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家族たるもの団欒すb…ええと団欒、かしら…?

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あの後、お父様と一緒に来られたファウスト様はわたくしの隣に腰を下ろされ、おじさまの仰られた通りとても似合うと褒めてくださいましたあとに盛大に拗ねられました。
曰く、ティアにぴったりの品だけどそれを選んだのが僕じゃない事実が嫌とのことでした。
これが反抗期かしらと思いつつ、ファウスト様からいただいた髪飾りも可愛くて好きですとお答えすると、それは当然だと仰られました。なんなんですの…。

「分かってないなぁティアは。僕が選ぶのはティア好みのティアに似合うものだけだよ。」
「はぁ、ファウスト様のセンスを疑ったことはございませんけれど。」
「小さい頃から一緒にいるからね。ティアの好みとか似合う系統、洋服や髪との色合いなんかは当たり前に分かってるわけだけど、それは別に幼馴染の義務とかじゃないんだよ。何故か分かる?」
「何故ですの?」
「考えて、ティア。どうして僕が君にここまでするのか。義務でも義理でもない、僕の言動を、ティアが汲み取って。」
「ファウスト、様…?」

ファウスト様はわたくしの前髪に触れると、目を細められました。
それは最近よく見る表情で、その表情を見る度にわたくしはなんとなく気恥ずかしく、目を逸らしたいような、見つめていたいような、そんな気持ちになってしまいます。
ファウスト様に触れられるのも、ファウスト様の笑みも、見慣れているはずなのに。

「とりあえず、あそこで娯楽として楽しんでる人がいることだし、これ以上は言わないことにする。」
「えー?もっと仲良ししてていいのに。ね、スタン。」
「……ううむ。」
「あらスタン様は複雑なご様子。」
「娘の親ならそうなるか。ごめんごめん。」
「仲良し!僕もお姉さまとお兄さまと仲良しする!」
「えぇ、いらっしゃいヒューゴ。」
「わーい!おひざおひざ!」

お父様のお膝に乗っていたヒューゴが走り寄って来たのを抱き上げれば、漸く人心地ついたような感覚になりました。
もう、いつもと何も変わらないはずですのに…。

「っていうかなんで居るの。」
「そりゃ息子の大事な場面に立ち会うためだよ。慰めるも祝うも、結果が分からなければ何も出来ないからね。」

おじさまのウインクの先にはわたくしの従者が。

「…有能すぎるのも考えものだな。」
「彼は責務を全うしただけだから叱らないであげてね。」
「別に何も言う気は無いよ。」
「なら良かった。ほら、ティアに言うことがあるんだろう?」
「ちょっと黙ってて。…ティア、卒業パーティーのパートナーは僕だ。とびきり素敵なドレスと装飾品を贈るから、それで僕の隣に立ってくれる?」
「は、はい。」
「ん。今はそれでいいかな。」

満足気にそう呟かれたファウスト様に、反応されたのはおじさまでした。

「え、なにファウスト、保留?保留なの?」
「うるさい。」
「なるほど。スタンはいい判断を下したらしい。」
「本人の意思を尊重するべきだろう。」
「僕、何も言ってないけど。」
「分かるよ、親だもの。ふふ、頑張ってねファウスト。きっと大丈夫だから。ティア、この子をよろしく。」
「はい…?」
「もう黙ってて。」

たじたじなファウスト様が珍しくて見つめていると、その視線に気付かれたのかファウスト様がわたくしの肩へともたれかかり、口を尖らせました。

「僕をこんなに振り回すのはティアぐらいだよ。」
「今振り回しておられるのはおじさまでは…?」
「分かってないなぁティアは。」

なんなんですの、もう!
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