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8歳

99 番外編《皇宮でのお茶会 2》

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ほぼほぼ意味の無い雑談を混じえて交わしたくもないであろう笑顔を貼り付けて裏では殺伐としてたお茶会。
表はめちゃくちゃ朗らかなんだよ。

だって両親に認められたいルディは予知魔法を使えることで褒められてたし。皇后陛下と第2皇子は気が気じゃないだろうけど。

僕も魔法大会の優勝を祝われた。第2皇子は睨んでたけど。

テオ様は皇后陛下に嫌味を言われてたのを僕が流した。こうしてれば嫌でも僕がテオ様を大事にしてるってわかるでしょ。
第2皇子からテオ様へのの嫌味はルディが流してくれたし。

え?どんな嫌味かって?
普通に男爵家の生まれでよぬお茶会に顔出せたなって遠回しに言われたこととか。これは僕がもう公子だからグチグチ言うなって遠回しに言い返した。
第2皇子はテオ様にって言うかテオ様を通してルディに嫌味言ってたけど。

ルディが勝手に嫉妬してるから突っかかってくんだろうけど第2皇子がなんでルディに突っかかるのか分からない。
あんまり会えない親の前なんだから仲良くすればいいのに。

「そういえば、シルヴェスターはまた中立を貫くのかしら?」

まぁうん。わかってたよ。皇后陛下がそれを気にしてること。やっぱり伯爵家の自分の家紋だけじゃ心もとないんだろう。でもここで言うことじゃなくない?陛下はどちらの味方もしないと宣言してる。ルディは僕が味方しなきゃ誰も味方のいない状態。我が子でもあるルディの前で言うことではないと思う。

本当に性格悪いな。

「公爵になった時に第1皇子殿下を支持すると公表するつもりです。」

「…それはルディと仲がいいからかしら?それともあの子の言いつけ?」

「僕個人の意見です。僕らは気が合いますから。」

「シルヴェスター公子あなたはどうするつもり?」

「俺、ですか?」

ビクッと手に持ってたクッキーを落としかけたテオ様。こういうのはテオ様は気を使って向いてないかも。手助けした方がいいのかな。少し無礼だけど…

「皇后様、テオには「クラウス。私は彼の話を聞きたいわ。」」

まぁそうなるよね。いくら親のように思ってと言っても味方じゃないならその限りじゃない。

テオ様の太ももに手を置いて魔力を流してあげる。
好きにしていいよ。いつでも僕が守るからって。安心して。って意味で。

「俺は…気持ちとかよりも機転が利く頭がいい強い王がいいと思います。まだお2人がどのようになられるのかは分かりません。権力を手に入れて代わる方もおられます。まだ決める段階では無いと思います。」

「そうね。そういう方は理想ね。でも夢を語るだけじゃかなわないわよ。」

テオ様にわざわざ話しかけて答えがそれ?難癖つけないでよ。言っとくけど僕ら大して皇族を尊敬してない。
生まれた時からの距離が近ずきるし。何よりこの人達はどう足掻いても根っこが人間すぎる。皇后陛下は僕亡き母に今でも嫉妬してるし。第2皇子もルディに対抗意識を燃やしてそれが表に出てる。
家でも外でも完璧に仮面を被ってた母様の方が尊敬してるよ。
ルディはプライド高いからちょっと尊敬してるけど。ちょっとね。ほんのちょっとだけ。

だから母様にテオ様のこと何か言われても少しムカつくくらいだけどこの人たちにテオ様のことを夢見る少年みたいに言われたくない。


「いいんじゃないかな。僕は賛成だよ、テオ。」

イラつくけど笑顔の裏に隠して皇后陛下に喧嘩を売る。

「僕の夢は全ての属性の魔法を使いこなすことだもん。」

「それは…テオより夢のまた夢になるな。」

第2皇子は僕の言ってることを不可能だと思ってるらしい。その時点でダメだよね。魔法ってまだまだわかんないこと沢山あるんだよ。化学だって21世紀でも分かんないこと多いんだから同じように発展してる魔法もまだまだわかんない事だらけだよ。

