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第一章~ドワーフの村~
16話 ドワーフの生きがい
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「ここって夜になると真っ暗になるだろ。でも俺の元いた世界だとずっと明るいんだよ」
「日が落ちないってこと?時間が分からなくて不便だねー」
「いやいやそうじゃなくてどこでもこのランタンみたいに灯りがついてるんだ。さっきも言ったが魔術や魔法とも違う別の力を利用してな」
「ふーん。確かにそれだったら魔物が襲って来なくて安心かもね」
「おうそうだ。そもそも俺の世界では魔物がいない。あと剣も鎧も使わない」
「えーーーーー!?」
椅子から転げ落ちそうになるドーコ。まぁ魔物がいないのは相当驚く事だろう。何せ安全そのものだからな。
「魔物が出ないのはまだいいけど、剣も鎧も無かったらどうやってドワーフは生きていくの!?!?」
そっちだったか。
「そもそもそこまで大きな人種の差って言うのがないんだ。だからドワーフもエルフもいない。いるとしたらまだ見た事ないが、ヒューマンが1番近いんじゃないかな」
「ってことは魔王もいないの?」
「いない。この世界には魔王がいるのか? 早くのスローライフを送りたいから冒険者に期待だな」
「そうだねーそんな冒険者に使って貰える物を作れるよう頑張らなきゃ!」
「そうだな。そうすりゃ俺の配信も人気になるかもしれない」
「あーあ私もドワルフがいた世界に生まれたかったよ。でも鍛冶がない人生なんて考えられないけど」
「まぁ趣味や嗜好品としては需要があるしいつか行けるといいな。俺はこっちの世界の方が良いけど」
「どうしてどうして? 話を聞いてるとドワルフがいた世界の方が安全な気がするよ!」
「うーん、なんて言ったらいいんだろうか。俺は安全より自由に生きたいんだよ。社会の歯車になってあくせく働くのが嫌だったんだ。それに比べてこの世界は好きだった物作りができる、配信だって続けられる。そして自分を認めてくれるドーコがいる。これ以上ないって環境だ」
「えへへー。そう言ってくれるのは嬉しいね。そういえばドワルフは元の世界でも配信者だったの?」
「あーっとその話はあんまりしたくないから掻い摘んで言うと自業自得だな。ジョブとかってシステムはなくてただの趣味だったが」
「まぁ深くは聞かないようにするよ。何もかも違う世界からこっちに来るなんて災難だったね」
「そういやあっちの世界とかこっちの世界とかでややこしいな。俺の世界は地球っていうんだ。こっちの世界はなんて名前なんだ?」
「この世界はガルドモニアって名前だよ」
なんか大層な名前だな。覚えるよう善処しよう。
「そういえば初めてガルドモニアに来た時、角の生えた兎といきなり戦った時は死んだかと思ったね」
「え!もしかしてあの森にいきなり行ったの?」
「いきなり行ったというかそこにいきなり転生させられたんだよ。ほらアギリゴの実持ってただろ」
「そういえば……よく生きてるね」
「自分でもそう思う。まぁそのお陰でドワーフの長を助けられたし良かったのかもしれないがな。追放されたけど」
「うーんドワーフとエルフはずっと仲が悪いからね。それにしてもパパを助けてくれてありがとうね」
「パパ? 俺は長しか助けた覚えは無いが、他に何かしてたか?」
「あっ」
「もしかして前言い淀んでいたがドーコ、お前のお父さんってもしかして長だったりするのか?」
「隠すことでもないんだけど恥ずかしくてね。そう私のパパはドワーフの長をやってるんだよ。だからみんなに期待とかされてたんだけどね」
「長の娘なのに髭が無いってだけで追放されたのか? それはあんまりにも酷すぎやしないか?」
