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施政者たるもの複数策を整えるべし!
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「公務としてではなく、姫と会合しろと?」
「はい。所謂お忍びデートですわ!」
わたくし達はすぐさま殿下に面会希望の申請を致しました。
殿下も予想していた様で、わたくし達の為に時間を確保して下さいました。とは言ってもあまり時間はとれないらしく、執務室での面会と相成りました。
「それは、しかし姫にも予定があるだろう。」
「もちろん理解はしております。姫様も殿下も公人として生きてこられておいでですもの。しかし現状、あちらの思惑が読み取れない以上、しのごの言っている暇はございません。会合叶わぬ場合でも、アピールにはなりますわ。」
「お返事はもう書かれていらっしゃいますか。」
「まだだ。だが、そうだな。今回の手紙から見て、いくつかに絞られてはいるのだ。…やはり二通目は二枚用意しておくべきだったな。」
「殿下…。」
目を伏せられた殿下は大きく息を吐き出すと、すぐに切り替えたように顔を上げられました。
「大事無い。常に最悪を考え動くのが施政者というものだ。姫が訪問された暁には、其方にも手伝ってもらうことになるかもしれぬ。」
「殿下のお心のままに。」
「ファウスト、其方も。」
「喜んでお受け致します。」
「感謝する。」
殿下は頷き、それからファウスト様の方へと水を向けます。
「して、ファウスト。他に用があるのだろう。申してみよ。」
「ありがたく存じます。先日提出致しました、クレマチス公爵家次期当主ファウスト・クレマチスとローズ侯爵家長女ティアナ・ローズの婚約届けが何故か受理されていない件についてお聞きしたく。何か不備などございましたでしょうか?」
ファウスト様が原本の写しを殿下に渡しながら告げると、殿下はこめかみを押さえるようにして首を横に振られます。
「其方が提出して不備があるわけなかろう。ましてやティアナとの婚約届けであれば尚更。これは写しか。私が見る限りでも見受けられん。その件に関してはこちらで調べておく。まぁ其方は言わずとも分かっているようだがな。」
「ティアナの献身をお忘れなきよう。」
グラジオラス王家第2王子テオドール様の第一婚約者候補の名は伊達ではないということですわね。
「…其方らには苦労をかける。」
「そうですね、おかげで退屈はしないかと。」
「ふ、そうか。其方が忠臣であることに安堵している。」
「殿下が誠実であるのであれば。」
「それで良い。頼んだ。」
「はい。」
ファウスト様が頷かれたのと同時に、執務室の扉がノックされました。
「時間か。」
「今日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。」
「いや、こちらこそご足労感謝する。これからもよろしく頼む。」
「はい。」
「もちろんでございます。」
「はい。所謂お忍びデートですわ!」
わたくし達はすぐさま殿下に面会希望の申請を致しました。
殿下も予想していた様で、わたくし達の為に時間を確保して下さいました。とは言ってもあまり時間はとれないらしく、執務室での面会と相成りました。
「それは、しかし姫にも予定があるだろう。」
「もちろん理解はしております。姫様も殿下も公人として生きてこられておいでですもの。しかし現状、あちらの思惑が読み取れない以上、しのごの言っている暇はございません。会合叶わぬ場合でも、アピールにはなりますわ。」
「お返事はもう書かれていらっしゃいますか。」
「まだだ。だが、そうだな。今回の手紙から見て、いくつかに絞られてはいるのだ。…やはり二通目は二枚用意しておくべきだったな。」
「殿下…。」
目を伏せられた殿下は大きく息を吐き出すと、すぐに切り替えたように顔を上げられました。
「大事無い。常に最悪を考え動くのが施政者というものだ。姫が訪問された暁には、其方にも手伝ってもらうことになるかもしれぬ。」
「殿下のお心のままに。」
「ファウスト、其方も。」
「喜んでお受け致します。」
「感謝する。」
殿下は頷き、それからファウスト様の方へと水を向けます。
「して、ファウスト。他に用があるのだろう。申してみよ。」
「ありがたく存じます。先日提出致しました、クレマチス公爵家次期当主ファウスト・クレマチスとローズ侯爵家長女ティアナ・ローズの婚約届けが何故か受理されていない件についてお聞きしたく。何か不備などございましたでしょうか?」
ファウスト様が原本の写しを殿下に渡しながら告げると、殿下はこめかみを押さえるようにして首を横に振られます。
「其方が提出して不備があるわけなかろう。ましてやティアナとの婚約届けであれば尚更。これは写しか。私が見る限りでも見受けられん。その件に関してはこちらで調べておく。まぁ其方は言わずとも分かっているようだがな。」
「ティアナの献身をお忘れなきよう。」
グラジオラス王家第2王子テオドール様の第一婚約者候補の名は伊達ではないということですわね。
「…其方らには苦労をかける。」
「そうですね、おかげで退屈はしないかと。」
「ふ、そうか。其方が忠臣であることに安堵している。」
「殿下が誠実であるのであれば。」
「それで良い。頼んだ。」
「はい。」
ファウスト様が頷かれたのと同時に、執務室の扉がノックされました。
「時間か。」
「今日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。」
「いや、こちらこそご足労感謝する。これからもよろしく頼む。」
「はい。」
「もちろんでございます。」
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