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第三章 次世代編
偽りの婚礼(1)
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草太出奔と、時を同じくして瘤瀬の里。
「……え……?」
戸惑いの声に、少女は男に背を向けた。そして、起き上がると衣に袖を通して、出て行ってしまった。
「帰蝶!」
◇
帰蝶は、今回の房中の鍛錬に賭けていた。
(あたしは『その日』をとりわけ隠すことが上手かった。あいつも、義務だし鍛錬だから拒めない)
だから。
どきどきして、心の臓が痛いくらいだった。鍛錬は初めてじゃないのに、誰にも感じたことのない感覚。
(怖い)
帰蝶は自分で仕組んだことなのに、未来がどうなるか予見が出来ずに、恐怖心すら覚えて居た。
(あいつが同じ室に入ってきただけで、体が勝手にびくつく。……気付かれませんように)
房中の鍛錬は相手を酔わせて意のままにするべく行う、肉体と精神の術だ。
この鍛錬に限っては、年齢も技巧も経験もあてにはならぬ。どちらも同等である。
複数・同性もしなくはないが、基本は男と女、二人で一組。どちらが先に達しさせるかという化かし合いだ。
これが敵方の透破などであれば、即・殺し合いの仕儀となりえる。合わせて、素手で肉体差のある相手との格闘術も学ぶ。
男が吐精を抑える術を習う一方で、射精を促す技を女は習う。鍛錬では、『吐き出さぬ』事が基本であるが、任務によっては中に吐精されることもありえよう。そんな時の回避方法も学ぶ。
夫婦となった女は基本、色仕掛けの任務は受けない。しかし場合によってはありえる。そんな時、伴侶に嫉妬を憶えて、相手をもしくは伴侶を殺してしまう夫もいる。
「鍛錬」の相手は教わらない。
忍ぶとはいえ、人間だ。躰が惹かれて心が引きずられてしまうこともありえる。惚れたはれたは、忍ぶの世界では不要な感情。
ゆえに闇夜、あるいは洞窟で。忍ぶたちは棟梁の決めた組み合わせで「仕合」を行う。気配で誰と悟られてしまうので、高度な気配消しの技術も必要となってくる。
――互いに相手を達しさせることが目的であるから、疾風も帰蝶も既に何度となく高めあっていた。
疾風は技巧の限りを尽くしていたが、意固地な相方は降参せぬ。疾風の方もそろそろ限界に達していた。女のほうは何度となく達していたから、そろそろ躰がきつかろう。
(俺もそろそろ退くか)
そう考えて最後の一刺しをした。最奥まで差し入れた瞬間、強引に搾り取られるような蠢きを感じた。
(は。イイとは聞いていたが)
女は最初こそ気配を殺していたものの、疾風の猛攻で誰と知れていた。
そして離すまいとされた拘束。
今迄一度たりとも遭ったことのない、この感触。
(これはっ!)
愚かにも、その瞬間までわからなかった。咄嗟に体ごと彼女から飛びのいたが、数滴は吐き出してしまったのだろう。受胎した瞬間を、疾風と帰蝶は、はっきりとわかちあった。
そして、最悪の瞬間を迎えた。男は嫌悪し、女はそれを認知した。
◇
「帰蝶ッ!おまえ……ッ!!」
背中から追いかけてくる、愛しい疾風の驚愕の叫び。しかし、女は気に留める余裕はなかった。
(何故っ!)
疾風とて、本人の申告を鵜呑みにしてた訳ではない。
(忍ぶ同士なんざ、化かし合いが基本だ)
今までとて何度、子を作ってから女房の座に居座ろうとする女達を相手にしてきたことか。そんなわけで『その日』かどうかを見極めるのは、当の女より詳しい。
(謀られたッ!)
「帰蝶!」
少女は逃げてしまった。彼は裸のまま、帰蝶を追おうとした。が、彼女の仕掛けた罠に阻まれ、見失ってしまった。帰蝶が完全に計画を練り上げていたことを、疾風は遅まきながら悟った。
(やられたッ!!)
してやられた悔しさと、そこまでして受胎したい彼女の気持ちがわからなかった。そうして一晩中、闇雲に帰蝶を探し回った。
挙句。
「じい様っ、完全に受胎した!
