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12歳《中等部》

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やっと…やっと僕らの学園生活が始まる。
ゲームが始まるきっかけになる年になった。
この4年間めちゃくちゃ頑張った。母様が亡くなった歳なんて僕らが学校に通えるか怪しいくらいのお金しかなかったのに。最悪失敗したらテオ様だけを学校に通わすはずだった。
これもゲームの通りに流れるのかな。僕にはクラウスほどの才能はない。なのにやることなすこと全部成功した。

あ、でも義母様に任せた事業は失敗した。秘書が有用だったから大した赤字は出なくて僕も手伝ったら黒字に持ち直した。
テオ様と義母様に渡した事業は前世でも流行って定着したから失敗することなんてないと思ってたんだけど…。まさか赤字を出すなんてね。この4年で1番驚いたかもしれない。


それでだ。これから3年間は今までよりも気を引き締めないといけない。ゲームが始まるきっかけになることとやゲームでのイベントの出来事が盛りだくさんになる。

まずは新しい弟を父様が連れてくるはずだ。
ちょうどその頃に僕と父様の当主交代。
僕が当主になった頃に僕の力量を試すように西の魔獣の活発化。それに伴って西が大きな被害を受ける。その被害で農作物の収穫量が減り北に支援する農作物が減る。それだけじゃない、復興のために北に渡す薪も減った。
お陰でその年の北の領地は多数の餓死と凍死者を出す。それだけでも頭が痛いのに、最後の試練が新しい僕の弟が誰かに殺される。
殺された次の年にら主人公が入学してきてゲームが始まる。


ゲームではそういうシナリオ。
これが3年のうちに起こるんだよ。大変どころの話じゃない。
金儲けに走ったあとは頭と体力を使うものばかり。色々準備はしてきたから北の寒さ対策はどうにかなると思う。あとはどれだけ西の領地の被害を防げるかにかかってる。北の領地の食料はどう頑張っても大半を他の領地からの支援からでしか賄えない。あんな吹雪の中で育てられるものなんて限られてるし。


そんな試練が待ってる僕のひと時の休息。そんなのテオ様に決まってる。僕の天使。僕の癒し。テオ様に貢ぐためにずっと頑張ってきたんだ。
今までのテオ様ももちろん愛らしくて可愛くてちょっとだけ傲慢な天使だった。けど、これからはかっこよくていっつも人を見下してるテオ様を眺められる。それはそれで色んな供給があるよね。どうせ僕にはゆるふわテオ様だから平民を見下すテオ様は外から眺めるんだ。

見下されたい欲が無いわけじゃないけどテオ様のあれは本気だからやられたら泣くか自殺するね。

パリッとノリが聞いたジャケットに腕を通してテオ様が待ってくれてるであろう玄関に向かう。制服は同じだけど僕とテオ様じゃ印象が違う。
なによりテオ様の方がかっこいいに決まってるからね。先に行って急に現れたりしたら僕が倒れるかもしれない。だからあとから行くんだよ。そうすれば心の準備くらいはできるから。

階段の上から見てもテオ様の後ろ姿はかっこいい。
ゲームとは違う色合いだけどそれはそれであり。まだ幼いのテオ様似にあってる。

にやけ面を隠す微笑みを張りつけてテオ様に声をかけた。

「テオ、またせたね。」

「おはようございます。兄上。制服、お似合いです。」

グッとにやける顔を押し殺して黙る。やばい。
テオ様を褒めらんない。似合ってるよ。可愛いよ。かっこいいよ。そう言いたいけど今表情を弛めたらにやける自信がある。

ゲームが始めるのは嫌だけどテオ様の成長を見られるのはこれ以上ない喜びだよ。ほんと好き。僕の推しがかっこいい。
一体僕をどうしたいんだろう。


「テオは天使の生まれ代わりだったのかなも似合ってるよ。」

あ、口が滑った。








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