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君が、私を、目覚めさせた

わたしは、そのこえを*

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「…………これも失敗。」

割れてしまった石を前に私は溜息を吐いた。ルークさんに拾われて、生活にも慣れた頃からずっと作り続けているけれど、どうしても納得のいくものが作れない。

もっと綺麗で、もっと強く、大きな、翠の石。私の大切な、魔法石。今は無い、私の石。ずっと大事にしていたのに、そう、割れてしまって、それから…それからどうなったんだっけ…。

「早く、作らなきゃ。」

焦りが頭にこびり付いている。早く。早く。早くしないと。

「…っ、」

誰かに助けを求めようとした自分に驚く。また私は知らない何かを口にしようとした。多分、これは誰かの名前だ。私は誰を呼びたがっているのだろう。どうしてこんなに苦しいのだろう。分からない。分からないのに、胸が締め付けられる。

「進捗はどうだい?」

「あ、ルークさん。」

後ろから声を掛けられて振り返る。彼の手には杖が握られていた。

「お、気付いた?じゃーん、君専用の杖!後は微調整で完成するよ。はい、持ってみて。」

「ありがとうございます。」

私は立ち上がり杖を受け取った。そして渡された杖をじっと見つめる。手に馴染むそれは、前からずっと私のものだったようにも思えた。

「わ…凄くしっくりきます。」

「良かった。使いづらさはないかな?ちょっとでも違和感があったら言ってね。魔法使いにとって杖は必要不可欠だからね。」

「はい。大丈夫だと思います。後は私が石を完成させられたら…。」

振り返って砕けた沢山の石を見る私の肩をルークさんはぽんぽんと優しく叩く。

「ゆっくりで大丈夫だよ。焦ってもいい事ないからね。って、僕が言っても説得力が無いかな。」

「いえ、あの、ありがとうございます。」

「ふふ、どういたしまして。…何か気になることがあるのかな。君はずっと暗い顔をしているね。」

ルークさんはしゃがみこみ、私の手を握る。俯きがちの私の視界にルークさんの姿が映った。

「…どうしてここにいるのかを、ずっと考えていて。」

「どうしてここにいるか…。」

ルークさんが目を瞬かせる。

「私は、誰かに、ここに送られて…いえ、私が、自分で…。」

頭の中で声が聞こえる。

『彼を救ってほしい。』

知らない声。聞いたことない声。なのに、早く早くと私を急かす。

「そうだ、闇の中で、私は、私は、ヴィーを…。」

何も無い。闇が。誰かの声。割れる石。痛み。悲しみ。苦しみ。青い瞳。叫び声。あの子の声が、私を、

「ヴィー?」

ルークさんの声に全てがパチンと消える。

「…ぁ……?あれ、私…。」

いつの間にか、右手の中に石が握られていた。私が気付いた瞬間、カツンと音を立てて転がっていく。
ルークさんの足元で止まったそれを、ルークさんが拾い上げる。

「綺麗な石だね。君にピッタリだ。」

カチリ、と彼が杖に石を嵌める。美しい煌めきが私を貫いた。

出来た。と、思った。

「私の、杖。」

胸に手繰り寄せる。
これで、私は、

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