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第一章~ドワーフの村~
38話 はじめての結婚式
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「おぉーこれは立派な馬車だなー」
シュドが連れてきた馬車はとても大きく、俺たち2人が寝っ転がっても大丈夫なほど立派だった。シュドはいつも通りの馬で馬車は従者に轢かせているようだ。
「これはこれはドワルフ様。私たちの商人ギルド一番の馬車を用意させて頂きました」
「それはもしかして私たちが料金を出すんでしょうか?」
「いえいえ滅相もございません! これはサービスでございますよ」
ふぅと胸を撫で下ろす。
「シュド。馬車はいいがワシが頼んだ大量のエールはもちろん持ってきたんだろうな!」
「もちろんでございますとも。この魔法鞄満タンに入っておりますとも」
そう言って大量のエールを魔法鞄から取り出す。あれよあれよのうちにそこらじゅうエールの樽だらけになった。
「まぁこれだけあれば今夜の結婚式も安心じゃわい」
「結婚式と言いますとどなたとどなたが?」
「ワシの娘ドーコとドワルフがじゃ」
「おぉおぉそれはおめでたい! 私も商品を下ろした甲斐があります」
「む? どういうことじゃ?」
「あーっととにかく今日の宴会にはシュドさんも付き合ってね! 出発は明日朝早くにするんだから!」
シュドが余計なことを言わないようにドーコが慌てて割って入る。
「私も参加してよろしいのですか?」
「娘の祝いの席じゃ。人が多い方がよかろう」
「それでは私も参加させて頂きます。いやー実際のドワーフの文化に触れれるとはありがたい限りです。っとその前に商売を先に済ませてしまいましょう」
そう言って手際よくドワーフが持ってきた鎧などを鑑定していく。
「じゃあ私は先に準備してくるねー」
「おう?」
料理の準備でも手伝うんだろうか?ドーコはそそくさと自宅へと向かっていった。
「今回はこのぐらいのお値段で買い取らせて頂きます。そこから今回のエールや材料のお値段をお引きいたしまして……こちらが純利益となります」
「わかった」
ドウェインとシュドの間でしっかりと契約が済み無事、交渉終了となった。
「それにしても残念でしたねードワルフ様」
「何がですか?」
「満月角熊のことですよ。あの盾を持ち帰ることができれば、より一層金銭を得ることが出来たと言いますのに」
「あの時はああするしかなかったんですよ。それにあそこでその為に命を落としていたら金も何もあったもんじゃないでしょ」
「それもそうでございますね。命あっての物種ですももね」
「おーい皆の衆! エールを会場まで運ぶんじゃー!」
えっさおいさとエールがどんどんと会場に運ばれていく。俺も運ぼうとすると
「何をやっとるんじゃドワルフ。お主もさっさと着替えんか!」
「着替えるってこの服以外俺は持ってないぞ?」
「かぁー常識知らずもここまでくるか! 結婚するんじゃから花婿衣装に着替えんか。ほらワシの家へさっさと行かんか」
促されるままドウェインの家へと向かう。ん? ドワーフの花婿衣装ってことはもしかしてピチピチなんじゃないか!? そんな無様な格好で出るなら俺はこのままで出たいぞ!
ドアを開けると奥さんが待っていた。
「やっときたねあんた! ほらさっさと着替えて結婚式にいくよ」
「あのーピチピチの服なら勘弁したいんだが……」
「あんたそんなことを心配してたのかい? ドーコが何のために鍛冶場に行かず、ずっと家にいたと思ってるんだい。ほらあんた用に作った衣装だよ。ちゃんとピチピチじゃないやつだよ」
てっきり俺は家事を勉強してるんだと思ったがまさかこんな物まで用意していたとは。
「私もね、最初は料理を覚えさせるのだけで時間がなくなると思ったんだけどあの子なぜか妙に作業が早くてね。私なんかもう追い抜かされちまったよ。それで余った時間で衣装を作ってたってわけさ」
きっと【ドワーフの神の眷属】の効果だろうな。俺も料理が上手くなったし。それにしても助かった。話の流れからしてドーコが料理がなかなか上手くならなかったら俺の衣装はピチピチかこのままの格好だった可能性が高い。ありがとうドーコ。
俺は早速その服に袖を通す。うん、ピチピチでもなく大きすぎでもないピッタリのサイズだ。見た目も完全なタキシードではなくどことなくドワーフのモチーフを凝らした逸品となっている。パーフェクトだドーコ!
