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第4話 ゴーレム技師、冒険者登録しに行く&受付嬢から大歓迎される
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僕とアルカがフレアウルフを撃退した後、街は大騒ぎになっていた。
僕とアルカはフレアウルフの素材だけさっさと剝ぎ取って、後のことは冒険者ギルドに引き継いだ。
野次馬が集まる前にさっさと立ち去ったので、僕とアルカがフレアウルフを倒したことは冒険者ギルドの一部の人間しか知らない。
変に注目されると、嫉妬やらで絡んでくる人がいるので、あまり目立たないほうが良いのだ。
そしてその足で、僕とアルカは冒険者ギルドにフレアウルフを倒した報酬金を受け取りに行った。
「はい、こちらフレアウルフ討伐の報酬金。金貨1枚と銀貨3枚です」
顔なじみの受付のお姉さんから小さな革袋を受け取る。
金貨1枚が、大体一般市民が1月で稼ぐ額だ。銀貨はその10分の1。
これだけあれば、しばらくは飢えて死ぬ心配はしなくていいだろう。
僕とアルカの新しい生活は、いいスタートを切ったはずだ。
そして、僕とアルカが冒険者ギルドへ来たのにはもう一つ理由がある。
「冒険者登録をお願いします」
実は、僕は冒険者の資格を持っていない。
ダンジョン探索に行くには、普通は冒険者の資格を取る必要がある。
しかし、僕は冒険者ギルドにゴーレムの力を認めてもらい、ゴーレムのメンテナンス要員として特別にダンジョン探索に参加する許可をもらっていたのだ。
しかしそれも勇者ハロンのパーティーにいる間だけのこと。
自分でパーティーを作ってダンジョン探索をするには、冒険者としての資格を取る必要がある。
「よかった、冒険者の世界に戻ってきてくださるのですね。もちろん、歓迎ですよ!」
と言ってお姉さんが笑顔で申請書を渡してくれる。
しかし、”良かった”とは……?
「私たち、心配していたんですよ。ナットさんが勇者パーティーから不当な追い出され方をして、もしかしてもう冒険者の世界に戻ってきてくれないんじゃないかって」
「し、心配、ですか……? 僕を?」
こんな、ゴーレム以外に何のとりえもない、友達もいない僕を気にかけてくれている人がいただなんて。
「私たち冒険者ギルドのスタッフには、正直ゴーレムのメンテナンスが簡単かどうかなんてわからないです。
でも、ナットさんはメンテナンス以外にも、とても勇者パーティーに貢献していましたから。
料理・地図作成・モンスターの素材の剥ぎ取り・報告書作成・そしてその他のサポート。どの仕事も非常に高いレベルでナットさんはこなしていましたよ。
これだけパーティーのサポートができる人材、なかなかいないです」
「僕の仕事を見ていてくれたんですね」
「はい。人を見るのも冒険者ギルドの受付の仕事の一つですから。それに私たち、ナットさんが言う通りゴーレムのメンテナンスが難しいとも信じていますよ」
そういって受付のお姉さんはふふふと笑った。
「前からあまり賢くはないと思っていましたけども、勇者ハロンはもったいないことをしましたね。ナットさんを追放しちゃうなんて」
お姉さんは声を少し小さくして言う。
「そうですかね?」
「そうですよ。勇者ハロンのパーティーを支えていたのは、ナットさん。これは私だけじゃなくて、この冒険者ギルド支部の受付嬢全員の意見です。ねー?」
と、受付のお姉さんが奥にいた別の受付のお姉さんに声をかける。声をかけられた受付嬢さんが何度もうなづく。
近くにいた、声をかけられていない受付のお姉さんまでうなづいていた。
「ハロンさんたちは自分で戦闘以外のことができないくせに、ナットさんを追い出して、探索がうまくいくわけがないですよ。
勇者の称号も、そのうち剥奪されて誰か別の人に渡っちゃうかもしれませんね」
そういう受付のお姉さんは、いつもよりよくしゃべっている気がする。少し怒っているのだろうか。
「ごめんなさい、話がそれてしまいました。冒険者としての受付でしたね。職業はどうしますか? ナットさんは戦闘できないですし、【サポーター】ですか?」
「いえ、相棒のゴーレムを使って戦闘しようと思います。どの職業に当てはまるのかはわかりませんけど……」
「はい、私が相棒のゴーレムです!」
「ええ!? あなたがゴーレム!?」
受付のお姉さんが腰を抜かす。
まぁそうだよな、アルカがゴーレムだなんて信じられないよな。
見た目は完全に普通の女の子だし、喋るし。
言われないとゴーレムだとわかるはずがない。
証拠として、アルカの中身を少し見せることにした。
ゴーレムのボディは土だけで作れるが、より性能を上げるために、アルカには金属製のフレームを組み込んである。
手首のパーツを一部外すと、土でできたボディの断面とフレームが見える。
「なるほど、確かにアルカさんはゴーレムのようですね。そして、ナットさんの力となり、モンスターと戦うと」
「はい、マスターのために戦うことが私の幸せですから」
そういってアルカはまぶしい笑顔で笑うのだった。
「わかりました。そうなると、ナットさんの戦い方は、モンスターを従えるテイマーにすこし近いですね。いったん職業欄は空欄にしておきましょう。冒険者試験に合格してから、ギルドの偉い人と相談するということで」
「わかりました」
僕は申請書の残りの項目を埋めていく。何が楽しいのか、アルカはそれをじっと横から見てくる。
「……はい、申請書はこれでOKです。試験は明日です。しっかりと準備してきてくださいね。応援していますよ、ナットさん!」
「頑張りましょう、マスター!」
受付のお姉さんとアルカが励ましてくれる。
頑張るぞ!
