはネヴィルよりも奴隷売買されてる仲間を優先するだろう。

「アル、この話はもういいよ。テオが暇なら呼んで。お茶会したい。」

テオ様見てたらなんだってできるような気になってくる。今は皇宮に手合わせにでも行ってるのかな。

「クラウス様、その前にもう1つお伝えしたいことが。」

「なに?」

「クラウス様が不在の時に第1皇子殿下がネヴィル様とお茶をして帰られました。」

「…それ1番に伝えることじゃない?」

なんで?
ルディは確かにネヴィルに興味を持ってた。持ってたけど…強行するほど興味なかったはず。
どこかで会った?

分かんない。

ネヴィルを殺す可能性がある人は僕とテオ様とルディ、優秀な魔法師を排出してるツェペシュ侯爵家の嫡男、聖皇国の第3皇子のシモンとミュラー伯爵家の4男だ。
ネヴィルに危険があるから僕とテオ様以外に合わせる気はなかったのに。なんでルディがあってるの?興味持ったの?

「第1皇子殿下の機嫌を損ねた様子はありませんでした。それよりも脱走の件の方が問題だと判断致しました。」

「何の話してた?」

「ラージャとネヴィル様しかご存知ありません。」

ラージャが同席したのか。

「ふぅん。分かった。いいよ。テオ様とお茶会したい。準備してて。」


面倒なことになった。ルディはムカついたからって殺すタイプじゃない。やるとしたら邪魔だから。
ネヴィルになにか邪魔になる要素は今の所ない。

ルディに合いに行かないと。

他の奴らに知らないところで合ってるとかないよね?
気をつけてたとはいえ社交界にも引っ張り出したから可能性はあるんだよね。目をつけられてたら怖いなぁ。






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