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貴族令嬢たるもの贈り物には笑顔を返すべし!
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「…で、どうしていらっしゃるんですの、おじさま?」
「お義父様って呼んでくれていいのに。可愛いレディ?」
「わたくしもう幼子じゃありませんの。まったく、お父様もおじさまもすぐわたくしのことを赤子扱いして…。」
「ふふ、ごめんごめん。膨れっ面も可愛いね。」
「…………そういうところそっくりですわね、クレマチス公爵様。」
わたくしの向かいのソファに座り、にこやかに微笑んでいらっしゃるのは王家の覚えめでたく後妻希望者が列成すも、妻はベアトリーチェ様のみと宣言し今なお喪に服しておられるクレマチス公爵家が当主、ウォード・クレマチス公爵様にあらせられます。わたくしのお父様の親友で、ファウスト様のお父様ですわ。
お忙しい方ですのに、ファウスト様同様よく遊びに来られますの。
「あぁなんてことだ。僕のことを公爵様だなんて…そんな他人行儀は悲しくなってしまうよ。セレーナ、どうしたらいいと思う?」
「ウォード様がその手にお持ちになっていらっしゃる素敵なものをお渡しになったらよろしいかと。」
「それは名案だ!ティア、おいで。お義父様からプレゼントだよ。ヒューゴにはこれね。」
やけに芝居掛かった台詞を話しながら、おじさまはわたくしとヒューゴに包みをお渡しになられました。
「ありがとう!」
「ありがとうございます。何が入っていますの?」
可愛らしさ満点の笑顔で受け取ったヒューゴを膝に乗せ尋ねれば、返ってきましたのは微笑みのみ。
「分かりましたわ。ヒューゴ、開けていいそうよ。」
「やった!…わぁ!ありがとう、おじさま!」
「どういたしまして。」
「姉様の分も開けてくださる?」
「うん!お姉さまのはきれいにあけてあげるね。」
「ありがとう。」
ソワソワしていたヒューゴに告げると、元気いっぱいに開封の儀を執り行われました。中に入っていたのは、どうやら洋服のようです。おそらく、鍛錬用の練習着でしょうか。わたくしの包みも気になっている様子でしたので、お任せすればとてもいいお返事が。
「…まぁ!」
「きれー!お姉さま、着けて着けて!ぜったい似合うよ!」
ヒューゴが開けてくれました包みを覗き込めば、そこには美しい髪飾りが入っておりました。
透き通る青が形作る薔薇は可憐で麗しく、ずっと見ていたいと思わせるほどにわたくしの好みのものでございました。
「ふふ、ティアいらっしゃい。母様が着けてあげます。」
「はい。…ありがとうございます、おじさま。」
「ティアに似合うと思ってね。気付いた時には購入してたんだ。」
「嬉しいですけれど、ほどほどにしてくださいまし。お返しも大変ですのよ?」
「ティアが笑ってありがとうって言ってくれるだけでいいのに。」
「そうはいきませんわ。」
「ティアは真面目だなぁ。ヒューゴは気に入ってくれた?」
わたくしの言葉に笑いながらおじさまはヒューゴの方を見遣りました。
「うん!おじさまのお土産、僕もいっつも嬉しいよ。」
「よかった。後で着てみてね、僕の一押し鍛錬着。」
「これ着てお父さまとけいこするー!」
「スタン様がいいって言ったらね。ウォード様のセンスはとても素敵ですもの。いつもわたくし達の目を楽しませてくださいますわ。」
「ありがとう、セレーナ。スタンとセレーナにはワインを持ってきたから夕食後にでも飲んでね。」
「ありがとうございます。本日のご予定は?」
「んー、ファウスト次第かなぁ。」
「ファウスト様次第?」
「そう。ファウスト次第。」
どういうことなのでしょう?
