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私は、独り、帰ってきた
おかあさん
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寝て起きたところで、何も変わらない私の部屋があるだけだった。日は少し落ち、今は夕方近い。夢にさえ出てきてはくれないのかと落ち込みながら、起き上がって身支度を整え、キッチンへと足を進める。
いい加減お腹が空いた。
彼女がいないというのにお腹は空くのだ。笑ってしまう。
「おそよう、マリー。」
キッチンに入ると、声をかけられる。
「お、母さん。」
1年前と何も変わらない母がそこにいた。いや、少し老けただろうか。心配をかけてしまったのが原因かもしれない。故郷が襲われることを恐れて、私も彼女も手紙を送ることすらしなかったのだから。
「マリーはいつまでもお寝坊さんね。ほら、早くしないと、ね。」
「…うん。」
いつも言われていた事だ。
『マリーはいつまでもお寝坊さんね。ほら、早くしないと。ヴィヴィちゃんが待ってるわよ。』
「ごめんね、お母さん。」
「…何謝ってるの。ご飯食べるでしょう?あとちょっとしたら夕飯だから、今はこれだけね。」
「うん。ありがとう。」
椅子に座った私の前に置かれたのは暖かい野菜のスープだった。ヴィーと喧嘩したり、何か落ち込んでいたりすると作ってくれたスープ。
左手で持ったスプーンで掬って口に運ぶ。優しい味のそれは、今日もちょっと塩辛くて、あぁ家に帰ってきたんだな、とようやく実感が湧いた。
「…おかえり、マリー。帰ってきてくれてありがとう。」
「うん…。ただいま、お母さん。」
不鮮明に揺れる視界の向こうにいるお母さんは、少しだけ小さく見えた。
いい加減お腹が空いた。
彼女がいないというのにお腹は空くのだ。笑ってしまう。
「おそよう、マリー。」
キッチンに入ると、声をかけられる。
「お、母さん。」
1年前と何も変わらない母がそこにいた。いや、少し老けただろうか。心配をかけてしまったのが原因かもしれない。故郷が襲われることを恐れて、私も彼女も手紙を送ることすらしなかったのだから。
「マリーはいつまでもお寝坊さんね。ほら、早くしないと、ね。」
「…うん。」
いつも言われていた事だ。
『マリーはいつまでもお寝坊さんね。ほら、早くしないと。ヴィヴィちゃんが待ってるわよ。』
「ごめんね、お母さん。」
「…何謝ってるの。ご飯食べるでしょう?あとちょっとしたら夕飯だから、今はこれだけね。」
「うん。ありがとう。」
椅子に座った私の前に置かれたのは暖かい野菜のスープだった。ヴィーと喧嘩したり、何か落ち込んでいたりすると作ってくれたスープ。
左手で持ったスプーンで掬って口に運ぶ。優しい味のそれは、今日もちょっと塩辛くて、あぁ家に帰ってきたんだな、とようやく実感が湧いた。
「…おかえり、マリー。帰ってきてくれてありがとう。」
「うん…。ただいま、お母さん。」
不鮮明に揺れる視界の向こうにいるお母さんは、少しだけ小さく見えた。
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