上 下
170 / 212
12歳《中等部》

66

しおりを挟む
体を温め始めた剣士らしき人。
相手を勤めてるのはシーフ系の職業の人かな。

魔法士の子は黙々とケーキを食べてる。余裕だねぇ。まぁ魔法打つだけなら詠唱を間違えなければ成功するし間違ってはないけどね。

「テオ、あの人動きどう?」

「実践向きですね。俺も見習いたいです。」

テオ様は平民だ孤児だって嫌うけどこういう素直に認めるところもあるんだよね。ほんと努力家なんだよ。こういうところほんとに尊敬するし可愛いと思う。

「平民ですが。」

こういう余計なことも言うけどそこも愛嬌だよね。
いつか冒険者の僕と出会ったらテオ様は僕に対しても「平民がっ!」って言うのかな。言うんだろうなぁ。
ふふ。それはそれで面白い。


「貴族ってだけでふんぞり返っちゃダメだよ。貴族には貴族の義務がある。それを成してこそ貴族だからね。」

「兄上と殿下が虐めてる貴族を俺は貴族だとは思っていません。ちゃんと成すべきことは成します。兄上の弟ですから絶対に不名誉になることはしません。」

「良い子。今の貴族は自分の利益ばかり追い求める子が多くて困るよ。みた?あの伯爵領。疫病かなんなのか知らないけど前の当主になって領地がボロボロだよ。いい農耕地帯だったのに。」

「あぁ。早い代替わりをしましたね。」

僕とルディが手を貸したからね。あの農地は今いくら酷くても手放せない。それだけの魅力がある。
前の当主は父様と違う意味で酷かった。父様は本気で領民のために領地経営してボロボロにした。前伯爵は自分の豪遊のために領地をボロボロにした。
どっちもどっちだけど自覚してる父様の方がマシかな。


「あそこの息子、僕らが手を出したら直ぐに手をとったよ。話を聞けば現実的な経営内容だったし時間はかかるけど良い領主になることを願うよ。何かあったらテオも力を貸してあげてね。」

「はい。兄上ほどではなくとも若い領主ですが大丈夫でしょうか。」

大丈夫だよ。
やる気はあるし。僕の手の者を秘書として送り込んだから。向こうも知ってるしあの子がなれたら貸した子は返してもらうつもりだからね。僕に頭を下げるくらい酷い領地だったからなぁ。


「今よりは確実にマシになるよ。土とかは僕が手を貸すし早く復興できるといいね。」

「貴族の全てが兄上のように考えられるようになれば良いのですが…。」

僕もお金好きだよ。領民が働いたらその分僕たちのお金になるし、そのお金を少し還元したら益々領民は働いてくれる。だからそんなに僕はいい人ではないかな。


「僕みたいなのがたくさんいたら国は成り立たないだろうね。」

誰も王になりたがらないだろうし。
各僕1人ずつテオ様を配備しなきゃ働かないだろうし。
研究して作ったものを使いたくなって戦争起こすなんて子もいるかもしれない。
絶対いいことないよ。

僕はテオ様がいるから平和を願って国のために働いてるだけだもん。本当はお金だけを稼いでテオ様に貢ぎたい。

最後の紅茶を飲んで立ち上がる。

そろそろ1時間だ。


「君の魔法を見せてくれるかな。」

「はい。もし良ければ公爵様の魔法も見せて頂いてもよろしいでしょうか。」

般若の顔して立ち上がりそうなテオ様を押えて僕はほほ笑みかける。
このくらい度胸ある方が冒険者としては大成すると思うよ。それだけ自信があるんだろうし。

「構わないよ。君が僕のお眼鏡に叶えばね。」


しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

氷の華を溶かしたら

こむぎダック
BL
ラリス王国。 男女問わず、子供を産む事ができる世界。 前世の記憶を残したまま、転生を繰り返して来たキャニス。何度生まれ変わっても、誰からも愛されず、裏切られることに疲れ切ってしまったキャニスは、今世では、誰も愛さず何も期待しないと心に決め、笑わない氷華の貴公子と言われる様になった。 ラリス王国の第一王子ナリウスの婚約者として、王子妃教育を受けて居たが、手癖の悪い第一王子から、冷たい態度を取られ続け、とうとう婚約破棄に。 そして、密かにキャニスに、想いを寄せて居た第二王子カリストが、キャニスへの贖罪と初恋を実らせる為に奔走し始める。 その頃、母国の騒ぎから逃れ、隣国に滞在していたキャニスは、隣国の王子シェルビーからの熱烈な求愛を受けることに。 初恋を拗らせたカリストとシェルビー。 キャニスの氷った心を溶かす事ができるのは、どちらか?

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…

東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で…… だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?! ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に? 攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️ 第12回BL小説大賞に参加中! よろしくお願いします🙇‍♀️

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

処理中です...