「じゃあ早速みんなのところに向かうとするかね」
「そうだな行こう!」
式場というか宴会場はもう既に飲み始めていた。スタンピードを凌いだのもあったしな。そこからずっと宴会ができてなかったんだ。満を辞して俺が中に入る。すると今まで以上に歓声が上がる。
「よっ英雄! 待ってました!」
「兄の命をすくってくれてありがとー!」
「鍛冶仕事もっと教えろー」
様々な声を受けながら中央へと座る。少し緊張しながら待っているとドアが大きく開かれドーコとドウェインが一緒に入ってきた。
指笛がピーピーとなる中2人はこちらに向かって歩みを進める。後ろにいた奥さんが涙を溢している。そしてドーコが俺の横に座る。
「皆のものよくぞワシの娘の結婚式に集まってくれた! 今日は思う存分飲んで楽しもうぞ! 乾杯!!!」
「乾杯!!!!!!!!」
一斉にジョッキを掲げ皆の一気に飲み干す。横でドーコも飲み始めたので俺も合わせて飲む。
「此度はスタンピードの件の宴会でもある皆ご苦労であった。そしてワシの娘の婚約者であるドワルフはその最も偉大な功績者である。ワシらが一度エルフとの混血だからと追放したにも関わらずじゃ!! そこでワシは今まで長年突き通してきた掟を変えようと思う。今夜よりエルフへの偏見を禁ずる!!!」
「おいおいドウェイン。いきなりってのは無理があると思うぞ。ゆっくりでいいからさ、みんな仲良くやってくれると助かるよ」
「ウォーーーーー!!!」
掟が変わったというのに盛り上がってるよ。まぁ否定されるよりは全然いいな。
「あと一つだけお願いがあるんだが俺の配信をフォローしておいてくれないか? メインジョブ配信者でサブジョブなしだからフォロワーいないときついんだよ」
「よし皆の衆! そういうことじゃから皆フォローせい!!」
「もちろんだ!!!」
後で確認しておこう。そういえばドーコはどうなってるかと思いみるとずっと顔を真っ赤にしている。少し緊張をほぐしてやるか。
「ドーコどうしたんだ? いつものお前ならもっとテンションが高いだろ?」
「そんなこと言ったって私結婚できるなんて思ってなかったしみんなと一緒に宴会できるなんて思っても見なかったんだもん!」
そういえばドーコもエルフとの混血と思われて追放されていたんだったな。こんな風にみんなで宴会を開くのは慣れないことなんだろう。それにしても
「綺麗だな」
「なっ何言ってるのドワルフ!?」
「いやすまん口に出すつもりはなかったんだが、ドワーフの村にも化粧の文化があったんだな。それに衣装も俺の好みだ」
もう可愛いって言ってしまったんだし思ったことを全部伝えた。するとドーコはますます顔が赤くなった。
「もうこうなった飲みに飲みまくってやるー!」
ドーコの飲むペースがどんどん上がっていく。そして俺たちの目の前にあったご馳走もどんどん減っていった。
「ではエールも進んできたことじゃしここで誓いを結んでもらおう」
誓い!? 何だそりゃ俺全然知らないぞ!
