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君が、私を、目覚めさせた

しんでしまった*

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「……え?」

言われた意味が分からなかった。
『2度死ぬ。』
それは私がもう死んでいるというのと同じことで。
確かに、ヴィーから称号を奪いここに来た時点でもう生きて出ることは叶わないだろう。次目覚めた時には世界の敵だ。相対した魔王を見るに、自我など残りもしないのだと思う。けれど今、自分が死者であるという自覚はなかった。

そっと自身の手に視線を向ける。ヴィーと繋がっていた、私の手。先程までは暖かく思えたそれは、もはや動かすことも難しいほどに疲弊していた。いや、闇に侵食されていると言った方が正確なのかもしれない。この声と出会う前までの痛みが脳裏に過ぎる。何度も切り裂かれ、動かなくなった手。徐々に鈍くなる思考。滴り落ちる血は確かに私のものだった。



そうか。私は、死んだのか。



「まぁ問うたところで其方の答えは聞けぬが。其方が是とするのならば、初代を救える確率が高くなるという話だ。再三言うが、私に残された時間はもうほとんど残ってない。そしておそらく、初代を救うことが出来るのも。」

「なんで、私なの…?」

声が何かを言っている。でも今の私には理解出来なかった。聞こえているのに、頭に入ってこない。
私は今まで頑張って生きてきた。痛いのも苦しいのも辛いのも大嫌いなのに。蔑まれるのも、見下されるのも、悲しくて悲しくて仕方なかった。
でも私よりヴィーが頑張っていたから。
だから、私も頑張ろうって、そう思って…。

「救いたいと願うのは私のエゴだ。其方からすれば理不尽とも思えることだろう。だが、其方によって世界はそのバランスを変えようとしている。今が転換の時だと、私は思っているのだ。」

期待されるのも、何かを自分からするのも、落胆されるのが怖くて苦手だった。私ひとりで何が変わるとも思えない。責任だって負いたくない。

「私、は。」

ヴィーは生きている。
ミヨさんを救う力は私には無かった。
ルークさんは起きない。
腕はもう動かない。
足も少しずつ侵食されているように思う。
魔力だって少ないし、雷以外苦手で使い勝手が悪い。
そもそも私には力がないからなけなしの魔法を使っていたに過ぎないのに。
こんな満身創痍で、どうしろというの。

今まで頑張ってきた。
どうして死んだあとまで頑張らなきゃいけないの。
だって私、頑張ったんだよ。
いっぱいいっぱい頑張って、ヴィーを助けて、もう、嫌だ。もう、何もしたくない。





もう、私に出来ることなんか、ひとつもない。





「! 待て、それは………!!」

闇が押し寄せ、身体から力が抜ける。
倒れ込んだのは奇しくもルークさんの隣で、意識が遠くなる寸前、赤い瞳を見た、気がした。
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