「長の娘だからこそだよ。威厳のある次期候補なのに髭が無い。それにマジックアイテムを作ろうとエルフに会おうとしてる。本当だったら村外れじゃなくて、もっと遠くで鍛冶仕事を禁じられてもおかしくなかったんだよ。それでも魔法印を与えてくれたパパには感謝してるよ」
ふむしきたりを守るために仕方なくと言った感じか。それでも皆から反感を買わないギリギリの支援をしたという事か。俺の時もヒューマンの国までの金を持たせてくれたしな。
「ちゃんとお父さんに愛されていたんだな」
「そうだね、うんそう」
「1つ気になることがあるんだがドワーフの村って結構魔物が攻めてきたりするのか?」
「いやそんなことはないよ。確かに森が近くて危ないといえば危ないけど村まで降りてくる魔物は少ないよ」
うーんだとしたらドバンが最近配信に来ないのは何故なんだろう。単純に忙しいとか見る文化がなくてつけ忘れてるとかだったらいいんだが、妙な胸騒ぎがする。
「それにしても今日は疲れたね。明日は商人が来るしおやすみにしようか」
「ドーコは休んでおいても良いけど、俺はあのフルアーマーを商人が来るまでに完成させたいんだ。だから作業するけど構わないか?」
「いいけど、無理はしないでね」
「あと休みってドーコは何をするんだ? 鍛冶以外にすることなんてあるのか?」
「朝から飲む!」
そんな胸を張って言われてもだな……本当にドワーフにはエールと鍛冶しかないのか?
「もしこの世界から鍛冶とエールがなくなったらどうするんだ?」
「世界を滅ぼすかな?」
なんとも物騒な話だ。そうならないためにも明日は早めにフルアーマーを完成させて何かしら趣味を見つけさせないとな。何がいいだろうか。魔物狩りとかどうだろうか? ストレス発散になるだろう。ちょっとぐらい俺も異世界を感じて見たい。ドーコよりもレベルが高いしステータスが見えないが大丈夫だろ。
「なんか今失礼なこと考えてなかった?」
「そんな滅相もない」
もー! と怒るドーコを慰めながらベッドへと向かう。明日は商人が来る、初めての別種族との交流だ。いくらで俺の作った物が売れるか気になって上手く寝れる気がしないな。
「日が落ちないってこと?時間が分からなくて不便だねー」
「いやいやそうじゃなくてどこでもこのランタンみたいに灯りがついてるんだ。さっきも言ったが魔術や魔法とも違う別の力を利用してな」
「ふーん。確かにそれだったら魔物が襲って来なくて安心かもね」
「おうそうだ。そもそも俺の世界では魔物がいない。あと剣も鎧も使わない」
「えーーーーー!?」
椅子から転げ落ちそうになるドーコ。まぁ魔物がいないのは相当驚く事だろう。何せ安全そのものだからな。
「魔物が出ないのはまだいいけど、剣も鎧も無かったらどうやってドワーフは生きていくの!?!?」
そっちだったか。
「そもそもそこまで大きな人種の差って言うのがないんだ。だからドワーフもエルフもいない。いるとしたらまだ見た事ないが、ヒューマンが1番近いんじゃないかな」
「ってことは魔王もいないの?」
「いない。この世界には魔王がいるのか? 早くのスローライフを送りたいから冒険者に期待だな」
「そうだねーそんな冒険者に使って貰える物を作れるよう頑張らなきゃ!」
「そうだな。そうすりゃ俺の配信も人気になるかもしれない」
「あーあ私もドワルフがいた世界に生まれたかったよ。でも鍛冶がない人生なんて考えられないけど」
「まぁ趣味や嗜好品としては需要があるしいつか行けるといいな。俺はこっちの世界の方が良いけど」
「どうしてどうして? 話を聞いてるとドワルフがいた世界の方が安全な気がするよ!」
「うーん、なんて言ったらいいんだろうか。俺は安全より自由に生きたいんだよ。社会の歯車になってあくせく働くのが嫌だったんだ。それに比べてこの世界は好きだった物作りができる、配信だって続けられる。そして自分を認めてくれるドーコがいる。これ以上ないって環境だ」