(私の後に続いて言って)
(わかった)
「それではよろしく頼む」
「鍛冶の神ドヴァベルグに誓います」
「鍛冶の神ドヴァベルグに誓います」
「これからは鍛冶と伴侶にこの身を捧ぐことを誓います」
「これからは鍛冶と伴侶にこの身を捧ぐことを誓います」
「どうかこれからも私たちを見守ってください」
「どうかこれからも私たちを見守ってください」
「それでは花婿よ誓いのネックレスを付けよ!」
おいおい俺が勝手に準備してたから間に合ったけどそういうことはもっと事前に教えておいてくれよ! ポケットから今朝ギリギリ用意できたネックレスをドーコの首に付ける。
その瞬間幾度か見た眩い光が当たりを包み込む。だが今回はマジックアイテムを作ったわけではないのだが。
「えっこれマジックアイテム!? でも作った時じゃないのに光るだなんて!」
「ほうどうやらそのマジックアイテムはドーコ専用のマジックアイテムになったようじゃな。稀にマジックアイテムは人を選ぶものがあると言う。っと進行が遅れたがでは次に新婦よ、誓いの鍛冶を」
誓いの鍛冶? 今からここで鍛冶でもするっていうのか?変わった種族だなー。
「ほっほら早く屈んで! 恥ずかしいじゃん!!」
「ん? どうして俺が屈む必要があるんだ?」
「もういいから! 屈む屈む!」
言われるがままに屈む。するとドーコが俺に近づき唇にキスをした。
「これにて結婚成立!! 皆の者改めて集まってくれてありがとう!!」
「ウォーーーーーーーーー!!!!!」
パチパチと拍手の音とドワーフたちの歓声が響き渡る。俺はまだ現状が理解できずにいた。
「何がどうして鍛冶がキスなんだ?」
「あっそっか緊張しすぎてドワルフが知らないの忘れてた。花嫁をハンマーに見立てて花婿が真っ直ぐ自分だけを愛するようにキスで叩くっていう儀式なんだよ」
あーこのことを知ってるからドーコはあんなにも顔が真っ赤だったんだな。それにしてもなかなかロマンチックな儀式じゃないか。
ここからは結婚式というより二次会の様な宴会が始まった。
「いやードワーフの結婚なんて珍しいものを拝見できました。私は明日もありますのでここで失礼しておきます」
「シュドさんも参加してくれてありがとうございます」
「それとわたしにはもうそんな風にかしこまった話し方をする必要はありませんよ。これから長い付き合いになるでしょうし」
「わかった! それじゃおやすみシュドさん」
シュドも結構飲んだだろうに足どりも乱れずしっかりと宿へと向かっていく。
「よーし俺も飲むぞー! 誰か俺に勝てる酒豪はいるかー!」
そう言って飲み比べを始めた。
シュドが連れてきた馬車はとても大きく、俺たち2人が寝っ転がっても大丈夫なほど立派だった。シュドはいつも通りの馬で馬車は従者に轢かせているようだ。
「これはこれはドワルフ様。私たちの商人ギルド一番の馬車を用意させて頂きました」
「それはもしかして私たちが料金を出すんでしょうか?」
「いえいえ滅相もございません! これはサービスでございますよ」
ふぅと胸を撫で下ろす。
「シュド。馬車はいいがワシが頼んだ大量のエールはもちろん持ってきたんだろうな!」
「もちろんでございますとも。この魔法鞄満タンに入っておりますとも」
そう言って大量のエールを魔法鞄から取り出す。あれよあれよのうちにそこらじゅうエールの樽だらけになった。
「まぁこれだけあれば今夜の結婚式も安心じゃわい」
「結婚式と言いますとどなたとどなたが?」
「ワシの娘ドーコとドワルフがじゃ」
「おぉおぉそれはおめでたい! 私も商品を下ろした甲斐があります」
「む? どういうことじゃ?」
「あーっととにかく今日の宴会にはシュドさんも付き合ってね! 出発は明日朝早くにするんだから!」
シュドが余計なことを言わないようにドーコが慌てて割って入る。
「私も参加してよろしいのですか?」
「娘の祝いの席じゃ。人が多い方がよかろう」
「それでは私も参加させて頂きます。いやー実際のドワーフの文化に触れれるとはありがたい限りです。っとその前に商売を先に済ませてしまいましょう」
そう言って手際よくドワーフが持ってきた鎧などを鑑定していく。
「じゃあ私は先に準備してくるねー」
「おう?」
料理の準備でも手伝うんだろうか?ドーコはそそくさと自宅へと向かっていった。
「今回はこのぐらいのお値段で買い取らせて頂きます。そこから今回のエールや材料のお値段をお引きいたしまして……こちらが純利益となります」
「わかった」
ドウェインとシュドの間でしっかりと契約が済み無事、交渉終了となった。
「それにしても残念でしたねードワルフ様」
「何がですか?」
「満月角熊のことですよ。あの盾を持ち帰ることができれば、より一層金銭を得ることが出来たと言いますのに」
「あの時はああするしかなかったんですよ。それにあそこでその為に命を落としていたら金も何もあったもんじゃないでしょ」
「それもそうでございますね。命あっての物種ですももね」
「おーい皆の衆! エールを会場まで運ぶんじゃー!」
えっさおいさとエールがどんどんと会場に運ばれていく。俺も運ぼうとすると
「何をやっとるんじゃドワルフ。お主もさっさと着替えんか!」
「着替えるってこの服以外俺は持ってないぞ?」
「かぁー常識知らずもここまでくるか! 結婚するんじゃから花婿衣装に着替えんか。ほらワシの家へさっさと行かんか」
促されるままドウェインの家へと向かう。ん? ドワーフの花婿衣装ってことはもしかしてピチピチなんじゃないか!? そんな無様な格好で出るなら俺はこのままで出たいぞ!