すこしの緊張とやる気を胸に、僕は冒険者ギルドを後にした。
僕とアルカはフレアウルフの素材だけさっさと剝ぎ取って、後のことは冒険者ギルドに引き継いだ。
野次馬が集まる前にさっさと立ち去ったので、僕とアルカがフレアウルフを倒したことは冒険者ギルドの一部の人間しか知らない。
変に注目されると、嫉妬やらで絡んでくる人がいるので、あまり目立たないほうが良いのだ。
そしてその足で、僕とアルカは冒険者ギルドにフレアウルフを倒した報酬金を受け取りに行った。
「はい、こちらフレアウルフ討伐の報酬金。金貨1枚と銀貨3枚です」
顔なじみの受付のお姉さんから小さな革袋を受け取る。
金貨1枚が、大体一般市民が1月で稼ぐ額だ。銀貨はその10分の1。
これだけあれば、しばらくは飢えて死ぬ心配はしなくていいだろう。
僕とアルカの新しい生活は、いいスタートを切ったはずだ。
そして、僕とアルカが冒険者ギルドへ来たのにはもう一つ理由がある。
「冒険者登録をお願いします」
実は、僕は冒険者の資格を持っていない。
ダンジョン探索に行くには、普通は冒険者の資格を取る必要がある。
しかし、僕は冒険者ギルドにゴーレムの力を認めてもらい、ゴーレムのメンテナンス要員として特別にダンジョン探索に参加する許可をもらっていたのだ。
しかしそれも勇者ハロンのパーティーにいる間だけのこと。
自分でパーティーを作ってダンジョン探索をするには、冒険者としての資格を取る必要がある。
「よかった、冒険者の世界に戻ってきてくださるのですね。もちろん、歓迎ですよ!」
と言ってお姉さんが笑顔で申請書を渡してくれる。
しかし、”良かった”とは……?
「私たち、心配していたんですよ。ナットさんが勇者パーティーから不当な追い出され方をして、もしかしてもう冒険者の世界に戻ってきてくれないんじゃないかって」
「し、心配、ですか……? 僕を?」
こんな、ゴーレム以外に何のとりえもない、友達もいない僕を気にかけてくれている人がいただなんて。
「私たち冒険者ギルドのスタッフには、正直ゴーレムのメンテナンスが簡単かどうかなんてわからないです。
でも、ナットさんはメンテナンス以外にも、とても勇者パーティーに貢献していましたから。
料理・地図作成・モンスターの素材の剥ぎ取り・報告書作成・そしてその他のサポート。どの仕事も非常に高いレベルでナットさんはこなしていましたよ。
これだけパーティーのサポートができる人材、なかなかいないです」
「僕の仕事を見ていてくれたんですね」
「はい。人を見るのも冒険者ギルドの受付の仕事の一つですから。それに私たち、ナットさんが言う通りゴーレムのメンテナンスが難しいとも信じていますよ」
そういって受付のお姉さんはふふふと笑った。
「前からあまり賢くはないと思っていましたけども、勇者ハロンはもったいないことをしましたね。ナットさんを追放しちゃうなんて」
お姉さんは声を少し小さくして言う。
「そうですかね?」
「そうですよ。勇者ハロンのパーティーを支えていたのは、ナットさん。これは私だけじゃなくて、この冒険者ギルド支部の受付嬢全員の意見です。ねー?」
と、受付のお姉さんが奥にいた別の受付のお姉さんに声をかける。声をかけられた受付嬢さんが何度もうなづく。
近くにいた、声をかけられていない受付のお姉さんまでうなづいていた。
「ハロンさんたちは自分で戦闘以外のことができないくせに、ナットさんを追い出して、探索がうまくいくわけがないですよ。
勇者の称号も、そのうち剥奪されて誰か別の人に渡っちゃうかもしれませんね」
そういう受付のお姉さんは、いつもよりよくしゃべっている気がする。少し怒っているのだろうか。
「ごめんなさい、話がそれてしまいました。冒険者としての受付でしたね。職業はどうしますか? ナットさんは戦闘できないですし、【サポーター】ですか?」
「いえ、相棒のゴーレムを使って戦闘しようと思います。どの職業に当てはまるのかはわかりませんけど……」
「はい、私が相棒のゴーレムです!」
「ええ!? あなたがゴーレム!?」
受付のお姉さんが腰を抜かす。
まぁそうだよな、アルカがゴーレムだなんて信じられないよな。
見た目は完全に普通の女の子だし、喋るし。
言われないとゴーレムだとわかるはずがない。
証拠として、アルカの中身を少し見せることにした。
ゴーレムのボディは土だけで作れるが、より性能を上げるために、アルカには金属製のフレームを組み込んである。
手首のパーツを一部外すと、土でできたボディの断面とフレームが見える。
「なるほど、確かにアルカさんはゴーレムのようですね。そして、ナットさんの力となり、モンスターと戦うと」
「はい、マスターのために戦うことが私の幸せですから」
そういってアルカはまぶしい笑顔で笑うのだった。
「わかりました。そうなると、ナットさんの戦い方は、モンスターを従えるテイマーにすこし近いですね。いったん職業欄は空欄にしておきましょう。冒険者試験に合格してから、ギルドの偉い人と相談するということで」
「わかりました」
僕は申請書の残りの項目を埋めていく。何が楽しいのか、アルカはそれをじっと横から見てくる。
「……はい、申請書はこれでOKです。試験は明日です。しっかりと準備してきてくださいね。応援していますよ、ナットさん!」
「頑張りましょう、マスター!」
受付のお姉さんとアルカが励ましてくれる。
頑張るぞ!
すこしの緊張とやる気を胸に、僕は冒険者ギルドを後にした。
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