推しの完璧超人お兄様になっちゃった

8歳

30

グルルルと唸るけど暴れなくなった獣人。
なんで暴れてるんだか。昨夜まではこんなのじゃなかった。
でもまぁアルフレートにも従ってくれないと出してあげられない。

《僕の命令は絶対遵守。これを守れるならここから出してあげる。》

《誰が人間なんぞに屈するか。》

それなら仕方ないけどさ。手っ取り早く僕の手持ちにしたいんだよ。時間かけたいことはほかに沢山あるし。

《武器を使わない拷問って結構あるんだよ。中でもさ、シルヴェスター家が得意な拷問があるの。僕の言うこと聞きたくなったら「助けてください。クラウス様」って言ってね。》

そのままトプンと自分の影にしまいこむ。
精神崩壊する前に叫んでくれたらいいんだけれど…。こまめに見ておかないと壊れちゃうな。

｢アル、疲れたから寝る。｣

｢仰せのままに。クラウス様。｣

アルも相当手を焼いたのかな。地下通路が風の魔力で傷ができてる。少し寝てから領土の決済をしないと。

体は疲れてないんだけど気疲れしたな。やっぱりテオ様が近くにいると肩を張ってしまう。失敗が許されないっていうプレッシャーもあるしね。


｢あ、兄上！！｣

玄関のところまで帰ってきた時に休めと命令したはずのテオ様が煌めくほどの笑顔で待っててくれた。かっわいい。でも休まないと。疲れは溜まるんだよ？？？？


｢テオ、待ってたの？休まないとダメでしょ？｣

｢申し訳ありません。兄上が焦っていたので心配で…。｣

テオ様のヘニョヘニョ眉…。かっわいい！！顔面の皮をはぎ取る人の気持ちわかる。多分、カメラを作った人は皮をはぎたいくらい可愛い可愛い愛する人がいたに違いない。

｢優しいね。ありがとう。でも大丈夫だよ。｣

｢はい。兄上、つかぬ事を伺いますがあの獣人はどこにいますか？｣

｢それはまた話す。テオもちゃんと休みなよ。｣

 テオ様の肩をトントンと叩いて僕は部屋に足を向けた。構ってあげたいけれどそんなことでテオ様の休息の時間を奪う訳にもいかない。
なにより、僕が疲れてる。どんなヘマをするのか考えただけで寒気が走る。


少し寝て、領地の報告書を確認して早めに終わらして今日は僕がお迎えに行こうかな。



30分だけ眠ってアルに判を押したものを渡していく。

｢やっぱり冬が怖いよね。｣

｢そうですね～。｣

思ってないだろ。どうにかするのは僕とそこを任せてる領主代理の仕事だけどさ。

｢言ってた食物やってくれたみたいだね。いい結果があるといいけど。｣

｢そういえば砂鉄はどうなりましたか？｣

｢まだやってない。｣

｢死んだ奥様に呪殺されますよ。｣

｢母様ならやりかねないんだから。変なこと言わないで。｣

あの人なら冗談抜きでやりかねない。今だって死んで発動する魔法とか仕込んでんじゃないのって心配してるんだから。

その時は母様の部屋を使ってる義母様が1番に死ぬだろうからその後考えればいいよね。

｢今日の夜にでも試作品をひとつ作ってみるよ。｣

｢テオ様に話しかけられれば貴方はやらないでしょう。他の錬金術師でも雇えば良くないですか？｣

｢せめて家が安定するまでは無駄遣いできないよ。｣

｢それは…いえ。失礼致しました。｣

あ、でも1つ例外がいる。

｢テオだけは例外だから。僕に必ず許可とってね。｣

やっぱさ、推しの欲しいものとか好きな物とか
なんならさ、持ち物とか…把握しておきたいじゃん？

｢クラウス様の仰せの通りに。｣