ドアを開けると奥さんが待っていた。
「やっときたねあんた! ほらさっさと着替えて結婚式にいくよ」
「あのーピチピチの服なら勘弁したいんだが……」
「あんたそんなことを心配してたのかい? ドーコが何のために鍛冶場に行かず、ずっと家にいたと思ってるんだい。ほらあんた用に作った衣装だよ。ちゃんとピチピチじゃないやつだよ」
てっきり俺は家事を勉強してるんだと思ったがまさかこんな物まで用意していたとは。
「私もね、最初は料理を覚えさせるのだけで時間がなくなると思ったんだけどあの子なぜか妙に作業が早くてね。私なんかもう追い抜かされちまったよ。それで余った時間で衣装を作ってたってわけさ」
きっと【ドワーフの神の眷属】の効果だろうな。俺も料理が上手くなったし。それにしても助かった。話の流れからしてドーコが料理がなかなか上手くならなかったら俺の衣装はピチピチかこのままの格好だった可能性が高い。ありがとうドーコ。
俺は早速その服に袖を通す。うん、ピチピチでもなく大きすぎでもないピッタリのサイズだ。見た目も完全なタキシードではなくどことなくドワーフのモチーフを凝らした逸品となっている。パーフェクトだドーコ!
「じゃあ早速みんなのところに向かうとするかね」
「そうだな行こう!」
式場というか宴会場はもう既に飲み始めていた。スタンピードを凌いだのもあったしな。そこからずっと宴会ができてなかったんだ。満を辞して俺が中に入る。すると今まで以上に歓声が上がる。
「よっ英雄! 待ってました!」
「兄の命をすくってくれてありがとー!」
「鍛冶仕事もっと教えろー」
様々な声を受けながら中央へと座る。少し緊張しながら待っているとドアが大きく開かれドーコとドウェインが一緒に入ってきた。
指笛がピーピーとなる中2人はこちらに向かって歩みを進める。後ろにいた奥さんが涙を溢している。そしてドーコが俺の横に座る。
「皆のものよくぞワシの娘の結婚式に集まってくれた! 今日は思う存分飲んで楽しもうぞ! 乾杯!!!」
「乾杯!!!!!!!!」
一斉にジョッキを掲げ皆の一気に飲み干す。横でドーコも飲み始めたので俺も合わせて飲む。
「此度はスタンピードの件の宴会でもある皆ご苦労であった。そしてワシの娘の婚約者であるドワルフはその最も偉大な功績者である。ワシらが一度エルフとの混血だからと追放したにも関わらずじゃ!! そこでワシは今まで長年突き通してきた掟を変えようと思う。今夜よりエルフへの偏見を禁ずる!!!」
「おいおいドウェイン。いきなりってのは無理があると思うぞ。ゆっくりでいいからさ、みんな仲良くやってくれると助かるよ」
「ウォーーーーー!!!」
掟が変わったというのに盛り上がってるよ。まぁ否定されるよりは全然いいな。
「あと一つだけお願いがあるんだが俺の配信をフォローしておいてくれないか? メインジョブ配信者でサブジョブなしだからフォロワーいないときついんだよ」
「よし皆の衆! そういうことじゃから皆フォローせい!!」
「もちろんだ!!!」
後で確認しておこう。そういえばドーコはどうなってるかと思いみるとずっと顔を真っ赤にしている。少し緊張をほぐしてやるか。
「ドーコどうしたんだ? いつものお前ならもっとテンションが高いだろ?」
「そんなこと言ったって私結婚できるなんて思ってなかったしみんなと一緒に宴会できるなんて思っても見なかったんだもん!」