あいつは一体なにを考えているんだ!」
時苧と阿蛾の家に早朝だったが、駆け込んだ。
まだ東の空が色が変わり始めた頃であったが、棟梁と彼の妻は朝げを食べていた。疾風は、己の半分の年の小娘の技を見抜けなかった己の甘さを悔やんだが、今は反省している場合ではない。
時苧と阿蛾の二人は、呆気にとられて疾風を見つめていた。
下帯だけ身に着けて脚は裸足。木々の中を駆けずり回っていたのだろう、泥や擦り傷が躰中にあり、荒い息をしている、男の姿と、疾風の一言で二人は状況を飲み込んだようであった。
疾風も、二人が眼と眼を見交わし、やるせないような痛まし気な表情をしたことに、気づいた。
「帰蝶は……」
考えてもいなかった結論に辿り付く。冷静な男としては珍しく、茫然と呟いた。
「オレを……、好き、なのか?」
時苧はちらりと疾風を見、また目を外した。
「肌を重ねたぬしに、そんな反応されたら。
女としては、その場から逃げ出すしかあるまいよ」
阿蛾は強張った顔のまま、手に持った椀を睨んでいた。
帰蝶は拒まれたのだ。
よりによって最愛の男と、鍛錬であろうと肌を重ねているその刻に。
それは無意識ゆえの純粋なる拒絶。
帰蝶が受胎可能であるとわかってしまった瞬間の疾風の反応。
どんな計算もしておらなかった拒絶だけに、それを繕うことは疾風にすら出来なかった。
「ぬしはもう探索せんでもよい。
あやつも忍ぶじゃ、自害などせん」
時苧は、ぽん、と疾風の肩に手をおいた。
責任をとって女房にする、という言葉すらも、拒忌した後では空々しい。
彼女の望んだ刻を、与えてやれもしなかったのだ。
「疾風兄者。兄者は清廉で、優しいお方ですわ。
なれど、本当の優しさというものは、己が傷ついても相手が求めるものを与えることですわ」
阿蛾が静かな声で呟いた。
彼女の手の中の椀がみしみし、と音がし、撓んでいた。
疾風が帰蝶の恋情を知らなかったのが、罪なのではない。
時苧と阿蛾とて、透湖に化けた諏名姫に指摘を受けるまで気付かずにいたのであるから。
疾風は悪くないのだ。
あえて言えば、同じ罪に陥ちてやらなかったことが彼の罪なのだろうか。
「そうやって兄者は……。
己に惚れた女を受け止めてやることもせずに、一生草太兄者と菜を姉者の後をくっついて歩いているがよい……!」
阿蛾は言い棄てると、小屋から出て行った。
帰蝶が全面的に悪い。疾風は被害者なのだ。
疾風は今後、『帰蝶の技も見抜けなかったうつけ者』、との謗りを受けるのだ。
まして、”それほどまでに相手が切望しているのに、受け止めてやらなかった非情な男”、とも。
(あの子は、他の里の女たちのように子をダシにしようとしていた訳ではない)
普段は呆れるほどに強気なくせに、恋に対してだけは臆病な帰蝶。己が娘は、疾風の女房の座を射止めようと考えてはおらなかったろう、と阿蛾は思う。
……いや。己がなりふり構わず、時苧の優しいのにつけこんでおしかけ女房になったことを考えれば、可能性は高かったかもしれないが。
だが。
阿蛾はやり場のない怒りに打ち震えていた。
女の嘘に騙されてやらぬ清廉な疾風も恨めしかったし、金剛石より堅い疾風相手に責め方を見誤った愛娘にも腹が立っていた。
阿蛾と時苧は、疾風と帰蝶が上手く行く事を楽しみにしていたのだ。
あの朴念仁をどうやって不器用な愛娘が口説いていくのかを。
”こういう手はどうか”、”いやこの手段で持っていくのがよかろう”、とそれは楽しみに語り合っていたのだ。
なのに、娘は誰にも相談しなかった。
阿蛾も時苧も救いの手を差し伸べてやらなかった。
唯一、帰蝶が素直に言うことをきく相手は、疾風であった。あるいは帰蝶が”姉”と慕っている透湖。が、諏名姫自身が進退きわまりない事態に陥っていた。――時苧との壮絶な跡目騒動を闘っている最中であったので、あまり瘤瀬に近寄らなくなっていた。たまに息抜きに瘤瀬に訪れていたが、時苧が居ない時を狙っていた。帰蝶とはすれ違い続きであった。
それでも忙しい合間、諏名姫は帰蝶のことを気にかけてはくれていたのであるが……。
皆が楽しみにしていた帰蝶の恋は終わってしまった。
(あーああ……。あとで兄者にあやまれなければ)
阿蛾は天を仰いでため息をついた。兄に怒鳴って彼女自身は頭が冷えた。
(……だけど。帰蝶でもダメなのなら、疾風兄者のめがねに適う相手がこの先出てくるのかしら?)
