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12歳《中等部》
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しおりを挟むいつものパーティと変わらず微笑みを張りつけて大人たちに混ざる。
子供は子供の場所があるけどこういうときこそ情報収集だよね。はぁ…無邪気にジュース飲んで大人たちを見下しながらテオ様といたい。
「お久しぶりです。伯爵様。」
ニコニコとこの国の宰相に愛想笑い。この人ほんとに優秀だからね。媚び売っといて損はない。
それに絹の素晴らしさを理解していち早く仕入れてくれたお得意様でもあるし。
僕らが入場最後だったからね。挨拶回りと伯爵と少し世間話をしたら今度は皇族の入場。
ここからが本番だ。頑張れ僕!
入場の音頭と共に頭を下げて声がかかるのを待つ。
あんなだけど皇族は皇族だからね。権力闘争の真っ只中。弱みは見せられない。
弱みになる人達は多いけど…。
本気でテオ様くらいしか仲間がいない。なにもしないならまだいい。でもあの3人は問題しか起こさない。義母様はまだ浪費癖があって外に出ないからマシだけど父様は本気で何するかわかんない。だから怖すぎる。新しい弟は未知すぎるし、付け焼き刃のマナーなんてすぐにボロが出るに決まってる。
気が重いよ。
「面をあげてくれ。今回は━━━━━━━
また長々と…はぁ。貴族って長く話すことが大事だと言われるだけあって関係ないことまでペラペラ。長いなぁ。
「ルディ誕生日おめでとう」の一言で終わるのに…。第1皇子ともなれば将来この国の王となるかもしれない。そうもいかないのかも。
皇帝陛下の話が終われば次はルディの番。「こんな素晴らしいパーティを開いてくれてありがとう。これから先の国を背負う立場として嬉しいよ。楽しんで。」ってことらしい。これのめっちゃ長いバージョン。
話の終わりに合わせてダンスの音楽がなり始めるからその前に僕が割り込む。大丈夫。ルディも知ってるから上手く割り込めるはず。
パチッとルディと目が合った。終わりかな。よし。やるか。
「では、パーティを楽しんでくれ。」
よし。
「殿下。よろしいでしょうか。」
「シルヴェスター公子、なんだ?」
なんかルディが畏まってたら面白いよね。
視線が集まる中フロアの中央に出る。
「この場を借りてルディ第1皇子殿下に忠誠を捧げたいと思っております。少しばかりお時間を頂けませんでしょうか。」
「他の日に時間をとれば良いのではなくて?今日はこの子の大事な誕生祭なのですから。」
扇で口元を隠して出てきた皇后陛下。
めっちゃ当たり前。僕も他人ならそう思う。でも
「いえ、皇后陛下。私は陛下との約束でもうすぐシルヴェスター公爵になります。ですので、ただのクラウスとして忠誠をを捧げるにはこの場しかございません。どうかお許しいただませんでしょうか。」
しんっと静まり返るフロア。
まだ公爵は健在で僕は子ども。不満やもしかしてら自分も子どもに取って代わられるのではという不安があるのも分かる。
でも公爵がいない間、領地も屋敷も管理してたのは僕で。父様や義母様の代わりに社交界や交渉に顔を出していたのも僕だ。文句は言わせない。
「…良いと思うぞ、シルヴェスターはいつも中立派だったからな。どの皇子が皇帝になってもシルヴェスターは皇室のものだ。ただ、クラウスが個人として第1皇子を支援すると言うなら止められん。」
「陛下、ありがとうございます。」
シルヴェスターは皇室のもの。腹立つ言い方だけど間違ってないし。文句は言わない。
剣を横にしてルディの前に跪きながら掲げる。
「クラウスからルディ・フォン・モーント・ウォータント殿下に永遠の服従と忠誠を捧げます。」
僕の手から剣の重みがなくなった。その代わり首筋に冷たい感触。
分かってるとはいえ首元に刃を向けられると怖いな。
「受け取ろう。」
どーも。
あとは剣を返してくれたらいいんだけど…何故か耳元に人肌を感じた。
「馬車馬の如く働けよ。」
なんか近ずいてきた雰囲気感じたらそんなこと言ってきた。
絶対ニヤニヤしてるだろうな。今度手合せあったらギタギタにしてやる。
「馬車馬みたいに働かせてあげるよ。」
ふんって鼻で笑って離れてったけど。ムカつく。この場で僕がやり返せれないからってさ。
やっと剣を返されたから仕舞って立ち上がる。
ほーら。ルディニヤニヤ我慢してる顔してる。ムカつくわー。
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