そういえばドーコもエルフとの混血と思われて追放されていたんだったな。こんな風にみんなで宴会を開くのは慣れないことなんだろう。それにしても
「綺麗だな」
「なっ何言ってるのドワルフ!?」
「いやすまん口に出すつもりはなかったんだが、ドワーフの村にも化粧の文化があったんだな。それに衣装も俺の好みだ」
もう可愛いって言ってしまったんだし思ったことを全部伝えた。するとドーコはますます顔が赤くなった。
「もうこうなった飲みに飲みまくってやるー!」
ドーコの飲むペースがどんどん上がっていく。そして俺たちの目の前にあったご馳走もどんどん減っていった。
「ではエールも進んできたことじゃしここで誓いを結んでもらおう」
誓い!? 何だそりゃ俺全然知らないぞ!
(私の後に続いて言って)
(わかった)
「それではよろしく頼む」
「鍛冶の神ドヴァベルグに誓います」
「鍛冶の神ドヴァベルグに誓います」
「これからは鍛冶と伴侶にこの身を捧ぐことを誓います」
「これからは鍛冶と伴侶にこの身を捧ぐことを誓います」
「どうかこれからも私たちを見守ってください」
「どうかこれからも私たちを見守ってください」
「それでは花婿よ誓いのネックレスを付けよ!」
おいおい俺が勝手に準備してたから間に合ったけどそういうことはもっと事前に教えておいてくれよ! ポケットから今朝ギリギリ用意できたネックレスをドーコの首に付ける。
その瞬間幾度か見た眩い光が当たりを包み込む。だが今回はマジックアイテムを作ったわけではないのだが。
「えっこれマジックアイテム!? でも作った時じゃないのに光るだなんて!」
「ほうどうやらそのマジックアイテムはドーコ専用のマジックアイテムになったようじゃな。稀にマジックアイテムは人を選ぶものがあると言う。っと進行が遅れたがでは次に新婦よ、誓いの鍛冶を」
誓いの鍛冶? 今からここで鍛冶でもするっていうのか?変わった種族だなー。
「ほっほら早く屈んで! 恥ずかしいじゃん!!」
「ん? どうして俺が屈む必要があるんだ?」
「もういいから! 屈む屈む!」
言われるがままに屈む。するとドーコが俺に近づき唇にキスをした。
「これにて結婚成立!! 皆の者改めて集まってくれてありがとう!!」
「ウォーーーーーーーーー!!!!!」
パチパチと拍手の音とドワーフたちの歓声が響き渡る。俺はまだ現状が理解できずにいた。
「何がどうして鍛冶がキスなんだ?」
「あっそっか緊張しすぎてドワルフが知らないの忘れてた。花嫁をハンマーに見立てて花婿が真っ直ぐ自分だけを愛するようにキスで叩くっていう儀式なんだよ」
あーこのことを知ってるからドーコはあんなにも顔が真っ赤だったんだな。それにしてもなかなかロマンチックな儀式じゃないか。
ここからは結婚式というより二次会の様な宴会が始まった。
「いやードワーフの結婚なんて珍しいものを拝見できました。私は明日もありますのでここで失礼しておきます」
「シュドさんも参加してくれてありがとうございます」
「それとわたしにはもうそんな風にかしこまった話し方をする必要はありませんよ。これから長い付き合いになるでしょうし」
「わかった! それじゃおやすみシュドさん」
シュドも結構飲んだだろうに足どりも乱れずしっかりと宿へと向かっていく。
「よーし俺も飲むぞー! 誰か俺に勝てる酒豪はいるかー!」
そう言って飲み比べを始めた。
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