阿蛾は今度こそ、深いため息をついたのであった。
「……え……?」
戸惑いの声に、少女は男に背を向けた。そして、起き上がると衣に袖を通して、出て行ってしまった。
「帰蝶!」
◇
帰蝶は、今回の房中の鍛錬に賭けていた。
(あたしは『その日』をとりわけ隠すことが上手かった。あいつも、義務だし鍛錬だから拒めない)
だから。
どきどきして、心の臓が痛いくらいだった。鍛錬は初めてじゃないのに、誰にも感じたことのない感覚。
(怖い)
帰蝶は自分で仕組んだことなのに、未来がどうなるか予見が出来ずに、恐怖心すら覚えて居た。
(あいつが同じ室に入ってきただけで、体が勝手にびくつく。……気付かれませんように)
房中の鍛錬は相手を酔わせて意のままにするべく行う、肉体と精神の術だ。
この鍛錬に限っては、年齢も技巧も経験もあてにはならぬ。どちらも同等である。
複数・同性もしなくはないが、基本は男と女、二人で一組。どちらが先に達しさせるかという化かし合いだ。
これが敵方の透破などであれば、即・殺し合いの仕儀となりえる。合わせて、素手で肉体差のある相手との格闘術も学ぶ。
男が吐精を抑える術を習う一方で、射精を促す技を女は習う。鍛錬では、『吐き出さぬ』事が基本であるが、任務によっては中に吐精されることもありえよう。そんな時の回避方法も学ぶ。
夫婦となった女は基本、色仕掛けの任務は受けない。しかし場合によってはありえる。そんな時、伴侶に嫉妬を憶えて、相手をもしくは伴侶を殺してしまう夫もいる。
「鍛錬」の相手は教わらない。
忍ぶとはいえ、人間だ。躰が惹かれて心が引きずられてしまうこともありえる。惚れたはれたは、忍ぶの世界では不要な感情。
ゆえに闇夜、あるいは洞窟で。忍ぶたちは棟梁の決めた組み合わせで「仕合」を行う。気配で誰と悟られてしまうので、高度な気配消しの技術も必要となってくる。
――互いに相手を達しさせることが目的であるから、疾風も帰蝶も既に何度となく高めあっていた。
疾風は技巧の限りを尽くしていたが、意固地な相方は降参せぬ。疾風の方もそろそろ限界に達していた。女のほうは何度となく達していたから、そろそろ躰がきつかろう。
(俺もそろそろ退くか)
そう考えて最後の一刺しをした。最奥まで差し入れた瞬間、強引に搾り取られるような蠢きを感じた。
(は。イイとは聞いていたが)
女は最初こそ気配を殺していたものの、疾風の猛攻で誰と知れていた。
そして離すまいとされた拘束。
今迄一度たりとも遭ったことのない、この感触。
(これはっ!)
愚かにも、その瞬間までわからなかった。咄嗟に体ごと彼女から飛びのいたが、数滴は吐き出してしまったのだろう。受胎した瞬間を、疾風と帰蝶は、はっきりとわかちあった。
そして、最悪の瞬間を迎えた。男は嫌悪し、女はそれを認知した。
◇
「帰蝶ッ!おまえ……ッ!!」
背中から追いかけてくる、愛しい疾風の驚愕の叫び。しかし、女は気に留める余裕はなかった。
(何故っ!)
疾風とて、本人の申告を鵜呑みにしてた訳ではない。
(忍ぶ同士なんざ、化かし合いが基本だ)
今までとて何度、子を作ってから女房の座に居座ろうとする女達を相手にしてきたことか。そんなわけで『その日』かどうかを見極めるのは、当の女より詳しい。
(謀られたッ!)
「帰蝶!」
少女は逃げてしまった。彼は裸のまま、帰蝶を追おうとした。が、彼女の仕掛けた罠に阻まれ、見失ってしまった。帰蝶が完全に計画を練り上げていたことを、疾風は遅まきながら悟った。
(やられたッ!!)
してやられた悔しさと、そこまでして受胎したい彼女の気持ちがわからなかった。そうして一晩中、闇雲に帰蝶を探し回った。
挙句。
「じい様っ、完全に受胎した!