不思議に思い、おじさまを見つめてみてもおじさまは楽しげに微笑んで話す気は無いご様子でした。
「では夕食はご一緒出来そうですわね。」
「セレーナは強気だね。まぁうちの子はこうと決めたら絶対成し遂げようとする子だから、大丈夫だとは思うけど。」
「スタン様はファウスト様に甘いので。」
「スタンは優しいもんね。」
「はい。優しい人ですわ。ティア、鏡を見ていらっしゃい。とっても似合っているわ。」
ぽん、と肩を叩かれ振り返れば、お母様は満足気に頷かれました。
少し首を動かせばしゃなりと涼し気な音が小さく鳴り、耳を楽しませてくれます。
「姉さまきれー!!キラキラ!」
「ありがとう、お母様、ヒューゴ。素敵な髪飾りをありがとうございます、おじさま。」
「ティアにはやっぱり青が似合うね。でもそこはお義父様って呼んでほしかったな。」
「鏡を見てきますね。」
「あらあら照れちゃって。」
「ふふ、本当に可愛いなぁティアは。」
「僕は?」
「ヒューゴもとっても可愛いよ。将来はきっととびきり男前に育つね!」
「わーい!」
パーラーの隅に飾られている鏡を覗き込めば、綺麗に纏められたわたくしの髪を彩る髪飾りが本当に美しく、わたくしまで美しくなったかのよう。
「ティア、気に入ってくれた?」
「はい。本当にありがとうございます。」
「ファウストが帰ってきたら見せてあげようね。多分めちゃくちゃ嬉しがると思うから。」
「ファウスト様が?」
「うん。」
「それは、どうでしょう…?」
「ファウストはね、めちゃくちゃ嬉しがった後、僕がプレゼントしたことに不機嫌になる。まぁいつもの事だけど。」
「確かに…?」
ファウスト様はおじさまからいただいたプレゼントをわたくしが身に付けていると毎回可愛いとは言ってくださるのですけれど、その後不機嫌になられるのです。
「嫉妬するファウストも可愛いよねぇ。」
おじさま、もしかしてその為にわたくしにプレゼントしてくださっていらっしゃる……?
「もちろん。ティアが可愛いからだよ。」
「心を読むのはおやめくださいまし。」
「だってティア顔に出てたから。」
似た者親子ですわね………。
「お義父様って呼んでくれていいのに。可愛いレディ?」
「わたくしもう幼子じゃありませんの。まったく、お父様もおじさまもすぐわたくしのことを赤子扱いして…。」
「ふふ、ごめんごめん。膨れっ面も可愛いね。」
「…………そういうところそっくりですわね、クレマチス公爵様。」
わたくしの向かいのソファに座り、にこやかに微笑んでいらっしゃるのは王家の覚えめでたく後妻希望者が列成すも、妻はベアトリーチェ様のみと宣言し今なお喪に服しておられるクレマチス公爵家が当主、ウォード・クレマチス公爵様にあらせられます。わたくしのお父様の親友で、ファウスト様のお父様ですわ。
お忙しい方ですのに、ファウスト様同様よく遊びに来られますの。
「あぁなんてことだ。僕のことを公爵様だなんて…そんな他人行儀は悲しくなってしまうよ。セレーナ、どうしたらいいと思う?」
「ウォード様がその手にお持ちになっていらっしゃる素敵なものをお渡しになったらよろしいかと。」
「それは名案だ!ティア、おいで。お義父様からプレゼントだよ。ヒューゴにはこれね。」
やけに芝居掛かった台詞を話しながら、おじさまはわたくしとヒューゴに包みをお渡しになられました。
「ありがとう!」
「ありがとうございます。何が入っていますの?」
可愛らしさ満点の笑顔で受け取ったヒューゴを膝に乗せ尋ねれば、返ってきましたのは微笑みのみ。
「分かりましたわ。ヒューゴ、開けていいそうよ。」
「やった!…わぁ!ありがとう、おじさま!」
「どういたしまして。」
「姉様の分も開けてくださる?」
「うん!お姉さまのはきれいにあけてあげるね。」
「ありがとう。」
