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【ざまぁ前フリ回】第50話 黒幕、ゴーレム技師の実力を知らず、低レベルのゴーレムを作ってドヤ顔する
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――時は同じくして、ゴーレム対決1日前。
ゴーレム研究院のナンバー3にして、ナットを勇者パーティーから追放するように仕向けた男ことボイルは、とある高級宿に泊っていた。
「ボイル様、ご要望の物を調達いたしました」
ボイルの部屋に、部下が訪れる。
部下はボイルを、宿の前まで案内する。
「ほう、これが……!」
宿の前には、馬車で運ばれてきた、高さ3メートルを超える巨大な包みがあった。
輸送中に壊れないように、何重にも布で巻いてあるのだ。
ボイルが震える手で包みを解く。
中から現れたのは、ナットが作った巨大なゴーレム。
長期使用を考えていないインスタントゴーレムなので既に壊れかけているが、それでもまだ動いている。
腕と足を何重にも拘束している鎖がなければ、今ころボイルとその部下を叩き潰しているだろう。
「勇者選抜試験でナットが作ったもののうち、これ1体だけが壊れずに残っていました」
「素晴らしい、素晴らしいぞ!」
ボイルの声は、興奮で震えている。
「我々は10年以上ずっとゴーレムの研究を進めてきて、理論はおおむね構築している。
だが、ゴーレムを作ることはできなかった。
それが今、動くゴーレムが目の前にいる。私は感動すらしているぞ!」
「ワタクシも同じ気持ちでございます」
ゴーレムを運んできた部下も頷いた。部下も、興奮で手が震えている。
「ナットは、ゴーレムの可能性にまるで気が付いていない。ゴーレムは戦闘以外にも使い道がいくらでもあるのだ」
ボイルとその部下は知らない。ナットが、街の人のためにアダマンタイト採掘ゴーレムを作ったことを。故郷の町で、たくさんの人のために役立つゴーレムを作っていたことを。
「私の理論が間違っていなければ、このゴーレムを改造可能なはずだ。
くくく、戦闘用ゴーレムであれば我々に勝ち目はない。
だが、人の役に立つというゴーレムなら我々の勝利だ。戦闘しか頭にないガキなど、たやすくひねりつぶせる」
ボイルの顔に醜悪な笑みが浮かぶ。
「俺はこのゴーレムを、”掃き掃除ゴーレム”に改造する。審査員は一般市民。掃き掃除ができるゴーレムと戦闘にしか使い道がないゴーレム、どちらに軍配が上がるかな?」
「流石ボイル様、見事な着眼点でございます」
「くくく、賞賛はまだ早い。その言葉は、明日ナットを叩き潰した後に受け取るとしよう」
既にアルカは掃き掃除どころか料理ができるレベルまで成長している。
だが、ボイルと部下はそんなことを知らずに笑っているのだった。
ゴーレム研究院のナンバー3にして、ナットを勇者パーティーから追放するように仕向けた男ことボイルは、とある高級宿に泊っていた。
「ボイル様、ご要望の物を調達いたしました」
ボイルの部屋に、部下が訪れる。
部下はボイルを、宿の前まで案内する。
「ほう、これが……!」
宿の前には、馬車で運ばれてきた、高さ3メートルを超える巨大な包みがあった。
輸送中に壊れないように、何重にも布で巻いてあるのだ。
ボイルが震える手で包みを解く。
中から現れたのは、ナットが作った巨大なゴーレム。
長期使用を考えていないインスタントゴーレムなので既に壊れかけているが、それでもまだ動いている。
腕と足を何重にも拘束している鎖がなければ、今ころボイルとその部下を叩き潰しているだろう。
「勇者選抜試験でナットが作ったもののうち、これ1体だけが壊れずに残っていました」
「素晴らしい、素晴らしいぞ!」
ボイルの声は、興奮で震えている。
「我々は10年以上ずっとゴーレムの研究を進めてきて、理論はおおむね構築している。
だが、ゴーレムを作ることはできなかった。
それが今、動くゴーレムが目の前にいる。私は感動すらしているぞ!」
「ワタクシも同じ気持ちでございます」
ゴーレムを運んできた部下も頷いた。部下も、興奮で手が震えている。
「ナットは、ゴーレムの可能性にまるで気が付いていない。ゴーレムは戦闘以外にも使い道がいくらでもあるのだ」
ボイルとその部下は知らない。ナットが、街の人のためにアダマンタイト採掘ゴーレムを作ったことを。故郷の町で、たくさんの人のために役立つゴーレムを作っていたことを。
「私の理論が間違っていなければ、このゴーレムを改造可能なはずだ。
くくく、戦闘用ゴーレムであれば我々に勝ち目はない。
だが、人の役に立つというゴーレムなら我々の勝利だ。戦闘しか頭にないガキなど、たやすくひねりつぶせる」
ボイルの顔に醜悪な笑みが浮かぶ。
「俺はこのゴーレムを、”掃き掃除ゴーレム”に改造する。審査員は一般市民。掃き掃除ができるゴーレムと戦闘にしか使い道がないゴーレム、どちらに軍配が上がるかな?」
「流石ボイル様、見事な着眼点でございます」
「くくく、賞賛はまだ早い。その言葉は、明日ナットを叩き潰した後に受け取るとしよう」
既にアルカは掃き掃除どころか料理ができるレベルまで成長している。
だが、ボイルと部下はそんなことを知らずに笑っているのだった。
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