あいつは一体なにを考えているんだ!」
時苧と阿蛾の家に早朝だったが、駆け込んだ。
まだ東の空が色が変わり始めた頃であったが、棟梁と彼の妻は朝げを食べていた。疾風は、己の半分の年の小娘の技を見抜けなかった己の甘さを悔やんだが、今は反省している場合ではない。
時苧と阿蛾の二人は、呆気にとられて疾風を見つめていた。
下帯だけ身に着けて脚は裸足。木々の中を駆けずり回っていたのだろう、泥や擦り傷が躰中にあり、荒い息をしている、男の姿と、疾風の一言で二人は状況を飲み込んだようであった。
疾風も、二人が眼と眼を見交わし、やるせないような痛まし気な表情をしたことに、気づいた。
「帰蝶は……」
考えてもいなかった結論に辿り付く。冷静な男としては珍しく、茫然と呟いた。
「オレを……、好き、なのか?」
時苧はちらりと疾風を見、また目を外した。
「肌を重ねたぬしに、そんな反応されたら。
女としては、その場から逃げ出すしかあるまいよ」
阿蛾は強張った顔のまま、手に持った椀を睨んでいた。
帰蝶は拒まれたのだ。
よりによって最愛の男と、鍛錬であろうと肌を重ねているその刻に。
それは無意識ゆえの純粋なる拒絶。
帰蝶が受胎可能であるとわかってしまった瞬間の疾風の反応。
どんな計算もしておらなかった拒絶だけに、それを繕うことは疾風にすら出来なかった。
「ぬしはもう探索せんでもよい。
あやつも忍ぶじゃ、自害などせん」
時苧は、ぽん、と疾風の肩に手をおいた。
責任をとって女房にする、という言葉すらも、拒忌した後では空々しい。
彼女の望んだ刻を、与えてやれもしなかったのだ。
「疾風兄者。兄者は清廉で、優しいお方ですわ。
なれど、本当の優しさというものは、己が傷ついても相手が求めるものを与えることですわ」
阿蛾が静かな声で呟いた。
彼女の手の中の椀がみしみし、と音がし、撓んでいた。
疾風が帰蝶の恋情を知らなかったのが、罪なのではない。
時苧と阿蛾とて、透湖に化けた諏名姫に指摘を受けるまで気付かずにいたのであるから。
疾風は悪くないのだ。
あえて言えば、同じ罪に陥ちてやらなかったことが彼の罪なのだろうか。
「そうやって兄者は……。
己に惚れた女を受け止めてやることもせずに、一生草太兄者と菜を姉者の後をくっついて歩いているがよい……!」
阿蛾は言い棄てると、小屋から出て行った。
帰蝶が全面的に悪い。疾風は被害者なのだ。
疾風は今後、『帰蝶の技も見抜けなかったうつけ者』、との謗りを受けるのだ。
まして、”それほどまでに相手が切望しているのに、受け止めてやらなかった非情な男”、とも。
(あの子は、他の里の女たちのように子をダシにしようとしていた訳ではない)
普段は呆れるほどに強気なくせに、恋に対してだけは臆病な帰蝶。己が娘は、疾風の女房の座を射止めようと考えてはおらなかったろう、と阿蛾は思う。
……いや。己がなりふり構わず、時苧の優しいのにつけこんでおしかけ女房になったことを考えれば、可能性は高かったかもしれないが。
だが。
阿蛾はやり場のない怒りに打ち震えていた。
女の嘘に騙されてやらぬ清廉な疾風も恨めしかったし、金剛石より堅い疾風相手に責め方を見誤った愛娘にも腹が立っていた。
阿蛾と時苧は、疾風と帰蝶が上手く行く事を楽しみにしていたのだ。
あの朴念仁をどうやって不器用な愛娘が口説いていくのかを。
”こういう手はどうか”、”いやこの手段で持っていくのがよかろう”、とそれは楽しみに語り合っていたのだ。
なのに、娘は誰にも相談しなかった。
阿蛾も時苧も救いの手を差し伸べてやらなかった。
唯一、帰蝶が素直に言うことをきく相手は、疾風であった。あるいは帰蝶が”姉”と慕っている透湖。が、諏名姫自身が進退きわまりない事態に陥っていた。――時苧との壮絶な跡目騒動を闘っている最中であったので、あまり瘤瀬に近寄らなくなっていた。たまに息抜きに瘤瀬に訪れていたが、時苧が居ない時を狙っていた。帰蝶とはすれ違い続きであった。
それでも忙しい合間、諏名姫は帰蝶のことを気にかけてはくれていたのであるが……。
皆が楽しみにしていた帰蝶の恋は終わってしまった。
(あーああ……。あとで兄者にあやまれなければ)
阿蛾は天を仰いでため息をついた。兄に怒鳴って彼女自身は頭が冷えた。
(……だけど。帰蝶でもダメなのなら、疾風兄者のめがねに適う相手がこの先出てくるのかしら?)
阿蛾は今度こそ、深いため息をついたのであった。
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