「えぇ。だから今色々と試作しておりまして。義母がお風呂が欲しいと言うので魔法の固定化から試しているんですよ。」

「魔法の固定化か。魔力を流し続けるってことであってるか?」

ルディは僕ができるって信じてるみたい。頭ごなしに無理だっていう人よりだいぶ好感が持てる。

「それを無くしたいんだよ。1回の魔法。もしくは定期的な少量の魔力補給で補いたいんだよね。」

「難しいことしてんのな。」

「これが出来れば平民の生活も楽になる。それに秘密基地ってちょっと夢があるじゃない。」

「それいいな。俺も手伝ってやるよ。」

だよね。僕もちょっと夢なんだ。前世じゃツリーハウスとかあったらしいけど僕の体じゃできなかったし、ガラクタ集めて作るってこともできなかった。病院のベットの下に潜り込んですごした次の日には高熱で死ぬかと思ったもん。

「そのうちね。まだなにも出来てないんだよ。構想だけって感じ。」

ふぅんと言いながらも使用人に紙を要求してる。興味はあるのかな。ルディの思いつきには信用あるから嬉しい。


「まずは空間魔法の固定化したいの。僕の想像通りの空間をつくって湯船とかも僕の想像通りにしたい。」

「そのお湯はどうすんだ?」

「魔法かな。生活魔法のクリーンも固定化してお湯を使うの。上手くいけば北の領地でも使えるからね。」

「凍傷の予防か。」

いわゆる床暖房。いいと思うんだよね。水は魔法で腐らない汚れない。しかも下から温まるから末端の凍傷予防にもなる。

「うん。大きな問題だから。」

だけど僕らシルヴェスターの金力がなかったらもっと悲惨なことになってたと言うのは想像がつく。代々あの領地にはお金かけてたからね。これからはお金を生み出し方向に進むといいけれど。

「俺の先祖もよくあんな土地を報酬として渡したよな。」

「北はどうにもならないことが多いからね。北も渡された時にはほとんど鉱山も廃坑寸前だったし。シルヴェスターを信用してくれたんでしょ。」

厄介祓いのゴミ箱って意味で。

「どうにもなんねぇよな。あその領主を勤めてた貴族だって貴族の身分ごと売りやがったからな。」

「でもやっと使い道ができた。先祖達に感謝だね。」

「へぇ。良かったじゃん。」

ルディをじっと見つめるけど「これうめぇ!」って言いながらチョコレートケーキを口に突っ込んでる。
裏表はあるっちゃあるんだけど全部態度に出るような子だからなぁ。皇帝には向いてなさそう。でも人を率いる魅力はあるからそこは向いてる。
そんなところがテオ様に似てて嫌いになれないんだよね。

今だって本当に良かったって思ってるような子だし。貴族社会で生きてけなさそう。

「まぁね。ただ自然の脅威が酷すぎる。冬は皆命懸けだし魔獣は強いし。」

「北に行くほど強いやつ多いよな。」

だからお金があった時は救済も兼ねて来たからよく兵士を募ってた。あと数年は西メインでとるつもりだけど。

「ほんとにね。結界を張ってあげたいけどこれも固定化させたい。」

「魔法具は?」

「お金がかかりすぎる。領民のためにコスト低くして大量に配りたいの。小さい村も沢山あるからね。」

「あー。なるほどな。村単位か。そりゃ難しいな。」

馬鹿で頭が足りてない貴族は多いけどルディはこうやって僕の言いたいことをわかってくれる。
第2皇子も分かるだろうけど思考が貴族より過ぎで食い違いが起こりそうなんだよね。
頭が足りてない貴族は大抵「一つにまとめて結界を張ればいい。」とかぬかす。

することでメリットもあるよ。利益が上がりやすいとか色々ね。でも代わりに行き場をなくした人が集まってスラム化することもあるし、もし災害が怒ってその街が壊れたらどれだけの被害が出るか分からない。その町が終わることでほかの町が終わることがあれば大問題だからね。