「えへへー。そう言ってくれるのは嬉しいね。そういえばドワルフは元の世界でも配信者だったの?」
「あーっとその話はあんまりしたくないから掻い摘んで言うと自業自得だな。ジョブとかってシステムはなくてただの趣味だったが」
「まぁ深くは聞かないようにするよ。何もかも違う世界からこっちに来るなんて災難だったね」
「そういやあっちの世界とかこっちの世界とかでややこしいな。俺の世界は地球っていうんだ。こっちの世界はなんて名前なんだ?」
「この世界はガルドモニアって名前だよ」
なんか大層な名前だな。覚えるよう善処しよう。
「そういえば初めてガルドモニアに来た時、角の生えた兎といきなり戦った時は死んだかと思ったね」
「え!もしかしてあの森にいきなり行ったの?」
「いきなり行ったというかそこにいきなり転生させられたんだよ。ほらアギリゴの実持ってただろ」
「そういえば……よく生きてるね」
「自分でもそう思う。まぁそのお陰でドワーフの長を助けられたし良かったのかもしれないがな。追放されたけど」
「うーんドワーフとエルフはずっと仲が悪いからね。それにしてもパパを助けてくれてありがとうね」
「パパ? 俺は長しか助けた覚えは無いが、他に何かしてたか?」
「あっ」
「もしかして前言い淀んでいたがドーコ、お前のお父さんってもしかして長だったりするのか?」
「隠すことでもないんだけど恥ずかしくてね。そう私のパパはドワーフの長をやってるんだよ。だからみんなに期待とかされてたんだけどね」
「長の娘なのに髭が無いってだけで追放されたのか? それはあんまりにも酷すぎやしないか?」
「長の娘だからこそだよ。威厳のある次期候補なのに髭が無い。それにマジックアイテムを作ろうとエルフに会おうとしてる。本当だったら村外れじゃなくて、もっと遠くで鍛冶仕事を禁じられてもおかしくなかったんだよ。それでも魔法印を与えてくれたパパには感謝してるよ」
ふむしきたりを守るために仕方なくと言った感じか。それでも皆から反感を買わないギリギリの支援をしたという事か。俺の時もヒューマンの国までの金を持たせてくれたしな。
「ちゃんとお父さんに愛されていたんだな」
「そうだね、うんそう」
「1つ気になることがあるんだがドワーフの村って結構魔物が攻めてきたりするのか?」
「いやそんなことはないよ。確かに森が近くて危ないといえば危ないけど村まで降りてくる魔物は少ないよ」
うーんだとしたらドバンが最近配信に来ないのは何故なんだろう。単純に忙しいとか見る文化がなくてつけ忘れてるとかだったらいいんだが、妙な胸騒ぎがする。
「それにしても今日は疲れたね。明日は商人が来るしおやすみにしようか」
「ドーコは休んでおいても良いけど、俺はあのフルアーマーを商人が来るまでに完成させたいんだ。だから作業するけど構わないか?」
「いいけど、無理はしないでね」
「あと休みってドーコは何をするんだ? 鍛冶以外にすることなんてあるのか?」
「朝から飲む!」
そんな胸を張って言われてもだな……本当にドワーフにはエールと鍛冶しかないのか?
「もしこの世界から鍛冶とエールがなくなったらどうするんだ?」
「世界を滅ぼすかな?」
なんとも物騒な話だ。そうならないためにも明日は早めにフルアーマーを完成させて何かしら趣味を見つけさせないとな。何がいいだろうか。魔物狩りとかどうだろうか? ストレス発散になるだろう。ちょっとぐらい俺も異世界を感じて見たい。ドーコよりもレベルが高いしステータスが見えないが大丈夫だろ。
「なんか今失礼なこと考えてなかった?」
「そんな滅相もない」
もー! と怒るドーコを慰めながらベッドへと向かう。明日は商人が来る、初めての別種族との交流だ。いくらで俺の作った物が売れるか気になって上手く寝れる気がしないな。
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