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12歳《中等部》
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しおりを挟む「あ"ぁ"ー!疲れたぁ!」
うーんと背伸びをしたらバギボキ音が鳴る。はぁ。これから西に魔獣退治に行くからできるだけ終わらせたいのに終わんない。しかも終わっても次が来る。
テオ様がいなきゃ全部投げ打って逃げてたよ。
その愛しのテオ様は僕に用があるのかチラチラとみてくる。可愛いなぁ。もう!
「お疲れ様です。兄上、休憩が終わったら俺の仕事も確認してくれますか?」
「いいよ。休憩しながら見ようね。」
ほんと癒し。最近は仕事まで手伝ってくれるんだよ。まだ慣れてないから色々不備はあるけど、テオ様がいるだけで仕事効率上がる。
「こことここ直そうか。理由わかる?」
「…分かりません。」
「渡した資料の…ありがとう、アル。これに秋にかけて盗賊狩りに行くってあるでしょ。少し取れる穀物は下がるかもね。だからこの村の取れ高は少し下げといて。あと、逆にここの街は今年穀物じゃなくて果物の方が取れてるみたい。降水量が少なかったからかな。となると、冬に向けて穀物の支援をどこからしてもわらないといけない。その準備をしないといけないね。」
「果物は売れるのでその金を支援に回します。」
ほんと物覚えがいい。基本的に魔法騎士部に入って剣術の訓練とか、最近じゃ魔物狩りもしてるらしい。今度の大会で僕に勝つためなんだって。それの総仕上げ。そんな感じで忙しいのに僕の仕事も手伝ってくれる。これ以上いい子いる?いないよね?異論は認めない。テオ様が世界一だから。
「うん。いいと思うよ。あとこっちの村に人手を貸してあげて。穀物は減らせないから対策は打たないとね。」
「ありがとうございます。さすが兄上です。」
はぁ。本当に癒しだわ。可愛い。かっこいい。僕の推し。
「テラスでお茶でもって言いたいけど…部活があるんだよね?」
「はい。申し訳ありません。」
「頑張ってるテオを誇りに思うよ。行っておいで。なにができることがあるなら言ってね。手伝うから。」
「はい。大会、絶対に負けません。」
「僕も負ける気はないよ。」
そうだね。大会のために頑張ってるんだもんね。
だけど僕も負ける気はない。なにが辛くて弟を死地に向かわすの?原作で生きてても今回もい切れる確証はない。
原作でだって手練の騎士を失った。人的損失だ。ってクラウスは嘆いてた。その1人にテオ様が加わるかもしれない。
絶対に無理。僕も死んじゃう。
だから絶対にテオ様には近ずけさせない。このエピソードは僕だけで終わらせるんだ。
「クラウス様、テオ様もご成長されましたね。」
「真面目な子だと思ってたけど。ふふ。嬉しいものだね。」
「テオ様のした方法は法には引っ掛かりませんからね。掻い潜り方も真面目で素晴らしい。」
「大会の主催者に直談判は正攻法だよ。賄賂も渡してないみたいだし。貴族として裏がなさすぎるけど弱みにもならない方法。愚直だけど素晴らしい手腕だね。」
アルに入れてもらったお茶を飲みきってまた背を伸ばす。
よし!テオ様を見習って僕も頑張らなきゃ。推しに不甲斐ないところは見せらんない。
「さてと。僕も仕事終わらせて剣でも握ろうかな。」
もう1回背伸びをしてから執務室の椅子に戻る。行動に移したら嫌でもやる気になるからね。
今年は穀物のできが悪い。
補えるっちゃ補えるけどルディの支援は減るかも。それか少しだけ上手くいってる芋を使えばルディに支援できるけど…。自分の欲のために領民に我慢させるのもなぁ。
1度北の領主代理に相談して受け入れられるならルディに流そうか。
芋かぁ。栄養あるし嫌いじゃないんだけどやっぱりパンとか慣れ親しんだものの方がウケがいいんだよね。
特に北は寒いせいで穀物が少ないから受け入れるしかない。今までは魔獣食べてたらしいけど栄養偏るし寒さに強い野菜とかないかな。村単位ならありそうだけど…街まで行き渡ってない。
むしろ昔からある村の方がそういう栄養を取れてるんだよ。街とかは貴族が住んでそこに悪人とか貴族のはぐれ者とかが集まっただけだから北に関する知識がまだまだ少ない。
だけど魔獣だらけの世界じゃそういう外れ者は重宝されるし、生き残る。だから北の領民はたくさんの魔力を持つ子達や魔獣の魔力に耐性がある子が多いのかもね。あと腕力も異常に北は強い。
歴史ってこう見たらほんと大事。
本気で北の領民の体質を研究したい。死んだら解剖くらいはしたい。
「領主の城を北に移してそこに住みたい…。」
「他の領地を捨てるならできますね。」
それはダメなんだよなぁ。そうなったらなったで北の食料問題が悪化して終わるし。
はぁ。自由に生きたい。
一生テオ様の後ろ追っかけてお金払って生きてきたい。そのためには今の地位を捨てられないって言うジレンマ。
「そもそも僕貴族なんて向いてないんだよなぁ。」
アルは苦笑いして決済のいる紙を増やしてきた。パッと見た感じ屋敷の出費費用らしい。はぁほんと恨む。
面倒だよ。ほんと。
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