「平民は魔力も少ないし自給自足できるレベルの魔力消費でいいものがいい。」

「要求が多いんだよ。なに使うとか決まってんの?」

「魔法陣かな。」

「予知の魔法使う時に使ったやつ?」

「うん。基本的に魔法はその魔法陣を魔力で構築して魔法として発動してる。それを彫って属性関係なく魔力を流すことで発動するようにすればできるはず…なんだけどなぁ。」

「なるほどな。そういや、俺あれから魔法陣使わなくてもできるようになったけど使えねぇか?」

これだから天才は困るんだよ。皆が皆感覚で生きてると思わないで欲しい。

「天才と凡人を一緒にしないでよ。そもそも1回発動したらあとは感覚だけで魔法が発動できるわけないでしょ。ルディだからできるんだよ。」

「簡単だけどな。同じ魔力の流れで流したらできるだろ。剣術と一緒だ。」

「言ったら悪いけど天才じゃ参考にならないね。」

「逆にお前のしてること分かんねぇんだけど。魔法撃つ時に魔法陣なんて考えてんのか?」

「うん。魔力で構築してく。もうどの文字がどの魔法に関してるのか分かるよ。」

効率がいいし新しく魔法作る時もそっちの方が発動しやすいの。

「そっちの方が意味わかんねぇ。え、テオもそんなことしてんの?」

「俺はルディ様のやり方ですね。魔法陣を意識したことはあまりありませんでした。」

「テオも天才型なの?まぁ僕の弟だし仕方ないけど…困るなぁ。」

テオ様に魔法教えて「兄上かっこいい♡」って言って貰えないかもしれない。

「クラウスの方が珍しいんじゃないのかしら。」

「私も魔法で魔法陣なんてもの考えたことはないな。」

もしかして僕が少数派?

「ムダに魔力使うじゃないですか。」

「そんなこと考えながら使わねぇよ。でも魔法陣か…クラウスなら魔法の固定化に使えるかもな。」

「手掛かりがそこしかないんだよね。」

僕が持ってきた紅茶で喉を濡らす。話しすぎたかな。ルディは話が通じるからいっぱい話しちゃう。
黙ってるテオ様も両陛下も殿下も付いてきてないんだろうな。でも案があるなら出して欲しい。

「魔力で書いてみたらどうだ?」

「魔力?そんなことできるの?」

「知らねぇよ。」

「でも試したことないな。うん。いいね。試してみる。」

確かにやったことないな。魔力で書くか。できるのかな。火魔法なら焦がすとか?光と闇魔法で試して他人でも使えるか試したい。実際2人ともここにいるし。

「陛下、やってみてもいいですか?」

「皇宮で魔法を使うことは許されていないぞ。」

そっか。そうだよね。

じゃあ帰ろうか。お茶会で話したいこと僕にはないし。テオ様の顔合わせも皆と紹介しあって終わったし。

机に手を置いたところでテオ様が手を握ってきた。帰るなってこと?まだいたいの?
テオ様を見たらフルフルと首を振られた。まじで…そこでやっと視界が広がった。

あー。そうだった。この人達この国で1番偉い人だった。完璧忘れてた。ルディとテオ様以外から発せられる空気が悪い。


作り笑いして座り直す。

「失礼致しました。」

「そういうところがあるからな。テオがいて良かったと思え。」

怒ってらっしゃる。全部僕が悪いけど。

「はい。申し訳ありませんでした、陛下。」

早く試したいなぁ。
足掛かりになるなら北に教えてあげないと。

ずっと手を握ってくれてるテオ様の手を握り返す。ありがとう。もう大丈夫。

この、興味を持ったらのめり込む癖どうにかしないとなぁ。
でも義母様は色んなことに手を出して必死すぎと言われた。だから好きなことに熱中して必要なことだけしようと決めたんだよね。
それもままならないとか僕泣きそう。

僕の癒しはテオ様だけだよ。





















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