ソワソワしていたヒューゴに告げると、元気いっぱいに開封の儀を執り行われました。中に入っていたのは、どうやら洋服のようです。おそらく、鍛錬用の練習着でしょうか。わたくしの包みも気になっている様子でしたので、お任せすればとてもいいお返事が。
「…まぁ!」
「きれー!お姉さま、着けて着けて!ぜったい似合うよ!」
ヒューゴが開けてくれました包みを覗き込めば、そこには美しい髪飾りが入っておりました。
透き通る青が形作る薔薇は可憐で麗しく、ずっと見ていたいと思わせるほどにわたくしの好みのものでございました。
「ふふ、ティアいらっしゃい。母様が着けてあげます。」
「はい。…ありがとうございます、おじさま。」
「ティアに似合うと思ってね。気付いた時には購入してたんだ。」
「嬉しいですけれど、ほどほどにしてくださいまし。お返しも大変ですのよ?」
「ティアが笑ってありがとうって言ってくれるだけでいいのに。」
「そうはいきませんわ。」
「ティアは真面目だなぁ。ヒューゴは気に入ってくれた?」
わたくしの言葉に笑いながらおじさまはヒューゴの方を見遣りました。
「うん!おじさまのお土産、僕もいっつも嬉しいよ。」
「よかった。後で着てみてね、僕の一押し鍛錬着。」
「これ着てお父さまとけいこするー!」
「スタン様がいいって言ったらね。ウォード様のセンスはとても素敵ですもの。いつもわたくし達の目を楽しませてくださいますわ。」
「ありがとう、セレーナ。スタンとセレーナにはワインを持ってきたから夕食後にでも飲んでね。」
「ありがとうございます。本日のご予定は?」
「んー、ファウスト次第かなぁ。」
「ファウスト様次第?」
「そう。ファウスト次第。」
どういうことなのでしょう?
不思議に思い、おじさまを見つめてみてもおじさまは楽しげに微笑んで話す気は無いご様子でした。
「では夕食はご一緒出来そうですわね。」
「セレーナは強気だね。まぁうちの子はこうと決めたら絶対成し遂げようとする子だから、大丈夫だとは思うけど。」
「スタン様はファウスト様に甘いので。」
「スタンは優しいもんね。」
「はい。優しい人ですわ。ティア、鏡を見ていらっしゃい。とっても似合っているわ。」
ぽん、と肩を叩かれ振り返れば、お母様は満足気に頷かれました。
少し首を動かせばしゃなりと涼し気な音が小さく鳴り、耳を楽しませてくれます。
「姉さまきれー!!キラキラ!」
「ありがとう、お母様、ヒューゴ。素敵な髪飾りをありがとうございます、おじさま。」
「ティアにはやっぱり青が似合うね。でもそこはお義父様って呼んでほしかったな。」
「鏡を見てきますね。」
「あらあら照れちゃって。」
「ふふ、本当に可愛いなぁティアは。」
「僕は?」
「ヒューゴもとっても可愛いよ。将来はきっととびきり男前に育つね!」
「わーい!」
パーラーの隅に飾られている鏡を覗き込めば、綺麗に纏められたわたくしの髪を彩る髪飾りが本当に美しく、わたくしまで美しくなったかのよう。
「ティア、気に入ってくれた?」
「はい。本当にありがとうございます。」
「ファウストが帰ってきたら見せてあげようね。多分めちゃくちゃ嬉しがると思うから。」
「ファウスト様が?」
「うん。」
「それは、どうでしょう…?」
「ファウストはね、めちゃくちゃ嬉しがった後、僕がプレゼントしたことに不機嫌になる。まぁいつもの事だけど。」
「確かに…?」
ファウスト様はおじさまからいただいたプレゼントをわたくしが身に付けていると毎回可愛いとは言ってくださるのですけれど、その後不機嫌になられるのです。
「嫉妬するファウストも可愛いよねぇ。」
おじさま、もしかしてその為にわたくしにプレゼントしてくださっていらっしゃる……?
「もちろん。ティアが可愛いからだよ。」
「心を読むのはおやめくださいまし。」
「だってティア顔に出てたから。」
似た者親子ですわね………。
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